「旅人達」 第一話「呼び出されて」 ――埼玉県某所 「やー、ナデシコはいいねやっぱり」 「だな。面白い」 「ゲキガン○ーとか特にな」 1人の青年が言い。それに続き一緒にいる他の2人も口々に続く。 「さて、そろそろ昼になるから、予定通りお好み焼きの材料買いに行こうぜ」 「おら、さっさと行くぞ。俺は腹が減った」 「分かったから落ち着け」 ガチャ……バタン…… そして、先頭に立つ1人が部屋のドアを開け……閉めた。当然他の2人は文句を言う。 「おいこら、ウド。お前何してんだよ!」 「ウド?買出しに行くんじゃないのか?」 ウドと呼ばれた青年は頭を振り目頭を押さえながら言う。 「いや、ヒロにケイ。なんかドアを開けた先に変なのが見えた気がしたんだよ……」 「はぁ?何言ってんだお前は?バカなこと言ってないで行くぞ」 ガチャ…… 「あー、確かに変なのがあるなヒロ。ウドの言う通りだ。ドアを開ければ底なしの闇だな」 ドアを開けたヒロが固まっているのを横目に、覗き込んだケイは固まったままのヒロに 言い。ヒロは呟く。 「何がどうなってるんだよ、おい」 「まさか『タブレット無しで並行世界に行けます』って分けないだろ?」 「クロスロードじゃあるまいし……」 その呟きにウドが答え、その答えにケイが突っ込む。 「まぁ、行けば分かるだろ」 「OKヒロ。じゃあ、行ってみますか」 ヒロとウドがチャレンジャーなことを言うと。ケイが突っ込む。 「や、お前らおかしいだろ!どこに行くか分からねーんだぞ!!下手したら天国ともかぎ らねーぞ!!」 その突っ込みにヒロとウドは同時に言う。 『や、俺らチャレンジャーだろ?』 「うわっ!?お前らあほか!!」 「まぁ、気にするな」 尚も突っ込むケイをさらりとながし、ヒロとウドはガッシとケイの首に腕を回しケイを 後ろ向きに引き吊りドアの先の底なし闇へと向かう。 「ぐぇ……ちょ、ちょっと…止めようぜ…危ないだろ?……って、おーい、聞いてますか? あのさー、せめて前を向かしてくれ。後ろ向きに落ちるのは結構怖いってぇぇぇぇ ぇ!!」 ヒロとウドはケイを無視して底無しの闇へと飛び込んだ!! 「ぎゃぁぁぁぁ!!やばいって!怖いってぇぇぇぇぇ!!」 「お!光が見えてきたぞ」 叫ぶケイを無視し、ヒロがそう言うと同時に視界が開ける。 「下に湯気の立つ池が見えるぞ、ヒロ」 「おー確かに、しかし、ありゃ温泉だろ」 ヒロがウドに返答した。 「へー……って俺は見えないぞ!!ってか、こえーよ!!絶対おかしいですよねー!!」 ケイは叫ぶが 「着陸態勢よーい」 「了解、ヒロ」 2人は当然のごとく無視する。そして、 「ちょ!?無視す……ガボッ!?……ガ!?」 ドバン!!…ゴン!! 温泉に水柱が立つ音に紛れ、何かに硬い物があたる音がする。 「いやー、さすがにあの高さから落ちて何も無かったら死んでたな」 「なんか、嫌な音がしたような?」 ヒロは爽やかに言い。ウドはふと足元を見やる。そこには 「うわぁ!!け、ケイ!?」 お湯に顔をつけて浮かぶケイがいた。 「まぁ、なんか変な音してたし……」 ヒロが気絶したケイを見やり言うと 「とりあえず!!さっさと湯から出して……」 「えっと……もしかして機奏英雄様でしょうか?」 ウドがヒロに提案している途中、唐突に女性の声が聞こえた。それもすぐ横から 「こいつらが機奏英雄か……まあまあか?」 更にもう1人女性の声が聞こえる。ヒロとウドの2人は錆び付いたロボットのごとき動 きで横を見やる。そこには、おそらく同年代であろう2人の女性がいる。温泉ゆえ全裸 の状態でだ。慌てて2人は目を逸らし2人同時に 『し、失礼しました!!!』 と謝る。すると2人の女性は気にしてはいないのかごく普通に声をそろえて言う。 『ようこそ、アーカイアへ』 『はい?』 ドドドドド!!バン!! ヒロとウドの2人が疑問の声を上げると同時に唐突に何かが走ってくる音と共に温泉の 入り口が勢いよく開かれ、多数の『メイドさん』が入ってくる。そして声をそろえて 『お嬢様!!大丈夫ですか!?』 と言う。さすがにパッと見、10人以上もいるので室内風呂特有の音の響きと合わさり、 かなりうるさかった。 「まぁ、とりあえず自己紹介だな」 温泉の一件の後に温泉でであった2人に連れられ大きい屋敷に来ていた。ちなみに、ケ イは今だ気絶中であるため別室にてメイドさんの看護付きで寝ている。 「俺の名前は、源田弘和。ヒロと呼んでくれ」 「俺は、天野明徳。皆からはウドと呼ばれてる」 そう2人が自己紹介をすると、 「私の名前は、ヴィール・アバルタです。ヴィーとお呼びくださいね」 「私は、ディヴァナ・アバルタ。ヴィーの姉だ。私のことはディーと呼べ」 と、2人は返した。 「あー、それとさっき気絶してたのは、井丘慧。俺達はケイって呼んでるからそう呼んで やってくれ」 と、ヒロは思い出したように付け加えた。さらに、ウドが続けて言う。 「さて、自己紹介も終わったし簡単な説明をお願いしたいんだけど。ここがどこで、何故 こんなところに連れてこられたのかを中心に教えて欲しいんですが?」 その問いにディーが答える。 「今現在、このアーカイアには危機が訪れている。原因は、200年前の歌姫戦争でも現れた 『奇声蟲』と呼ばれる怪物だ。その怪物に対処すべく『母姫様』と呼ばれる『黄金の歌姫』 が200年前と同じく伝説と謳われている『機奏英雄』…つまり、お前達のような者たちを 呼び出した……」 ヒロとウドの2人はこの時点で、驚きはしていたが慌てはしなかった。2人が考えていた のは 『(やっぱり、ここは並行世界か、異世界のどちらかだな。まぁ何にせよ……ファンタジー 小説のごとくだな)』 という事であった。 さて、それはともかく、まだまだ続くディーの話を要約すると、 この世界は怪物により危機を向かえ、そのため『機奏英雄』なるヒロ達のいた世界いた 者が召喚された(この人々は『現世人』とも言うそうだ)。機奏英雄は巨大ロボット『絶 対奏甲』に乗り自分のパートナーである『歌姫』と呼ばれる者の力を借り、その怪物を 倒すのが役目であるそうだ。 「なるほどね……。とりあえず、その奇声蟲とやらを倒していけばいいんだな?」 説明が一通り終わったのを見計らい、ヒロが訊ねる。 「そうです。あなたの歌姫は、私ですから歌姫の心配は要りませんよ?」 その質問に答えたのはヴィーであった。 「え?そうなの?それじゃ、ウドは?」 驚く、ヒロが更に訊ねと 「わ、私だ…」 と、顔を真っ赤にしてディーが答えた。 「えっと……。宜しく…」 それを見たウドも顔を真っ赤にして答える。その様子を見てニヤニヤしながら更にヒロ は訊ねる。 「ケイは誰なんだ?」 「残念ながら、『宿縁』と呼ばれる絆に繋がれた『歌姫』と『英雄』はお互いしかそれが分 かりませんので、そこまでは」 「え?じゃあ、ケイはどうすんだよ」 ヴィーがそう答えたのを聞き、ウドが言い。それに、ヒロが続く 「そうだなー。せっかく女性が苦手な性格を治せるチャンス……」 「あれ?そういえば、ケイって女性が苦手なんだよな?……確かこの世界……」 『女性しかいねぇー』 ヒロとウドの2人は汗を一筋垂らしながら声をそろえた。ヴィーはその2人に言う。 「御安心ください屋敷のメイドがしっかりと看病していますので……」 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」 突如、屋敷中に響く叫び声を聞き 「あらあら」 「な、何だこの悲鳴は!!」 ヴィーとディーは驚き、ヒロとウドに『説明して欲しい』という眼差しを向ける。 「あちゃー、気付くのが遅かったな……。あいつ、女性が苦手なんだよ。女性が前にいる だけで頭が真っ白になるらしい……」 「そうなんだよ、あぁ、ごめん。ケイ」 ヒロとウドの2人は凄くすまなさそうな顔をしていた。 続く あとがき 皆さんは『愛知万博』御存知ですか?あれのマスコットキャラクター、確か『モリゾ ウ』といったはずですが、友人Sがそれを知らなく、どんなものかを愛知出身の友人K に尋ねました。こまった彼は 「ガチャピンとムックを足して2で割った様な奴」 と称しました。それを聞いた友人Sは 「それなら『ガチャック』だろ」 と言いました。ツボにはまった私達は、全員爆笑……。 2004/12/25に読んでくれた方。Happy Merry Christmas.こんにちは、Akiraです。 クリスマスですねー。2004/12/25に読めなかった人もいるかもしれないのに無茶な挨拶ですが……。 さて、今回はまったく新しいものを書いてみました。『春日雷華』とは関係の無いまっ たくの別物です。あ、でも『井丘慧』が女性を苦手としている所は、ある意味共通点か も知れませんが……。ちなみに、この物語りの主役3人組は私の友人をモデルとしてい ます。それなりに愉快な人たちとなっているはず……。 そんなこんなな、微妙にわけの分からないあとがきですが、そろそろ締めたいと思い ます。それではこの話を読んでくれた皆さん、また次回のあとがきでお会いしましょう。 Akiraでした。 |