『アーカイア』実にそれは不思議な世界。『幻糸』と呼ばれるものがあり、『歌姫』と呼
ばれる女性達がその『幻糸』を自在に操り奇跡を起こす世界、だからそういうことが起
きても別に不思議では無い…………と思われる。


第一部	『一人旅』 第五話 『電波系(?)なお話』

例によって例のごとく、春日雷華は工房のバイトをしていた。
その日、いつものように朝早く起き、いつものように剣の修行をしていると……
ズリィィ、ズリィィ、プシュゥゥ。
なにやら、朝靄の向こうから何かを引きずる音が聞こえてきた。
ズリィィ、ズリィィ、ボシュゥゥ。
そして、その音はだんだん雷華の方に近づいてきている。
ズリィィ、ズリィィ、ガゴン!!
目の前に現れたのは、普通は陸にはいないであろう『ブラオヴァッサァ』であった……

なんやかんやで工房内………
ブラオヴァッサァから、英雄と歌姫が降りてきて、英雄の方が雷華に話しかけてきた。
「あのブラオの修理をお願いしたいんだけど」
「構いませんが、何故陸地でブラオに?」
「いろいろとあったんだ……」
と、不思議に思って訊ねた雷華に、やや遠い目をして英雄が答えた。
「はぁ、わかりました。工房長に任されましたし、私が修理させていただきます。
それと自己紹介を、私の名前は春日雷華といいますよろしく」
そう、雷華が言うと英雄の方が先に返してくる。
「俺の名前は、水無月双夜。で、こっちが俺の歌姫で、水無月翆霞。よろしく、雷華さん。
 って、春日雷華?もしかして、あの奇声蟲から町を救う男の春日雷華って雷華さんの
 こと?」
そう、聞いてきた双夜に雷華は答える。
「え!?あなた方、何故そんなことを!?」
「それは―――」
「雷華さんですかぁ……サ、サンダーフラワー……いや、サンダーバードね!?サンダー
バードなのね!!!!!あなた=サンダーバードよ!!!!決定、サンダーさん、
よろしく!!!」
雷華の問いに答えようとした、双夜の声は、当然の翆霞の声にかき消され。その言葉に
雷華と双夜は驚き言い放つ。
「はい!?なんですかそれは!?」
「おい!!翠霞!!それはどうかと思うぞ!!」
「グットです!!!」
そんな2人の訴えを無視して翆霞は更に続ける。
「サンダーさん……あなたのコトガ、私……とてつもなくユーモラスチャーミングで素
敵に思えてくる気がして放っておけないの!!!!!だから、私をあなたのストーカー
として雇って!!!!」
当然、雷華は返す。
「なんですか、それはぁぁぁぁ!!」
「雷華さん、すみません!!止めるの無理!!」
「私もお供します!!!」
「………」
雷華は、先ほどから聞こえるえらく聞き覚えのある声のするほうを恐る恐る見ると……
なぜか、絶対奏甲の ―それも、ブラオヴァッサァの― 着ぐるみを着た風華が其処に
いた…
「風華!?なんでここに!?」
そう問う雷華をあっさり無視して、風華は続ける。
「あなたの考えは素晴らしいぃぃぃぃぃぃ!!!」
そう言って、涙を流す風華に翆霞は
「一緒にやりましょう!!!」
と言い、それを聞いた雷華は叫ぶ
「謹んで、ご遠慮させていただきます!!!」

―数分後
何とか全てが落ち着いて―もちろん、雷華はストーカーはしっかり拒否をした。サンダー
と呼ばれることは阻止できなかったが― 何とか話は進む。
「と、とりあえず…修理は明日まで…掛かります…から明日取りに…来てください」
そう息を切らせて雷華が、双夜に言う。
「わ、わかった…それじゃ…明日…取りに来る」
双夜も息を切らせて答えて、翆霞と共に工房から出ていった。
「さて、では早速修理に取り掛かりましょう」
「私も手伝います」
「貴方も帰ってください……」
雷華は怒気の含んだ声で言うと、修理の必要な箇所のチェックから始めた。
風華はいつの間にか居なくなっていた……

―早くも翌日
「ふぅ、すがすがしい朝ですねー」
その日は、普通に起きた雷華はそう言ってベットから出て、着替えをすまして借りてい
る部屋から出ようとドアに向かうと開けてもいないのにドアが開き、人が入ってきた。
「あれ?工房長じゃないですか、一体どうしたんです?」
そう、雷華は入ってきた人、工房長に訪ねると
「大変なんだよ!!あんたが昨日修理したブラオが!!」
そう工房長が言うのを聞いて雷華は驚いて聞く
「まさか!!盗まれたんですか!?」
「それならまだよかったんだが……」
雷華の問いに、工房長は困った顔で答え続けた。
「とりあえず!見ておくれ!!」
そう言って、雷華の腕を引いて作業場の方へ工房長は小走りに進み始めた。
「え!?ちょっと!本当になにが……!?」
雷華は、途惑いながら引っ張られて作業場に向かった。
……そこでは、目を疑うような光景が繰り広げられていた。
なぜか増えているブラオヴァッサァが、なぜか作業場の中を跳ねまくっている……
付け加えるなら、形容しがたい音と共に。
「な、な、なんなんですかこれは!?」
まぁ、当然のごとく雷華は驚き。
「あたしが知りたいよ!!」
それに、工房長が答える。と、そこに新しい叫びとうれしそうな声が聞こえる。
「あぁぁ!!またか!!またなのか!!」
「また増えてるね、お兄ちゃん♪」
それは、この増えてるブラオの持ち主、双夜と翆霞の2人だった。
「これは一体どういうことなんですか!?」
やってきた2人に雷華が訊ねると双夜が
「それが、わかれば苦労はしないさ!!」
「それもそうですね……」
それを聞いて雷華はため息をつく……
「ちょっと!!今度は暴れだしたよ!!」
「いやー、大成功ですねー武士殿」
工房長の悲鳴が作業場に響き、うれしそうに風華が言い、雷華は問いただす。
「風華!!今度はなにを!?」
「私の記念すべき2000個目の秘儀です」
きっぱりと、風華が言い放ち、雷華が突っ込む。
「何なんですかそれは!!」
「ちなみに、奇声蟲をも操れる秘儀は、1174です♪」
「今度見せてね、トルネードさん♪」
暴れまわるブラオを尻目に和やかムード満々で風華と翆霞は話していた……
双夜が雷華に言う。
「雷華さん、『その奇声蟲をも真っ二つ』という噂の腕前でいっそ、このお魚も叩きってし
まってくれないかい?いや、斬った所でたぶん、切断面から、再生の後、二体に増える
んだけどさ。一応、ためしという事でさ、お願いできないかなぁ?」
「……わかりました。物は試しです!」
そう言って雷華はいつもの2本の刀を持ってきて鞘から抜き去り構え
「いざ!!」
暴走真っ最中のブラオに切りかかり、あっさりと真っ二つにした……ブラオは予想を裏
切った……それも、まったく別の形で……付け加えるなら、風華の手を借りて……
「増えてる!!しかも、4匹に!!」
「やっぱり、ダメか……」
「すごいね、お兄ちゃん♪」
「もう!!ダメじゃないですか、武士殿!!」
悲鳴を上げる工房長、諦めきった双夜、うれしそうな翆霞、そして怒っている風華
それぞれの口から、それぞれの言葉を発し雷華言う。
「風華!!それは、増やした本人が言うことですか!?」
「はい♪」
当然とばかりに風華が返し
「ドンと来い♪」
更に煽る。当然雷華は……
「ふふふふふふふふふ……」
雷華は……唐突に笑い出し、
「私をあざ笑ったな!!ブラオ!!覚悟しろ!!」
見事に壊れた……何故か、ブラオに対して……
「これで、サンダーさんも私達の仲間だね、お兄ちゃん♪」
そう、翆霞が言うと、双夜が怒鳴る。
「お前、何かやったのか!?」
「やってないよ♪」
翆霞は知りませんと言う。そんなこんなで、この町唯一の工房は破壊しつくされた。
完!!

「って、なんですかそれはぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声と共に雷華はベットから跳ね起きた。
「え?ゆ、夢?よ、よかった……。はぁ、寝汗でシャツがぐっしょりですよ……」
「夢じゃなくて、これから起こることだよ♪」
「そうですよ、武士殿。げんじつとうひはいけません」
ありえない声が聞こえる……それもすぐそばで……ここにいるわけが無い声が……
「頑張ってね、サンダーさん♪」
「頑張ってね、サンダーさん♪」
横を見ると翆霞と風華が並んで座っている、笑顔で…
「い、一体何を言ってるんですか?翆霞さん?風華?」
凄くぎこちない笑顔で言葉を返す雷華。
扉の外からあわてているとわかる足音が近づいてきて、ドアが勢いよく開かれ人が入って
きて言う。
「大変なんだよ!!――」
雷華はもの凄く嫌な予感がした。

落ちなし!!

つづく


あとがき
と言うわけで、修正版です。でも、この後の後書きはそのままだったりします。
こんにちは、Akiraです。
今回の作品は果たして電波なのでしょうか……?きっと、違いますね……。作品も結構
短めで終わってしまいましたし。
と、言うことでメデスさん、どうでしたでしょうか?
例によって例のごとく不満、苦情その他なんでも承ります。もし、ここは
違うんじゃないかというところなどがあれば、仰ってください。
それと、この話は止めて欲しいと思われましたら、遠慮なく言って下さい。即抹消
いたします。
というわけで、前回に引き続き『機○戦○ ナデ○コ』風次回予告を。

〜次回予告〜
????「次回は俺らの出番だそうだぞ」
???「そうみたいですね、????様」
????「????様、大活躍らしいですよ?」
????「??なん大活躍?」
リーシャ「そこ!!微妙にアウト!!」
????「えぇぇぇ!!」
リーシャ「と言うわけで連続クロスSS第四弾!!次回『可能性(題名は変わる恐れがあり
     ます)』をみんなで読もう!!」
〜次回予告終了〜

ということで、次回で連続クロスSSは終了です。クロスSSラストはついに!?
それではこの辺で……最近、あとがきが順調に長くなってるAkiraでした。
って、前回も同じ閉め方だったような……

というのが元の後書きでした。修正して少しは、長くなりました。きっと……。では締め
の言葉を
明日は必ずやって来ます。だけど、どんな明日が来るのかは今日のあなたにかかってます。
願わくば、それが素敵な一日でありますように……。
改めて、Akiraでした。

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