第一部 『一人旅』 第二話 『独り身英雄の旅の始まり…』 目が覚めればそこは牢屋だった…。 春日 雷華はお世辞にも気持ちいいとは言えない朝を迎えた。 そんな複雑な心境の時に、昨日自分のことを牢屋に入れた女性が来た。 「おはよう!よく眠れたかい?」 女性が訊ねる。 「よくは眠れましたが、目覚めは最悪です」 実に正直に答える雷華。 「はっはっはっは!よし!出ないろいろ話しをしてやる」 (豪快な方ですが、悪い人ではないようですね。) 雷華はそんなことを考えながら、牢屋をでて女性についていき 事務所のようなところで、お互いの自己紹介をしてからいろいろな話をきいた。 この女性の名は、リーシャ・ノインといい、この工房と呼ばれるところの『長』 らしい。 そして、この世界が『アーカイア』と呼ばれ、この世界が危機にあるため 自分は『英雄』としてこの世界に連れてこられた、パートナーとして 『歌姫』と呼ばれる者がいるなどである。 こうしてこの世界のことを理解することが出来た。 しかし、そこで問題ができた。パートナーの存在を近くに感じないのである。 つまりそれは、この世界を旅して自分の歌姫を探せということらしい。 が、旅をしようにもお金がない。 「ならここで働けばいい。機械はいじれるだろ?」 と、リーシャは言う。 「ええ、機械に関しては普通に。ですが、私はこちらの機械はしりませんよ?」 そう答える雷華に、リーシャはなにやら怖い笑顔で一言だけ。 「大丈夫。」 と言った。 二週間後… (つ、疲れました。あんなことは、出来れば二度とやりたくありません。) 雷華は、心で泣きながら思う。 しかし、わずか二週間で必要な分の路銀が貯まったのはすごいことである。 「たったの二週間で世界の状況は変わっちまった。あんたは生き抜いて 絶対に歌姫に会いなよ!!」 雷華の働いている間に、世界は戦争が始まったのである。 (どこの世界でも戦争はあるのですね自分の正義だけを振りかざす戦争が…) 雷華は、その悲しみを顔に出さずにリーシャに答える。 「おかげで助かりました。必ず自分の歌姫を見つけて、自分の進むべき道を見つけます。」 「しかし、本当にいいのかい?奏甲に乗らずにこのご時勢で一人旅なんて…」 リーシャは心配そうに訊ねる。 それもそのはず、雷華の持ち物は携帯食料と水とテントの入ったリュックと こちらの世界に来たときに持ってきた、2本の刀のみだからである。 「大丈夫です。心配要りません」 そう雷華は笑顔で答えたとき… 「大変よ〜!!町の近くまで奇声蟲が来てるわ〜!!」 そう言いながら町人が走っていく。 「大変だ!!この町には今英雄が一人もいないんだよ!!」 リーシャはあわてて言う。 「大丈夫です。私が何とかします。私も英雄ですから。失礼します。」 雷華は、お辞儀をしとても見た目からは信じられない身軽さで駆ける。 (この町の恩返しとしては十分でしょう。) そう考えながら町の入り口まで来ると、実に20体にも及ぶ衛兵種が今まさに なだれ込もうとしているところであった。 「この町には入れさせません!!」 雷華はそう叫び2本の刀を抜きながら群れに飛び込む。 シュッ!シュッ!ドス! 刀を切り上げ、払い、突き出し。 すばやい動きで一体また一体と葬っていく。 町人たちが英雄を連れて戻ってきたときには、ただ衛兵種に骸があるだけだった。 「さて、このルリルラというところへ行きますか。」 つづく あとがき 長い上に、上手く書けていない…。話がシリアス一直線です。 一応、主人公は活躍したようですが…これはどうでしょう?自己嫌悪です。次回こそはもっと上手く書きたいです。 ちなみに、主人公の今回の工房での働く様子はいつか書くつもりです。もっと上手くなったらの話ですが…。 |