●この物語は、ROL第3クール開始を記念して創作されたSSです
●この物語の時間軸は、各SS作家の作品とは異なるパラレルワールドとご理解下さい。
●この物語の元ネタは、PT[そこいらの旅人」のPT掲示板での会話や戦闘結果を、
 天凪優夜が勝手に脚色し、SS風味に仕上げたものです。
●よって各キャラの発言が、そのまま文章に反映されています。
●時々、ネタの鮮度に若干の時間差がありますが、製品上の問題はありません。
●尚、原材料に遺伝子組み換え食品は使用されておりません。

その21

今日は「そこいらの旅人」は、お休みです。
と、いうのも、PT皆さんの絶対奏甲が、整備場でお休み中だからです。
これまでの戦闘では、目だった損害を受けませんでしたが、一度戦えばどこかが壊れるのが絶対奏甲です。
アークドライブの点検。各関節のガタ調整。曲がってしまった装甲板の交換。フレームの応力検査………。
丸一日を費やしても、奏甲が新品の状態に戻る事はありません。
ただほんの少し時計の針を逆戻りさせて、スクラップになるのを遅らせるのが精一杯だと、店長さんがぼやいていました。
わたしにはよく判りませんけど、精密な機械……特に兵器というのは、そういうモノらしいです。


ラルカ「………きゃう〜?」
コニー「きゃう〜」
ラルカ「………だぅ?」
コニー「だぅ」
ラルカ「………うきゃあ〜?」
コニー「うきゃあ〜」

優夜 「………」
ルルカ「? 何しているんですか、優夜さん?」
優夜 「いや、チョッカイを出すのもなんだかなぁ〜、って思ってな………」


ポリポリと頭を掻く優夜さんの姿が、ちょっと意外でした。
優夜さんにも、ほんのちょっぴりくらいなら「良心」って言葉が、残っていたんですね。
できればその良心を、少しくらいわたしにも向けて貰いたいのですが………。
あまり期待しないで、気長に待っているのが良さそうです。


ブラ 「ラルカ殿にもなついてるようだな。ほほえましいことだ」
レグ 「……よくわからんが、そうなのか?」
ブラ 「そうなのだ。そしてこの時期の教育が後々に大きな影響を与えると言う」
レグ 「三つ子の魂、百まで……か」
ブラ 「くれぐれも、『余計』なことを吹き込まないでくれ。優夜殿」

ベル 「な〜んか最近代わり映えしないね〜」
桜花 「何を言っているんです。代わらない日常も私達の得た立派な結果です」
シュレ「そんなこと言ってると、また面倒が起こるんだよきっと……」


なにはともあれ、今日は久し振りに平和な一日でした。
でも、シュレットさんの言葉ではありませんけど、明日から大変な事になりそうな気がします。
できればこんな予感は、外れて欲しいのですが………。

さて、明日はどうなっているのでしょうか?

その22

昨日の日記を読み返して、わたしは自分の予知能力にため息をつきました。

優夜 「『女王』だ! 女王を退治しよう!」

今朝になって突然、優夜さんがこんな事を言い出したのが始まりでした。
『女王』というのは 、『闇蒼の歌姫』さまのお城『紫月城』に潜んでいる、四捨五入した表現を使うなら奇声蟲の親玉です。
既に集会場付近に出没していた奇声蟲はほぼ一掃され、後はこの『女王』を退治すれば、ボサネオ島を脅かしていた奇声蟲の脅威は、
消滅する事になると言われています。
だから優夜さんの発言は、機奏英雄としては非常に模範的だと思うのですが………。

優夜 「だって、ソッチの方が面白そうだし」

……これです。
自分の実力も顧みる事もなく、ただ「面白そう」をその行動基準の根幹に置くなんて、不謹慎を通り越して滅茶苦茶です。
無謀と勇敢を一緒にしてはいけないと、古い警句がありますが、優夜さんの場合は無謀ですらありません。
むしろ、キチ●イだと思います。

それなのに、他の英雄さんの方々まで………。

レグ 「ほう、『女王』か……面白い………」
キョウ「ラスボス退治ってやつだろ? やろうぜ、やろうぜ」
ミル 「あたし達の『歌』を『紫月城』に響かせましょうー!」

すっかりヤル気になっていました。
……まぁ、コチラの方々は、優夜さんと違ってとても頼りになる戦力なので、むしろ参加された方が世界の為だとは思いますけど。

ブラ 「『女王』もいいが……私のことも、それぐらい興味を持ってはくれないのだろうか………」

そうボソリと呟くブラーマさんが、少し印象的でした。
一方、桜花さん達は………。

桜花 「さすがに女王と言われる相手に素手は………」
シュレ「じゃあ、ライトボウで空から打ってみよう♪」
ベル 「いや〜、桜花は器用だね♪」
桜花 「刀は……使わせてもらえないのですね………」

若干一名を除き、コチラも随分と愉しそうでした。
こんな調子で、本当に奇声蟲の親玉を倒す事ができるんでしょうか?

その23

今日、「そこいらの旅人」は『女王』討伐を目指して、集会場を出発しました。
目的地はもちろん、『紫月城』。
でも、そこに辿り着くまでには、まだ多くの奇声蟲が残っているみたいです。
その多くは貴族種を含まない衛兵の群なので、大した事はありません。

ところで最近、ブラーマさんは欲求不満が溜っているみたいです。


ブラ 「はっはっは、雑兵ごとき我々の敵ではない!!」
レグ 「どうやらストレスが溜まってるようだな」
ブラ 「……誰のせいだと思ってる」
レグ 「? ……優夜か?」


一応、この件に関する限り、優夜さんは関係ありません。
朴念仁も、度を過ぎると罪という事です。
レグニスさんは、優夜さんとは別の意味で、色々と精進しないといけませんね。

まぁ、ブラーマさんとコニーちゃんが側に居る限り、大丈夫でしょうけど。
ブラーマさんには、色々な期待を込めて、これからも頑張って欲しいと思います。

その24

今まで『無手』で戦い続けてきた桜花さんですが、さすがに『女王』が相手とあって、
新しく『弓』を装備したのは以前にも書きました。
弓を引く桜花さんは、キリリとした眼差しがとても際立つのでステキです。
そんな桜花さんを観て、優夜はこんな事をのたまいました。

優夜 「おっ。桜花が弓を装備している」
ルルカ「みたいですね」
優夜 「あれはきっと、空からオレのハートを射止めたいっていう、意思表示に違いない」

わたしは思わず、空を翔けるフォイアロート・シュヴァルベに向かって、こんな祈りを捧げました。

ああ、お願いです神さま。その弓矢で、どうかこの人を死なない程度に串刺しにしてやって下さい、と……。

そんな願いが通じたのでしょうか?
今日はいきなり貴族種と遭遇して、激しい戦闘になってしまいました。
それはもう文字通りの混戦で、優夜さんですら否応なく戦闘区域の真っ只中から抜け出せなかったほどです。

優夜 「ゼェ……ゼェ……。な、なんか最近、オレにばっかり戦わせてないか?」
ルルカ「そうでしょうか? きっと気のせいですよ」

と、その時でした。

ザシュ!

いきなり優夜さんの奏甲の真横に、桜花さんの放った矢が降ってきたのです。
それはもう、思わず「おしいっ!」と思っちゃったくらいでした。

後で訊いたのですが、桜花さんが狙ったのは優夜さんではなく、直ぐ側で優夜さんを狙っていた奇声蟲だったそうです。
混戦の中、味方の危機にいち早く気付き、狙った獲物を冷静に射抜くなんて、スゴイ技術だと思います。
こういう頼もしい仲間と一緒なら、噂に訊く『女王』だってきっと倒せるに違いありません。

なにはともあれ、今日の戦いで『紫月城』への突破口は開きました。
明日はいよいよ、『女王』との決戦です!

その25

今日はわたし達『そこいらの旅人』にとって、ボサネオで「一番長い日」になりました。
色々ありましたけど、それは全て今日の為にあったのだと、今になって痛感しています。

思えば長いようで、短いような戦いの連続でした。
でも今日、『そこいらの旅人』は遂に『紫月城』に突入。
まさかのまさかで、本当に『女王』と遭遇したのです。

ベル 「さあ桜花! 見せてあげなさい本当の女王というものを!」
桜花 「いえ、私は一介の武芸者で……」
ベル 「そして私達の名をアーカイア中に轟かせるのよ!」
桜花 「………」
シュレ「この頃ストレス溜まってたからね……。気が済むまで言わせてあげてよ……」

ベルティさんの啖呵を皮切りに、わたしを含め、ブラーマさんやミルフィーさんの歌声が、『紫月城』を満たしました。
そして………なにやら呆気ないほど、戦いは『そこいらの旅人』優勢のまま進みました。
これが本当に『女王』なのですか? 
っと、思わず首を捻ってしまうくらいに………。

レグ 「これが女王か……噂以下だな」
ブラ 「いや、物の本によるともっと強いはず……」
レグ 「しかし少し包囲して集中打しただけで、もうボロボロだぞ?」
ブラ 「鬼の集団か、このPTは」

ところが、順調だったのはここまででした。
この後、深手を負った『女王』は、噂に訊いた『絶対防御』をついに発動したのです。

と、ここまで書いたところで、今日はもう疲れてしまいました。
なんといっても今日の戦いは、歌術の歌い続けでしたから……。

この続きは、また明日という事で………お休みなさい。

その26

『女王』の繰り出した『絶対防御』の前に、絶対奏甲の攻撃が弾き返されます。
キョウスケさんのブロードソードも、桜花さんの弓矢も、レグニスさんが得意とする接近攻撃ですら、通用しません。
ましてや優夜さんに至っては………。

優夜 「これが噂に訊く『女王』の絶対防御ってヤツか」
ルルカ『ど、どうするんですか、優夜さん!』
優夜 「こういう時は目には目を、歯にはハニワをってね」

自信満々に言い放ち、優夜さんは突然、ケーファを丸く蹲らせました。
その姿は、『カブトムシ』というよりも『ダンゴムシ』に近くて………。

優夜 「さぁ、どうだ! 来るならきやがれ!」
ルルカ『………ハァ〜』

わたしは歌術を紡ぐのも忘れ、盛大なため息を吐き出してしまいました。
っていうか、頭が割れるように痛かったです。。

レグ 「慌てるな。必ずどこかに急所があるはずだ」
ブラ 『なるほど。だが、それを一体どうやって探す!?』
キョウ「コアだコア! 攻撃して音が違ったり、点滅したりするところに一点集中攻撃だ!」
ミル 『コ、コアって……何?』
ベル 『構うことないわ桜花! アンタの弓をジャンジャン浴びせかけなさい!』
桜花 「はぁ、もうやってはいるんですが……」

『絶対防御』に包まれた『女王』に、皆さんがこれでもかと怒涛の猛撃を浴びせ掛けました。
それは殆ど「タコ殴り」という表現がピッタリで………。
とにかく『女王』は、手も足も出せません。

やがてレグニスさんの一撃が、遂に『女王』の頭部を砕き、戦闘は終結したのです。

レグ 「絶対など存在しない。俺に急所が見抜けないとでも思ったか」
ベル 「ああ、私達が引導を渡す予定だったけど、レグニス様ならしかたないわ……」
シュレ「いいかげんやめなよ、見っとも無いから」
ベル 「お黙りなさい! いいわまだまだ有名になるチャンスは幾らでもあるもの」

ちなみに………。

優夜 「さぁ! どっからでもかかってこい!」
ルルカ「あの〜、優夜さん?」
優夜 「話しかけるなルルカ! 今が見せ場だ!」
ルルカ「その格好のどこが見せ場なのかは判りませんけど、『女王』ならとっくにレグニスさんがトドメを刺しちゃいましたけど?」
優夜 「………あれ?」

いえ、「あれ?」じゃなくって。

ブラ「ごくろうだった、レグ。ところで、あそこで丸くなってる物体はどうする?」
レグ「海にでも捨ててくるか」

残念な事に、レグニスさんが思い止まったので、優夜さんは『無傷』でお城から帰ってきました。
もちろん、後で皆さんと一緒に殴っておきましたけど。
それはもう、顔の形と容積が変わってしまうくらいに、しっかりと。

その27

今日がアーカイアにおいて、歴史的な一日であった事は間違いないと思います。
多くの人々にとって既に周知の事とは思いますが、『白銀の歌姫』様による衝撃的な宣言が世界を駆け抜けたのです。
この日、ボサネオの各地で大きな混乱が起こったと訊きます。
それでも評議会に残った人。
『白銀の歌姫』様を信じて『白銀の暁』に参加した人。

そして………。

全っっっ然、変わらない人!

ラルカ「お兄ちゃん、蟲になるの?」
優夜 「ガォ〜〜〜。食べちゃうぞぉ〜〜〜」

なんていうか、もはや突っ込む気力すら生れませんでした。

レグ 「………なんなら、今の内に退治しておくか?」
ブラ 「いや、さすがにそれはまずいだろう」

キョウ「んで、これからどうするんだ?」
ミル 「どうしよっか?」

桜花 「あの、どこかに刀を置いてある所は無いのですか?」
シュレ「たしか、南の方にあったような」
ベル 「ふっふ〜ん、私をさし置いて意思をとうそうというのなら、カードで勝ってからにしてもらいましょうかね、桜花さん♪」
桜花 「それは……あまりに横暴では……」

レグ 「とにかく、一端この島を離れるぞ」
ブラ 「そうすると、『ボサネオ放浪記』と言う名が矛盾するが?」
レグ 「そんなことは、知らん」


………旅はまだまだ続きます。

その28(キョウスケ・桜葉氏作)

ついに明かされた奇声虫の謎、白銀の歌姫の謀反・・・
世界が混乱に近づいているっていうのに、このPTは相変
わらずですね

というわけで、今日はエタファで奏甲の乗り換え・整備で
す



ルルカ:・・・で、どうしてよりにもよって、キューレヘ
ルトなんですか?
優夜:またまた♪ 本当は判ってるいるク・セ・ニ♪
ルルカ:優夜さんっっっ!
ラルカ:・・・ラルカ、出番?



「キューレヘルト」

カタログスペックで見る限りでは突式ですけど、元々はア
ーカイア人が独自に虫の撃退をするために開発されたもの
で、実験段階においては、廃人と化したアーカイア人もい
ると言われてます
ルルカの叱責ももっともですけど、それを軽く笑い飛ばす
なんて・・・!(以下、筆跡が歪んでいるため解読不可)

でも、ラルカって奏甲扱えるんですかね〜?
DMCSもまだ試作段階だし、どうやて動かすのかとと気
になりますね

その29

さて、今日の『放浪記』は私、ブラーマが書いている。
実は日が落ちてからルルカ殿が体調を崩し、少し熱を出してしまったからだ。
昨日今日と色々とあって、おそらく疲れが出たのだろうな。
まぁ発熱といっても微熱だし、ラルカも側に付いている。きっと明日になれば元気も戻るだろう。

……というより、元気になってもらわないと困る。
私にはコニーの事もあるし、優夜殿の面倒を見切れる自信などないからな。

その優夜殿だが、なにやら最近、自分がラルカの教育係であるとの自負に目覚めたらしい。
無垢というか、素直というか、ラルカは優夜の言葉を鵜のみにするから、困ったものだ。

実は今日も、こんな事があったのだ。


優夜 「正義の味方の心得、その1!」
ラルカ「……その1」
優夜 「どんなに危機的な状況にあっても、絶対に負けてはならない!」
ラルカ「……ならない」
優夜 「その2! 必ず一回はピンチを作り、お茶の間の視聴者を盛り上げること!」
ラルカ「……盛り上げること」
優夜 「故に!」
ラルカ「……故に?」
優夜 「その3! 絶対に最初から本気は出さない!」
ラルカ「……出さない」


全く。どうしてこうもペラペラと、平然と嘘を並べなれるのか、もはや謎だ。

ルルカ「優夜さん! またそんないい加減なウソをラルカに吹き込んで……!
    正義の味方の心得は、取り敢えずは正体は隠す事です!」


ちなみにルルカ殿の言葉も、何かが違うと思うのは私だけだろうか?

その30

これまでの旅の疲れがたまっていたのでしょうか、昨日は少し熱を出してしまいました。
わたしが言うのもなんですけど、人間やっぱり健康が一番ですね。
でも、ラルカが優しく看病してくれたおかげで、もうすっかり大丈夫です。
今日からいつも通り、旅の記録を続けます。

さて、わたしが眠っている間に、「そこいらの旅人」の装備も新しくなりました。
優夜さんがまた勝手に奏甲を、それもよりにもよってキューレヘルトに変更した事は、ティセさんの記録の通りです。
それ以外にもレグニスさんがシャルラッハロートVへ、キョウスケさんがビリオーン・ブリッツに乗り換えました。
桜花さんだけが、そのままファイアロート・シュヴァルベのままです。

優夜 「護衛だ護衛! キャラバンの護衛をしよう!」

と、いきなり優夜さんが騒ぎ始めました。
なんの事かといいますと、謎の襲撃者に襲われて立ち往生している人達がいるそうです。
なにやら曰くありげな絶対奏甲を輸送中だとか………。

ルルカ「……例の『張子の虎』論ですか?」
優夜 「うん♪」
ラルカ「『張子の虎』論?」
ルルカ「護衛の仕事は、ただ立っているだけで済むという、怠け者さんの発想の事です」

レグ 「それは違うぞ優夜。『護衛がいるから襲撃がない』のではなく、『襲撃が来るから護衛を雇う』のだ」
ブラ 「つまり襲撃を前提に考えるべきだ、と?」
レグ 「当たり前だ」

多分、レグニスさんの意見の方が、百倍は正しいと思うのはわたしだけでしょうか?
まぁ、性根とその魂胆はともかく人助けには違いありませんし、反対の意見もありませんでしたので、
わたし達はキャラバンの護衛に向かう事にしました。



ところで昨夜、ラルカが持ってきてくれた蜂蜜入りの擦りリンゴ………。
とっても美味しかったのですけど、どうしてアレがわたしの大好物だって、ラルカは知っていたのでしょうか?
ソレに隠し味に、レモンの絞り汁を少し足したあの味付け。
ひょっとして………だったら、嬉しいかも………。

戻る