●この物語は、ROL第3クール開始を記念して創作されたSSです ●この物語の時間軸は、各SS作家の作品とは異なるパラレルワールドとご理解下さい。 ●この物語の元ネタは、PT[そこいらの旅人」のPT掲示板での会話や戦闘結果を、 天凪優夜が勝手に脚色し、SS風味に仕上げたものです。 ●よって各キャラの発言が、そのまま文章に反映されています。 ●時々、ネタの鮮度に若干の時間差がありますが、製品上の問題はありません。 ●尚、原材料に遺伝子組み換え食品は使用されておりません。 その31 結論から言いますと、正しかったのはやっぱりレグニスさんでした。 わたし達が護衛に就くやいなや、所属不明の奏甲が襲い掛かってきたのです。 ルルカ「優夜さん! ハイリガーが三機、正面から来ます!」 ハイリガー・トリニティー。 『聖なる三位一体』を意味する、それなりに上位機種の絶対奏甲が、正面から連なるように突撃してきます。 その独特のフォーメーションに、優夜さんが叫びました。 優夜 「今時流行らないジェットストリームアタック崩れってかい?」 ルルカ「優夜さん!?」 わたしは戸惑い、我が目を疑いました。 何故なら優夜さんが、自分から襲い来る敵機に向かってキューレヘルトを突進させたのです。 そして次の瞬間、戸惑いは驚愕へと飛躍しました。 何故なら……… 優夜 「ならば、お約束通りに踏み台にしブベェ!」 ルルカ「ああ!? 優夜さんが踏み台にされたぁ!?」 ハイリガーが次々と、優夜さんのキューレヘルトを踏み潰していったのです。 優夜 「変だ。アノ展開は絶対に、勝ちパターンのハズなのに………」 キョウ「………ぶざまだな、優夜」 レグ 「この程度の敵に、なにを手こずっているのだ?」 ちなみに優夜さんを踏み潰したハイリガーは、一機残らずキョウスケさん達が退治しちゃいました。 メデタシメデタシ………かな? その32 折角の新型奏甲も、昨日の戦闘でいきなり壊れてしまいました。 唯一の救いは、量産型のキューレヘルトの部品は安いので、自然と修理費も安いって事です。 そんなワケで今日は一日、ずっとエタファに留まっていました。 こんな日は、丸ごとお休みのようなものなので、今日はゆったりとした平和な一日なりました。 ………ゴメンなさい。ウソです。 今日もいつものように……いえ、いつも以上に騒がしい一日になってしましました。 ラルカ「……ゴスロリ?」 ことの始まりは、ラルカのこの一言からでした。 ティセ「は、はい?」 ラルカ「ティセお姉ちゃん、ゴスロリ?」 ティセ「………誰がそんな事を言っていましたか?」 ラルカ「お兄ちゃん……。ティセお姉ちゃん、ゴスロリでユリだって言ってた」 ティセ「誰お兄ちゃんが言ったんですか?」 ラルカ「? 優夜お兄ちゃん」 ティセ「あ、てっきりアイツかと……って、ゴスロリはともかく「百合」って? 私が!?」 ラルカ「………(コクコク)」 ティセ「……この件については、徹底的に問いただして見ますか」 ラルカに確認をとったティセさんは、なんだか物凄く恐い顔をしながら、優夜さんを探しに行きました。 ちなみにお二人とも、未だに帰ってきていません。 どうやら危険を察知した……というか、自分で危険を招いたようなものですが……優夜さんは、一足先に逃亡していたみたいです。 こういう時だけ、用意周到なので困ったものです。 壊れたキューレヘルトはしばらく直りそうにありませんし、帰って来るのはいつの事やら。 その33 ある程度予想はしていましたが、今日も優夜さんは帰ってきませんでした。 明日にはキューレヘルトの修理も終わるそうので、その時に帰ってくるのでしょう。 さて、今日は桜花さんが弓の練習をしているのを見学しました。 桜花さんはいつも冷静で物腰が柔らかく、礼儀正しい美人さんで、しかも強いというスゴイお方です。 でも、それは普段から切磋琢磨しているからで、決して何もしていないのに強いというワケではないようです。 冷静で礼儀正しいのも、きっと精神の修行も欠かしていないからだと思います。 全く、どこかのダメダメ英雄さんも、少しは見習ってもらいたいですね。 ところが今日は、そんな桜花さんの意外な一面を見てしまいました。 シュレ「桜花、何しているの?」 桜花 「弓の練習です。少したしなんだ程度だったので、カンを取り戻すために」 ベル 「じゃあさ、今度優夜が帰ってきたら、標的代わりにて撃ってみない?」 桜花 「人に向けては危険です……」 桜花さんは一瞬、呆れたような顔をしましたが、直ぐに表情を引き締めて的を見据えようとしました。 その時です。 ベル「……『百合』」 桜花「え!? …あ」 ベルティさんの呟きに、なんと桜花さんの手から弓がこぼれてしまったのです。 しかも心なしか、引き締まっていたはずのその面持ちが、微妙に蒼ざめているではありませんか。 ベル 「ほっほう〜。桜花さん……どうやら『百合』に思うところがあるようですね?」 桜花 「な、ななな、なんの事でしょうか?」 ベル 「じゃあその辺は後でゆっくり聞きましょうか?」 桜花さんは首を振りながら後ずさりしましたが、後の祭りとはこの事です。 ベルティさんにしっかりと捕まって、どこかに連れ去れてしまいました。 ………まぁ、仕方がない事だと思います。 だって桜花さんって、本当〜〜〜に素敵な方なんですから。 同性に好かれるのも、むしろ当然だと思いました。 その34 優夜さんの理論によると「バレないのなら意味がない。気付かれないくらいなら、ヤメた方がマシ」だそうです。 思わずスリッパで叩きたくなるようなこんな台詞を、真顔で語るのが『天凪優夜』という機奏英雄さんです。 そして、良くも悪くも有言実行。 今朝になって堂々と、優夜さんは帰ってきたのです。 それもワザと、ティセさんの目につくように! ティセ「こらぁ〜! 待ちなさ〜〜〜い!」 優夜 「逃げろキョウスケ!」 キョウ「っていうか、何でオレまで!? ……て、うわぁ!?」 ティセ「フフフ。さぁ、捕まえましたよ。優夜さんも大人しくしないと、この人質がどうなるかわかりませんよ? ……どっちにしても殺しますけど」 キョウ「無茶苦茶だぁ! っていうか、助けろ優夜!」 優夜 「……判っているさ、キョウスケ。お前の分まで、オレは生きる!」 キョウ「死んでしまえ、この薄情もの〜〜〜!」 ティセ「……じゃ、二人とも死んで下さいね♪」 で、この後お二人はティセさんの制裁を受ける事になりました。 ところで、どうして関係のないキョウスケさんまでが? ちなみにこの現場を目撃したレグニスさん曰く、 レグ 「二人死ぬよりも一人死んで、一人生き残るほうがいいだろう」 ブラ 「そういった効率論ではないと思うのだが……。とくにこの場合」 わたしもブラーマさんと同じ意見です。 というか、無関係なキョウスケさんが憐れだと思いました。 そんなこんなで、明日はトラバンデンシュタットに出発です! その35 エタファを出発したわたし達は、一路トラバンデンシュタットを目指しています。 他にも北のシュヴェレを目指す案もありましたが、結局はハルフェアに向かう事になりました。 優夜 「南だ! 海だ! 温泉だ!」 ラルカ「・・・・・・だぁ」 と、遊ぶ事ばっかり考えている人も居るみたいですが、もちろん旅は遊びではありません。 それはそうと、最近ベルティさんが紡ぐ歌を『エルタァ・セレナード』から『三人の歌姫のソナタ』に変えました。 シュレ「そういえば、いつの間に紡ぐ歌術を変えたの?」 ベル 「ほら、やっぱり私ほど優秀だと、いろいろ歌いたくなるじゃない」 シュレ「でも結局、個人対象の歌は歌わないんだね……」 ベル 「そうよ!私はぜぇぇぇぇったい、『あれ』だけのためには歌わないって決めたんだら」 シュレ「さいですか」 だ、そうです。 まぁ、判らないでもないですが、一応ベルティさんの言う『あれ』の宿縁としましては、ちょっと複雑です。 もっとも、当人曰く…… 優夜 「いやはや。相変らずテレ屋さんだねぇ〜、ベルティは。ひょっとして、ゾッコン?」 と、もはや『電波』という言葉すら生温いアッチ側の世界を浮遊しているみたいなので、放っておきましょう。 その36 予想外の事は、よくある事です。 今日という日は、それを嫌というほど思い知らされました。 トラバンデンシュタットに到着するや否や、妙は人だかりができていました。 でも、それがトラバンデンシュタットの住民でない事は、一目見てわかりました。 だって、人だかりの殆どが機奏英雄……つまり、男性の方だったからです。 ルルカ「なんの集りでしょうか?」 ブラ 「なんでも『美人コンテスト』とかを始めるらしい」 ミル 「え〜と。何かな、ソレって?」 シュレ「なんでも男から見て、一番魅力的な女性を選ぶ催しらしいよ?」 ベル 「マジでっ!?」 一瞬、ベルティさんの目の色が変わりました。 っていうか、ブラーマさんやミルフィーさんも、目の色が変わってました。 ちなみにわたしは………。 ラルカ「お姉ちゃん、どうかしたの? 目、すごく怖い………」 だ、そうです。 ほんの少し、自己嫌悪………。 そしてこの後、予想通りというべきか、予想を裏切らないというべきか……。 優夜 「お〜〜〜い! 皆よろこべ〜! 歌姫四人、エントリーしてきたぞ〜〜〜!」 こうなってしまうんですよね。 明日は一体、どうなってしまうんでしょうか? その37 本当に、予想外の事は起こります。 優夜さんがわたし達をエントリーさせた「美人コンテスト」ですが、困った事に主催が現世騎士団だったのです。 それの何が困った事かといいますと、実は現世騎士団の中に、レグニスさんと因縁の関係にあたる人物が居るからなのですが………。 優夜 「………なぁ。さすがにちょっと、マズクないかい?」 レグ 「ヤツの気配がないなら、問題ないだろう」 優夜 「あ、そうなの? だったら別に騒いでも構わないワケだ。 うわぉっ! ベルティちゃん最高! コッチ向いてぇ〜〜〜!」 レグ 「………しかし、これは一体何をしているのだ?」 流石優夜さんです。 ひょっとしたら次の瞬間、周囲の騎士団全員が銃口を向けてくるかもしれない中で、平然と騒いでいました。 それも「お願いですから少し静かにして下さい!」ってくらいに。 一方、楽屋は楽屋で賑やかでした。 ベル 「というわけで、応援よろしく〜〜〜♪」 シュレ「うわ、優夜を完璧無視だよこの人……」 桜花 「いいですかベルティ、女性の美しさというものはそもそも外見的な………」 この後、桜花さんのお話しが延々と続きました。 こんな調子で、明日の本選は大丈夫なんでしょうか? 激しく不安です………っていうか、優勝は誰に??? その38 波乱が波乱を呼んだ美人コンテスト。 その結末も、一部の無責任な英雄にとっては、実に波乱含みなものとなりました。 ……そういうわたしも、この結果にはちょっとビックリしてしまいました。 下馬評では優勝の大本命と目されていたベルティさんを突き落とし、見事『女王』に輝いたのは………。 メル 「いやっっったぁぁぁ〜〜〜! ほらほらキョウスケ、優勝だって! やっぱりわかる人にはわかるのね〜!」 キョウスケさんのパートナー、ミルフィー・ジグラッドさんです! ベル 「あは……。あははははは………!」 シュレ「あ、壊れた」 桜花 「落ち着いて下さい、ベルティ。そもそも外見で優越を決め(以下略)」 ブラ 「見事だ、ミルフィー殿。おめでとう!」 レグ 「よくわからんが、勝ったらしいな」 ブラ 「それはそうとレグ……その……私はどうだった?」 レグ 「どうだった……とは、どういうことだ?」 ブラ 「………鈍感め」 キョウ「うそだ……。あの奇声発生型歌姫が優勝なんて………!?」 ミル 「キョウスケ〜、そんなに照れなくていいじゃない」 ティセ「無理しなくていいですからね……」 ちなみにわたしは………まぁ、予選落ちではありませんでしたとだけ、明記しておきましょう。 それはともかくとして、現世騎士団と一緒に大声ではしゃいでいた優夜さんが、かなり恥しかったです。 ……ある意味、大物なのかもしれません。 その39 昨夜はベルティさんが暴れて大変でした。 一緒になって、朝まで騒いでいる人もいましたけど。 美人コンテストで優勝を逃したのが、よほど悔しかったのようです。 かくいうわたしも、ちょっとダケ二日酔いだったりします。 優夜 「飲め飲め〜〜〜。今日は無礼講だぁ〜〜〜!」 キョウ「毎日が無礼講のヤツが、何を言ってんだか」 キョウスケさんの意見に、わたしも大賛成です。 ちなみにブラーマさんも、ヤケ酒を煽っていました。 原因はもちろん、レグニスさんの朴念仁が原因のようです。 そんなこんなで、複数の酔っ払いと二日酔いを抱えながら、ゼンタルフェルドシュタットに移動しました。 優夜 「……………と、いうワケだ。判ったかな?」 ラルカ「ん………」 優夜さんが、ラルカに何かを吹き込んでいるのがちょっと……いえ、かなり気になるところですが………。 どうか穏やかな明日が、訪れますように。 その40 さて、この「そこいらの旅人」の記録も、今回でめでたく40回目を迎えました。 その40回目に、やってくれましたよ、あの人は! ええ、それはもう本当に、これまでの中で最高にタチの悪い騒動を! 騒動の発端は本日の依頼、「新種奇声蟲退治」から始まりました。 なにやら飛行タイプのクラゲのような大型奇声蟲が存在するらしく、皆さんでソレを退治に向かったのですが……。 わたしはいつものように、歌術『剣と盾のノクターン』を紡ぎました。 そして自らの迂闊さに、愕然としたのです。 ルルカ「この歌でチャチャっと……って、ラ、ラルカぁ!?」 ラルカ「……ん?」 キューレヘルトに乗っていたのは優夜さんではなく、なんとラルカでした。 ご丁寧に、いつの間にかラルカ用の調律まで済ましている手の込みよう。 どうしてこういう事だけ、あの英雄さまは労力を惜しまないのでしょうか!? もちろん新種を退治した後……思っていたより弱かったです……全員で優夜さんを探しました。 ルルカ「優夜さん! 優夜さん! 優夜さんは何処に行きましたかぁぁぁ! 今日という今日は、絶っっっ対に赦さないんですから!」 桜花 「ラルカちゃんは、何か知らないのですか?」 ラルカ「………知らない」 キョウ「おい! ここに書き置きがあるぞ!」 ブラ 「いつの間にそんな物を………」 優夜 『エタファに行きます。探さないで下さい』 ルルカ「あのダメダメ英雄さまはぁぁぁぁ〜〜〜! 追いますよ、ラルカ!」 ラルカ「………お姉ちゃん、恐い」 こうして、わたしはラルカを連れて、優夜さんを探しにエタファへと向かいました。 PTの皆さんに迷惑が掛かるので、これを機会に「そこいらの旅人」から離れようかとも思いましたが、 皆さんも一緒に追いかけてくれるとの事なので、ご好意に甘える事になりました。 とはいえ、皆さんは奏甲の整備の為、今日は一日動けません。 なのでわたしとルルカは、先行して出発します。 そういうワケですから、逃がしませんよ優夜さん! |