俺は普通の…本当に普通の人生を送っていた。
それこそ、何の変化もない…言う人が言えばその人生はつまらない人生だと言うだろう。
けどそれでも良かった、何もない。
それは十分幸せな事に繋がっていると思っていたから……。
でも、あの事件で全てが変わった。あの事件で、『親友達』を失った。悔しかった、情け
なかった…自分が一番大事に思っていた親友達をわけの分からないやつに、次々と殺さ
れるのを見てる。それしかできなかった自分が……親友を助けることが出来ずそこから、
逃げ出してしまった。
自分が……悔しくて、情けなかった……そう、『ここではないどこかへ…』そうやって
逃げ出したくなるほどに……だから逃げた、アーカイアと言う異世界に…前の世界に
居たくなかった、だけど一つだけ本当に一つだけ前の世界で気になることがある。
あの時、わけの分からないやつに親友が襲われた時……あいつらは、あの親友達は
自分になんと言っていたのだろうか……俺はそれが知りたい………


幻想戦記Ru/Li/Lu/Ra二次創作小説
見えない何かを捜すために… 『アセビ 花言葉:あなたと二人で旅をしましょう』


 白い光が晴れるとそこは一面の草原が見えた。白い光の中からは一人の少年が現れる。
 (ここは…どこだ?)
 辺りを見ながら少年は考えた。その視界の中に、ふと人が見えた気がしてそちらの方
を見た。その視線に自分と同じ年齢に感じられる少女の背中が映った。
(いた!あの子にここはどこか聞いてみるか…)
そう考えて草原の中を少女に向けて走っていく。
少女のそばまで行くと、気付いたのか少女が振り返って待っていましたと言わん
ばかりの笑顔で言った。
「待ってたよ!私の英雄さん♪」
「え?…えっと、はい?」
疑問の声を上げる少年を無視して少女が更に続ける。
「私の名前はアイリス、アイリス・シンフォニー。ちなみに、歳は16。あなたの
名前は?」
「えっ?あ、俺の名前は 驟雨(しゅうう)、春丘 驟雨(かすおか しゅうう)。
シュウってよんでくれ、それと俺も16歳だ。」
多少戸惑いつつ少年、驟雨が答えると少女、アイリスは驟雨の手をつかみ
「それじゃ、自己紹介も終わったことだし…。町へレッツゴー!!」
 「や、ぜんぜんわけわからないぃ!?」
そういって走り出した…

 ――数十分後……
 「とっうちゃーく!!」
 そうやたら元気な声でアイリスは町の中の工場のようなところで立ち止まる。
 「こ、怖かった……」
 そう呟いたのは驟雨だった。それもそのはず、先ほどまでいた草原から人外の速さで
 走るアイリスに振り回されながらここまで引っ張ってこられたのだ。
 「こんにちは〜!!リーシャ伯母さんいる〜?」
 アイリスは半ば死に掛けている驟雨を引きずりながら、その建物の中に入って誰かの
名前を読んだ。すると、奥の方から声が聞こえてきた。
「アイリスかい!?こっちに来な!!」
どうやら、お互い顔見知りのようである。
アイリスが声のした工場の奥の方にある事務所のようなところに驟雨を引きずって
入っていく。
「今日は何しに来たんだいってその引きずっているのは…あんたの英雄かい?」
「そっ!私の英雄様♪だから、奏甲を貰いにきたの。」
事務所のような所に置いてある机の一つに座っている女性がアイリスに話しかけ、
それにアイリスは答えた。
「…とりあえず落ち着きな。おい、あんた大丈夫かい?」
女性がアイリスを落ち着かせながら、驟雨に話しかける。
「だ、大丈夫です。そんなに、やわじゃないですし……それより、今俺の置かれている
 状況の詳しい説明をお願いします……」
何とか立ち上がりながら驟雨は答えた。
「アイリス、あんた何も教えないでここまで来たのかい?」
「あはははは……忘れてた…」
「まぁ、とにかく教えてやるよ。そこのソファーに座りな」
そういって、二人を座らせて自分も向かいに座りまずは自己紹介をした。
「あたしは、リーシャ、リーシャ・ノイン。あんたは?」
「俺は、驟雨、春丘 驟雨。シュウと呼んでください、よろしくお願いします。」
「わかった。こちらこそ、よろしくシュウ。それじゃ、話を始めよう。」
そういって、リーシャは話し始めた、

異世界 アーカイア、宿縁で結ばれた歌姫、巨大ロボットの絶対奏甲、自分のような
英雄、そして化け物の奇声蟲という存在
全てがまるでファンタジ−の世界
そして、英雄は奇声蟲になってしまうと言うことそのせいで、今世界は戦争をして
いる…

「俺って無茶苦茶タイミング悪い時に来てないですか?……」
と言う、驟雨の問いに躊躇うことなくリ−シャとアイリスは首肯した。
「まぁ、仕方ないさ。さて、まずは奏甲選びだ。ついてきな。」
そうリーシャに言われて、二人がついていった所は先ほどの建物と繋がっている
隣の建物の中だった。その建物の中に置かれている、数々の奏甲を指差してリーシャが
言う。
「さぁ、この中から一体だけ選びな。それがあんたの奏甲だ。」
そう言われるまでも無く驟雨が奏甲を眺めていると一つの奏甲に目が留まる。
「あの奏甲は?」
驟雨がその目に留まった奏甲を指差してリーシャに訊ねる。
「あぁ、こいつは『ビリオーン・ブリッツ』高性能の機体さ。だけど――」
「じゃあ、これにしよう。装備はそこにある刀がいいんだけどいい?」
驟雨はリーシャの説明をさえぎり決めて更に装備の要望も出す。
「……それじゃこっちきな。あんた達用に調律をしなきゃなんないからね。」
リーシャはため息をつきつつそう言った

それから数時間後、驟雨とアイリスは街中を歩いていた。あれからした『調律』なる
作業は実に簡単に終わったのだが、その後の調整とやらは時間が掛かると言われた
ため、アイリスの歌姫としての登録をしに行った帰りである。
「さて、そろそろ奏甲に乗れるようになってるかな?」
「う〜ん、たぶんもう大丈夫だと思うよ。行ってみる?」
「そうするか…」
驟雨とアイリスがそう話しながら歩いていると突然とてつもない爆発音が聞こえてきた。
最悪なことに、工房の付近のようだ。
「いったいなんだ?あの爆発音は?」
そう疑問に思っていると巨人のような影が見えた。
「な!?奏甲が街を襲ってる?!」
驟雨が驚くとアイリスが悲しそうに言う。
「召喚された英雄の人たちの全てが善人じゃなかったの…」
「なるほど…悪いやつもいたってか……とりあえずあれを止めないと街が大変なこと
になる。急いで俺たちの奏甲を取りに行くぞ!」
 「うん!それじゃ行くよ!!」
 アイリスがそう言って驟雨の手をつかみ自分に歌術を使用して猛スピードで走り出した。
 「ってまたこれかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 驟雨の絶叫が混乱していた街中に響き渡った…

数分後、準備の終わっていた奏甲に乗り込んだ驟雨の姿があった。
「敵さんはナイフを持ったやつの一人だけだよ!」
リーシャが奏甲に乗った驟雨に言う。
「分かりました!それじゃアイリス行くぞ!!」
「うん!!」
そう言って驟雨は敵の向かい奏甲を走らせ刀を抜いて切りかかるが、敵は気付いて
いたのかあっさりとかわされる。
『ほう、この街には英雄がいたのか』
その敵の声を聞き驟雨は、驚き。そして、怒気をはらんだ声で言う。
「お前は!!俺の親友達を殺したやつだな!!」
『ほう、貴様あの時一人だけ逃げた小僧か?丁度いいここで片付けてやる。逃げる
なよ?』
 「今度は逃げない!!親友達の仇をとってやる!!」
シュウはそう言い放ち再び敵に切りかかった。

 それから数日後工房でツインコックピットに改造されたビリオーンに乗る驟雨とアイ
リスの姿があった。
「行くのかい?」
そう訊ねるリーシャに驟雨は答える。
「ええ。陣営に参加するよりも重要なことが出来ましたし、あいつを倒したいです
から…」
先日の戦闘はアイリスの支援歌術のおかげで『奴』を撃退できたのだが逃げられて
しまったのだ。そのため、驟雨たちは陣営に参加せずに『奴』を追うことにしたの
だった。
「それじゃ行くぞ!アイリス!!」
「うん!旅にしゅっぱ〜つ!!」
彼らの旅は今始まったばかりである………


あとがき
『見えない何かを捜すために…』の1作目です。
こんにちは、Akiraです。
一様、ちょこっと修正はしてます。
2作目を載せてもらうのでこっちもあったほうが良いと思い若干修正。
なんか、もっと書きたかったことがあった気がするのですが………思い出せません。
まぁ、2作目が思いのほか好評だったのはびっくりでした。この1作目は一票しか投票
されなかったのに……リベンジ成功でしたからよかったんですけど。
忘れている書きたかったことが思い出せたら、こちらは修正が入るかもしれません。
と、中途半端な感じで失礼します。
では、次回のあとがきでお会いしましょう。
Akiraでした。

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