「ん……?ここは……?」
朝特有の清清しい空気と、朝日により青年は目覚め、周囲を見渡す…次第にはっきりとし
てくる意識の中で…自分がベットに寝かされていることに気付き、疑問の声をあげようと
口を開いたがそれは無駄になった。
 「おはよう。私の英雄さん」
視界一杯に、やや赤の混じった茶色の髪の毛と瞳を盛った女性が現れる
 「あ、おはようございま……す!?……って、ちかすぎですよ〜〜〜」
覚醒きっていない頭で挨拶を返し、その途中でその状況に気付いた春日雷華は……見事に
気絶した。
 「まったく、3日も目を覚まさないから死んだかと……え…?………ちょ、ちょっと!?
どうしたの!?ねぇ!?」
その日、朝早くその村には春日葵の悲鳴(?)が響き。その声により村人が目覚めたのは
……まぁ、ちょっとしたことだろう。


第二部 『親しき友』  第一話『歌姫と新たなる旅の目的』


 「先ほどは、驚かせてすみませんでした。私は女性が苦手な物で……」
改めて、目覚めた雷華が葵に謝っていた。
 「気にしなくていいわよ。……けれど、ようやく見つかった私の英雄が……女性恐怖症
とわね……。先が思いやられるわ……っていうか、よくここまで生きてこれたわね……」
 「すみません…」
呆れる葵に雷華はすまなそうに言う。
 「くくく……。まぁ、よいではないか葵。……それより、雷華殿。あの町で、一体何が
あったのですか?それに雷華殿の抱いていた、あの娘は…?」
 「そうね、長老様。教えて雷華。」
そう二人に訊ねられた雷華は、何故か町が奇声蟲に襲われていたこと、自分が駆けつけた
時、あの少女と姉二人が生きていたのだが、突如現れた奇声蟲に2人は殺されてしまった
こと、あの末の少女だけは生きていたため少女を守りながら奇声蟲と戦ったこと、自分の
知りうる範囲で答えた。
 「けれど、私は途中で力尽きました……。せめて少女だけは守ろうと自分の身を盾にし
て倒れた所までは覚えているのですが……」
 「じゃあ、あれは一体誰が……」
 「『あれ』とはどういうことですか?」
 「あなたを見つけた時、その周りは奇声蟲の屍のみだったのよ。しかも、あなたを中心
にね」
 「確かに……それは不可解ですね……。あっ!それより、あの少女、ディーは大丈夫だっ
たんですか!?」
 「安心しなさい。怪我は擦り傷だけだったから。あなたより先に目覚めて、あなたが目
覚めるのを待ってるわ。…よほど気にいられたようね」
そう葵が言い終わるか終らないうちに、ドアが叩かれ
 「あの…ディアナです」
 「噂をすればなんとやらね」
 「入るがよい」
そう長老が言うとすぐにドアが開き1人の少女が入ってきた。
 「あっ、ライカお兄ちゃんおきたんだね。わたしのなまえは ディアナ・アルフ あの
時、助けてくれてありがとう」
 「彼女があの町であなたが助けた娘……って言うのはわかるわよね。ディー、あの日町
で何があったか……雷華に教えてあげて」
 「ちょ、何を言っているんですか!それは…」
ディーがきて間髪いれずに葵がそう言うのを聞いて、雷華は非難の声をあげようとして、
葵に遮られた。
 「あなたは聞かないとダメなのよ!これからのためにもね!それから!!…敬語はよし
なさい!堅苦しいから!いい!?」
 「はい!わかりまし……じゃ無くて、わかった?」
 「何で疑問系なのよ!?ちゃんと聞いてたの!!?」
 「ぐふぅ!?ごめ、くる…」
雷華の首を絞めながら葵は雷華に言う。
 「葵。それじゃ、雷華殿は答えられんし。死んでしまうぞ」
 「アオイおねえちゃん、ライカおにいちゃんが死んじゃうよ……」
長老とディーが意見し、そのことに葵が気付いて落ち着いて話が出来るようになったのは、
それから20分後のことであった。

 「変わった絶対奏甲が奇声蟲を引き連れてきた!?一体何がどうなって…?」
 「そいつが『ルナティック』じゃよ」
 「『ルナティック』?」
雷華の疑問の声に長老が答えた。ディーの話によると、光沢の無いやや赤い黒に塗られた
絶対奏甲が奇声蟲、蟲化英雄等を引き連れて町を襲ったというのだ。
更に、葵が説明を継ぎ足す。
 「その町を襲った機体の名よ。『狂気じみた』という意味の名を持つ絶対奏甲。その名は
その絶対奏甲の能力に由来するわ。雷華は伝説のクロイツ・シリーズを知ってる?」
 「『200年前の歌姫大戦で使われた伝説の絶対奏甲』のことでしょう…いや、だろう?」
葵の質問に雷華がそう答えると葵は頷いて続ける。
 「そう。じゃあ、その絶対奏甲は『蟲化し、暴走した当時の英雄達を倒すために作られ
  たものではないか?』という話は?」
 「え!?た、確かに、あの能力を見れば明らかに……クロイツ・シリーズは対絶対奏甲
戦を目的として作られた物といわれても頷ける……」
 「まぁ、そうも考えられるってこと。で、ルナティックは対クロイツ戦を目的に作られ
  た機体のテストタイプという訳」
 「な!?何でそんなものが!?」
 「元々はこの村で隠しておったのだ」
雷華の疑問に長老が答える。
 「本来、出すことの無かった機体だが。選ばれた英雄が持ち去ってしまった。ゆえに、
雷華殿にお頼みしたい。先に出発したもう一機の対クロイツ絶対奏甲『イェフ・ハウ
ンド』と合流し、ルナティックを撃破して欲しい」
 「事情はわかりましたが……私には絶対奏甲が……」
 「安心しなさい。私達用の対クロイツ絶対奏甲『アルフ・ドリュッケン』があるわ」
雷華の言葉を遮り葵が言う。
 「ついて来なさい。見せてあげるわ」
そう葵が続けて言い、長老の家の地下に向かい階段を下りていき、その後を雷華とディー
が続き降りていく。
 「すごい……この家の地下にこんな施設があるなんて……」
階段を下りた先にあったのは、最高峰といっても過言ではない設備郡のある場所だった。
そしてその中心に1機の綺麗な青い絶対奏甲があった。
 「すごい綺麗な青色……」
そうディーが呟くと
 ≪ありがとうございます≫
そうどこからとも無く声が聞こえる。
 「この声は!?」
 「この機体よ。クロイツ・シリーズよりしっかりとした意思を持ち、会話も可能。乗り
 手を補助するためのものらしいわ」
 ≪始めまして雷華様。アルフとおよび下さい≫
 「アーカイアの技術はこんなものまで作れるんですね……」
そう驚く雷華に葵は言う。
 「違うわ。少なくとも、今のアーカイアの技術ではこれと同じ物は作れないわ」
 「え?……それって…」
 「こいつとほぼ同じ能力なのは、先に話した対クロイツ絶対奏甲の2体、クラフト・シ
リーズのみね。さぁ、とっとと出発の準備をしなさいすぐにここを発つわよ」
 「アオイお姉ちゃ〜ん!私も付いてく〜」
 「それじゃ、準備しましょう♪」
微妙に蚊帳の外状態な雷華を残して二人は行ってしまい
 「え?……あれ?……ちょ、ちょっと待ってくださ……じゃなかった、待ってくれ!ま
だ、説明……聞いてるのか!?」
その後を慌てて雷華が追って行く。
 ≪かなり不安なのですが……≫
 「そんなことを言われても、わしはどうすることもできんな」
じつに人間くさいアルフの質問に、どこから出てきたのか長老が答えるのみであった。

つづく


あとがき
 また、三ヶ月も経ってしまいましたorz
 こんにちは、Akiraです。
  何だかんだで始まりました。雷華のお話の第二部です。なんだか、無理やり詰め込ん
 だ感がありますよね……自分で言うのもなんですが……。まぁ、予定通り雷華の『歌姫』
 と『絶対奏甲』は出しましたから良いとしてください。
  歌姫とか絶対奏甲とかディーとかの方の詳しい設定は、キャラ設定や絶対奏甲設定で
出しますので、そちらの方をごらんになってください。絶対奏甲の方は、かなり無茶設
定ですが、勘弁してください。
 そういえば、話は変わりますがルリルラのオンラインゲームも終るそうですね。最後
になるのなら、白銀EDが見たいのですが……無理そうですね…。私の持ちキャラ2体
も投入しているのですが……片方、課金切れで追い出されてしまった方2人も抱えてる
んですよ。戦術を組むのが大変です。だからといって追い出したくもないですしね。
どうなることやら……
 で、次回の雷華のお話ではキョウスケ・桜葉さんが登場予定です。つまり、クロスS
Sというわけなのですが、『連続』を目標にしているため、参加者(?)を交流掲示板で
募集中です。興味のある方はぜひ。
 それと、イクスさんの所のコンテストに出した作品2つを、加筆修正してこちらで載
せてもらう予定です。お楽しみに。
それでは、このへんで。
また、次回のあとがきでお会いしましょう。Akiraでした。

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