●この物語は、ROL第3クール開始を記念して創作されたSSです ●この物語の時間軸は、各SS作家の作品とは異なるパラレルワールドとご理解下さい。 ●この物語の元ネタは、PT[そこいらの旅人」のPT掲示板での会話や戦闘結果を、 天凪優夜が勝手に脚色し、SS風味に仕上げたものです。 ●よって各キャラの発言が、そのまま文章に反映されています。 ●時々、ネタの鮮度に若干の時間差がありますが、製品上の問題はありません。 ●尚、原材料に遺伝子組み換え食品は使用されておりません。 その51 ヴラオヴァッサァの自爆に巻き込まれてしまった優夜さん。 死んだと思っていたら、実は生きていました。 以上、前回のあらすじ(?)です。 と、冗談はホドホドにして、今日はとってもステキな事がありました。 昨日の報酬として、特別に黒真珠のネックレスをいただいちゃったのです。 桜花 「報酬のほかに、このネックレスを頂きましたが……」 ベル 「じゃあこれ私の♪ ね、いいでしょ♪」 桜花 「構いませんよ、普段からベルティの歌術には助けられていますし」 ベル 「やりぃ♪」 シュレ「豚に………」 ベル 「そこ! 余計な事を言わない!」 ラルカ「………真珠さん?」 ルルカ「はい♪ えへへへ〜。ホラホラ、優夜さん」 優夜 「………や、悪いけど、今のオレはそれどころじゃないから………」 優夜さんはベッドの上で、グッタリとしていました。 ルルカ「昨夜、海水浴を堪能しすぎたからです。何事も、ほどほどにしましょうね」 優夜 「別に好んで、一時間も海中に沈んでいたワケじゃないんだけどね……」 ルルカ「それよりも、どうですか? 似合ってますか?」 優夜 「………せめて五年後、その童顔をもうちょっと改善させたら、似合うかもしれない……かも?」 ルルカ「うぅ〜! どうして優夜さんは、素直に褒めてくれないんですか!?」 優夜 「真実ってのは、人を傷つけるように出来ているからねぇ〜」 取り敢えず、頭にきましたので、一発殴っておきました。 それにしても、五年後ですか………。 ラルカ「………?」 この子に負けている……なんて事は………やっぱり………あるかも……………。 その52 「私はブリギット。シュピルドーゼの栄光ある軍人だ」 と、いきなりわたし達の前に、随分とお困りの様子の軍人さんがやって来ました。 なんでも代々伝わる大事な宝剣を盗まれてしまい、取り戻しに行くところだそうです。 ところが相手は絶対奏甲まで持っているたしく、さすがに生身では厳しい、と。 そこでわたし達の噂を聞きつけて、助っ人を頼みに来たみたいです。 優夜 「よし!困っているブリキッドちゃんを助けよう!」 皆が返答をするより早く、優夜さんが言いだしました。 これにはちょっと、ビックリしました。いつもならお仕事の依頼なんて全くヤル気を見せない、あの優夜さんがです。 でも、次の言葉で納得しました。 優夜 「そして彼女を庇う為に、傷つき倒れるオレ………。その時彼女は、真実の愛を悟るだろう!」 まぁ、こういうおバカさんは放っておくに限りますが、今回は人助けも兼ねています。 わたし達は喜んで、ブリギッドさんの助太刀を引き受けました。 ………とはいえ、相手はたった一機のシャッテンファルベだけです。 レグ 「敵は一機か」 ブラ 「どうかしたのか、レグ」 レグ 「いや、俺も奏甲ではなく、生身を相手にしていたほうがよかったか、と思ってな」 ブラ 「やめてくれ、余計な死人が出そうだ」 レグさんの言葉通り、1機対3機では勝負は最初っから見えています。 一方、その足元にたむろしていた生身の盗賊さん人達は、ブリギットが1人、また1人と倒していきました。 ちなみに優夜さんは、グラオグランツで生身の人間を追いかけていました。 さすがに生身が相手だと、優夜さんも無類の強さを発揮できるみたいです。情けない事に………。 こうしてわたし達は、あっさりと盗賊さんを蹴散らして、無事にブリギッドさんの宝剣を取り戻しました。 「これは礼だ。これでも奏甲用と一組のアークブレードだ。持っていってくれ。」 そしてご自分が使っていた剣……アークブレードを、わたし達に報酬代わりに授けてくれたのです。 ラルカ「……この剣、綺麗」 幻糸の力が付与された長剣は、まるで芸術品のような輝きを宿していました。 そんな立派な剣を、よりにもよって………。 優夜 「お〜〜〜。売れば高そうな剣だな、コレ」 こんな人に渡してしまって、本当によろしんでしょうか? ベル 「ほらほら、桜花。剣だよ剣♪」 桜花 「私は、『剣』ではなく『刀』の方が………」 シュレ「良かったね、桜花♪」 桜花 「二人共……わかってて言ってますね………」 ミル 「わ〜、まるで●●●みたい〜」 ティセ「ミルフィーもミルフィーで酷い事言いますね」 キョウ「どうだ! 俺にだってなぁ、レアな武器のひとつやふたつぐらい訳ないぜ!」 ティセ「あれ……、優夜ですら所持してること知らないんですかね〜」 ミル 「………うん、多分」 結局、優夜さんが質屋に持って行こうとしたアークブレードは、ラルカに預ける事にしました。 少なくても、優夜さんが持っているより、よっぽど意義がありそうですから。 さて、明日はベグヴェーム。いよいよハルフェアに到着です。 その53 今日、ようやくベグヴェームに到着。 いよいよハルフェア入りを果たしました。 ブラ 「ハルフェアか……なつかしいな」 レグ 「そういえばお前はここの出身だったな」 ブラ 「うむ……あ、だからと言って店などでコネがきくわけではないからな」 優夜 「なぁ〜んだ。だったら意味がない」 ルルカ「優夜さん!」 全く、この人は………。 優夜 「んじゃ、取りあえず………」 ルルカ「ダメです」 優夜 「……まだ何も」 ルルカ「言わなくても判ります。どうせ1・浴場のアルバイト。2・更衣室のアルバイト。3・湯治するの三択だって言うに決まってます!」 優夜 「ルルカくん? もしかしてキミは、オレが遊ぶ事しか考えてないと思っているのかい?」 ルルカ「まさか違うだなんて言いませんよね?」 で、実際そうだったらしく、優夜さんは明後日の方角を眺めるだけでした。 キョウ「お? これなんか良くないか!」 ミル 「どれどれ……。え〜、なんでココまで来て戦闘なの〜!?」 キョウスケさんが持ってきた依頼は、三姉妹の機奏英雄武者修行でした。 パスカル三姉妹を名乗る三人組さんが、自分達の英雄さんを鍛えるのに、絶対奏甲で試合をして欲しいのだそうです。 キョウ「ふっ……俺は強い奴がいそうな所には出没したくなるクチなんだ」 ティセ「なら桜花さんやレグニスさんに言えば済むんじゃないんですか」 キョウ「だぁぁぁぁぁ!? なんて興ざめするような事言うんだゴスロリ!」 この後、キョウスケさんは血の海を見ました。 その54 え〜と。今日はパスカル三姉妹の武者修行を引き受けたのですが………。 なんと言えばいいのでしょう。 あっという間に、片付けちゃいました。 それはもう、問題にもならないくらい、弱い英雄さんだったのです。 まぁ、もともと4対3なので、当然といえば当然なんですけど………。 優夜 「とりゃぁぁぁーーー!」 挙句に、優夜さんにトドメを刺される始末。 と、言っても、キョウスケさんの攻撃を受けて転倒したヘルテンツァーを踏んだダケという、なんとも優夜さんらしいトドメでしたけど。 優夜 「まだまだ青いぜ!」 しかも何気に、きゃらが変わってますし………。 ラルカ「お兄ちゃん、病気?」 ルルカ「まぁ、病気といえば病気です」 それもどちらかといえば、不治の部類の病気です。 こんなので本当に、武者修行になったのでしょうか? 三姉妹とその英雄さん達の行く末が、ちょっと不安に思った一日でした。 その55 この依頼の存在を知った時、まさかわたし達が引き受ける事になるなんて………。 神ならわたしですら容易に想像がつくというのも、なんだか情けないような気もします。 そんなワケで、今日は更衣室の掃除のアルバイトです。 ハッキリ言って、機奏英雄とその歌姫がする依頼じゃありません。 どこかの英雄さんが、勝手に書類を申し込んでしまったので、仕方なく引き受けただけです。 そしてその英雄さんが、何かしらの行動を見せる事は予想していたのですが、ここで思わぬ伏兵さんが登場しました。 ベル 「更衣室といえば、覗きイベントよ!」 いきなりベルティさんが、拳を握って宣言しました。 多分、どこかで間違った知識を仕入れてしまった事が原因なのだと思いますが、そこは女優夜さん。 理屈じゃないんですよね、この人も。 シュレ「で、これが頼まれたハンドドリルだけど……」 ベル 「さすがシュレット先生、では失敬して………」 シュレ「何に使うかと思えば……普通の歌姫のする事じゃないよ……」 ルルカ「わたしもシュレットさんの言う通りじゃないかと……」 ブラ 「と、言うわりには止めないのだな、ルルカ殿?」 そういうブラーマさんも、止めようとはしません。 桜花さんは、さすがに呆れて帰ってしまいました。 ベル 「一度やってみたかったのよ、こうゆうの♪」 ルルカ「本当ですか!?」 反射的に訊ねてしまったわたしに、ベルティさんのニヤニヤとした眼差しが向けられました。 ………恥ずかしいです。 でも、こういう時のベルティさんって、本当に優夜さんソックリです。 ベル 「さぁ〜て。それじゃ早速………」 と、その時でした。入り口から、誰かが入って来たのです。 ベル 「隠れて!」 ルルカ「え、ええっ!?」 ブラ 「コッチだ、ルルカ殿!」 ブラーマさんに引っ張られ、わたしはロッカー中に身を潜める事になりました。 ベルティさんとシュレットさんも、首尾よく別のロッカーに隠れたようです。 するとガタゴトと、ロッカーを運び出す音が聞こえてきました。 狭いロッカーの中で、わたしはブラーマさんと顔を見合わせました。 何故ならロッカーを片付ける音と一緒に聞こえてくる声は、とっても聞き覚えがありましたから。 そしてゴリゴリゴリと、何かで壁を削る音。 優夜 「で、どんな具合だい、レグニスくん?」 レグ 「待て。意外に壁が硬い。しかいこんな場所に穴を開けて、何を監視するつもりだ。しかも相当、見えにくいぞ?」 優夜 「構わない構わない。見える見えないよりも、見ようとする行為それ自体に意味があるのだよ」 ルルカ「あるワケないでしょ!」 優夜 「おや、ルルカくんとブラーマくん? そんな所で一体なにを? ルルカ「それはコッチの台詞です! 優夜さんこそ何をやってるんですか!?」 優夜 「見て通り、更衣室の清掃だ」 優夜さんは胸をそらして言い切りました。 右手にはホウキの変わりにピックを、左手には棒状のカメラのような物を持ちながら。 でも、問題はソレだけではありません。 ルルカ「ここが女子更衣室と知りながら、尚も言い張りますか?」 優夜 「細かい事は、気にしない気にしない」 ルルカ「気にします! っていうか、細かくありません!」 ブラ 「で、レグは何をやっている」 レグ 「よく判らないが、覗かれる側から穴を掘るのがベストポジションへの近道らしい。違うのか?」 ブラ 「レグよ……。頼むからそんな嘘に引っ掛からないでくれ」 レグニスさんは世間知らずで素直な一面があるので、優夜さんにとっては恰好のオモチャみたいなのですが、今回のは酷すぎます。 なので、石詰めスリッパで思いっきり叩いておきました。 ブラ 「ところでレグ、あの外に積み上げてあるロッカーの山は……」 レグ 「無論、邪魔だったから更衣室から引っ張り出したものだ」 ブラ 「すぐにもどせ、というよりそこまでするな・・・」 その56 ハルフェアの都、ルリルラに向かう前に、PT内で装備の変更を行う事にしました。 と、いうのも、今日から工房に新型奏甲が入ったからです。 ただの蟲退治なら今の奏甲で問題ないのですが、この先、何が起こるか判らないのが世の中です。 特に桜花さんの場合、ボサネオ島以来、ずっと『ファイアロート・シュヴァルベ』で戦ってきたワケですし、そろそろ乗換えの時期だと思います。 それにしても、もうずっと前に整備期間の終了した機体を扱い続ける事ができるなんて、桜花さんは本当に物もちがいいんですね。 直ぐに壊してしまう、どこかの英雄さまとは大違いです。 でも、次の奏甲をどれにするかは、まだ悩んでいるみたいでした。 奏甲の選択は大切な事なので、じっくり選んで欲しいと思います。 ちなみにレグニスさんは、『シャッテンファルベ』を選んでいました。 レグ 「やはりこいつがしっくりくるな……」 ブラ 「随分前からでていたが、ようやく乗り換えた、といったところか」 レグ 「乗り換えるタイミングをはかっていただけだ。ところで店にずいぶんと妙な代物が並んでいたな」 ブラ 「あれは……まあ……気にするな」 レグ 「あれが噂のハリセンとかいう武器か………」 ハリセン………。 実に魅惑的なアイテムだったのですが、思いのほかお値段が………。 はぁ〜。貧乏って、本当につらいです。 キョウ「俺……こんなのを待ってたんだよなー」 と、キョウスケさんが選んだのは、乗機だった『ビリオーン・ブリッツ』の後継機。 「白銀の決戦機」との呼び名も高い最新鋭機『ブリッツ・リミット』です。 ミル 「ねぇ、キョウスケ? これ、リミッター解除すると歌姫が……って聞いてる!?」 キョウ「でもって桜花に対抗して刀も装備させた……。これで奴に勝てる!」 ミル 「いや、その………、私の身の保障は?」 多分、ソレはありません。 最近、キョウスケさんは桜花さんに対し、奇妙なライバル意識を燃やしているみたいなのですが、それに巻き込まれるミルフィーさんが少し可哀想です。 ………まぁ、あんまり人の事を言える立場でもないんですけどね、わたしの場合も。 なにせ優夜さんときたら………。 優夜 「………はぁ」 ルルカ「どうかしたんですか? ため息なんかついて、珍しいですね」 優夜 「キョウスケに先を越された。オレにアレに乗り換えようと思ってたのになぁ〜」 ルルカ「……そんなにわたしを、命の危険に晒したいのですか?」 優夜 「っていうか、ルルカのポテンシャルのギリギリを試してみようかと」 取り敢えず、問答無用でスリッパを叩き込んでおきました。 普通なら冗談として受け止める言葉ですけど、相手が優夜さんなダケに冗談になってません。 っていうか、衛兵種を相手にリミットを解除しそうです。 いくらなんでも、イヤですからね。 わたしはわたしのお墓に「衛兵種を相手にリミット解除をされて、命を落とした歌姫・ルルカ」なんて墓碑銘を刻む趣味はありませんから。 ラルカ「………お兄ちゃん、メッ!」 遂にはラルカにまで、ぺしりと頭を叩かれていました。 これに懲りて、普通の奏甲を選んでくれたらいいのですが………。 その57 ルリルラ。「癒しの都」の愛称を持つ、ハルフェアの都。 温泉がわく観光地で、特に他国に類を見ない王立の温泉、「王立温泉ルリルラ」は有名ですよね。 そのルリルラを目前にしたところで、絶対奏甲同士のケンカに遭遇しました。 ケンカといっても、女性にチンピラが絡んでいるといった状況でした。 女性を取り囲むなんて、赦せる事ではありません。 ちなみに取り囲まれている絶対奏甲は、見たことのない真っ白で綺麗な奏甲です。 後で知ったのですが、この奏甲があの有名な『ビリオーン・ブリッツ』の原型となった、『ミリアルデ・ブリッツ』だったので、驚きました。 そして取り囲んでいる二機の奏甲は、薄汚れた『シャルラッハロートT』。 もう、見るからに三下の悪役さんです。 桜花 「二対一で、しかも男性が女性に絡むとは、感心しませんね」 ベル 「やっちゃえ桜花! 女性の敵なんか、こらしめちゃえ!」 ブラ 「レグ。判っているだろうが、ただのケンカだ。必要以上に破壊するなよ」 レグ 「………了解した」 なので、あっさりと桜花さんとレグニスさんにねじ伏せられてしまいました。 優夜 「フッ……。オレが出るまでもなかったか」 ルルカ「優夜さんが出たら、話がややこしくなるダケです」 で、ミリアルデの中から出てきたのは、可愛らしい女の子さんでした。 お礼にと、奏甲用の大きな太刀まで渡してくれました。 当然の事をしたまでなんですけどね。 その58 今日、無事にルリルラに到着しました。 流石は「癒しの都」の愛称を持つだけあって、まさしく「観光地」といった趣があります。 ガイドによりますと、観光客に振舞う名物料理の味の審査や、通りや区域によっては洗濯物を公道に干してはいけないと決まっている場所もあったりするそうです。 ルルカ「観光客に少しでも喜んで貰うために、色々と取り組んでいるんですね」 優夜 「お金儲けも大変だ」 ラルカ「タイヘン、タイヘン」 ルルカ「そういう事は、言わないで下さい!」 この後、三人でお食事を取りました。 ルリルラ近海で捕れた新鮮な魚介類が自慢のお店で、お味はもちろん最高でした。 ルルカ「ふわぁ〜。それにしても、広々とした市街地ですね〜」 優夜 「開放的な街並みだねぇ〜。心も身体も、いつも以上に開放的になりそうだ」 ルルカ「優夜さんは、解放したらダメです」 優夜 「にしても、統一感のある街並みではあるねぇ〜。京都とか奈良を思い出すね、こういう場所は」 ルルカ「そうなんですか?」 確かに広々とした市街地は統一感があって、立ち並ぶ古代の彫刻による美しさは、ほかの都市では見られない景観です。 優夜 「思わず落書きをしたくなるけど、ダメかなぁ?」 ルルカ「ダメです」 優夜 「ホラ、あの彫刻の顔にヒゲを描いたら最高だなって思わないかい、ラルカ?」 ラルカ「ネコさんのヒゲ?」 優夜 「ルルカもそう思うだろ?」 ルルカ「思いません!」 こうして、わたしと優夜さんとラルカのデートは、日が暮れるまで続きました。 さて、わたし達が観光デートを愉しんでいる間にも、桜花さんは新型奏甲『ローザリッタァ』に乗り換えました。 桜花 「乗り換え手続きは済ませました、シュレット太刀の調整は?」 シュレ「あはは……。それがちゃんと持ち物を整理してなくって……」 ベル 「ごめん、受け取り忘れた」 桜花 「仕方がないですね、太刀と刀ではまた違いうものですし」 さて、明日は皆さんで温泉街に繰り出す事になりました。 一体、何が起るのでしょう。 その59 ルルカ「せっかくルリルラまで来たのですから、温泉に入りませんか?」 ラルカ「……温泉、入る」 せっかくルリルラに来たワケですから、温泉は外せませんよね? そんなワケで、今日は「そこいらの旅人」全員で、温泉宿に一泊する事になりました。 優夜 「ルルカくん? 何を期待しているのかは知らないけど、キミの裸なら覗かないかよ?」 ルルカ「覗かなく結構です!」 優夜 「っていうか、むしろベルティと桜花の方が……」 などと失礼かつ不謹慎極まりない発言を飛ばした後頭部を、取り敢えずスリッパで殴っておきました。 まぁ、優夜さんの失礼は今日にはじまったワケではありませんけど、手は抜けませんからね。 ちなみにこの放浪記は、お風呂上りに書いてます。 何故なら、これから宴会に突入しちゃいますから、多分、放浪記を書くどころじゃなくなるかと………。 まぁ、今日は無礼講です。 思いっきり、楽しんじゃいましょう! ブラ 「な……ここの温泉は混浴のうえに、水着禁止だと………!」 浴場の注意書きを前にして、ブラーマさんが目を丸くして驚いていました。 わたしは多分、そんな事じゃないだろうかと思ってましたけどね。 ……だって、このPTには優夜さんが居るんですから。 レグ 「他人が気になるなら一人の時に入ればいいだろう」 ブラ 「いや……それでもお前となら一緒に入っても……って何を言わせる!」 ブラーマさん。ソレ、自爆です。 レグ 「? 一緒に入りたいのか?」 ブラ 「いや、それは……その……なんというか………」 レグ 「はっきりしない奴だな」 しどろもどろのブラーマさんに、相変らず「判っていない」レグニスさん。 いつもの光景が、ちょっともどかしかったり、微笑ましかったり。 そしてわたしもラルカを連れて、温泉に入りました。 優夜さんは、意外な事に現れませんでした。 後で訊いたところによりますと、ティセさんがずっと監視していたそうです。 もっとも、何度も脱走を試みて、その度に流血沙汰になったそうですが………。 桜花 「この世界にきて温泉があった事には驚きました」 湯船には既に、桜花さんたち一行が入っていました。 ベル 「そういえばそんな事も言ってたね」 シュレ「まあ、こんなに騒がしくは無かっただろうけどね」 桜花 「そうです。騒がしくしたり、泳いだりしてはいけないのです」 ラルカ「………ん」 やさしく諭す桜花さんに、ラルカは泳ぐの止めました。 ………それにしても桜花さんって、着痩せするタイプだったんですね。 桜花さんの着ている『ワフク』って、スタイルが判りにくいので、全然気がつきませんでした。 ほっそりとした手足からは想像もつかないほど、肉感的といいますか……。 吸い付くような白い肌に、首筋に張り付く濡れた黒髪とかが、実に扇情的でした。 っていうか、卑怯です。 ベルティーさんに到っては、別次元の人です。 シュレ「………? どうしてボクの事、見つめるの?」 いえ、なんとなく、唯一親近感が持てたので………なんて、言えるワケがありません。 さて、お風呂をいただいた後は、いよいよ宴会です。 何が起こるのかは、また明日です。 その60 温泉をいただいた後は、もちろん宴会です。 ルリルラと言えば温泉ですが、実は食べ物が美味しい事でも有名なんです。 ルリルラの南やベグヴェーム側の内海などから、それぞれの違った海産物を、新鮮なままいただけるますからね。 ですから、他の土地では生が無理なお魚も、ここでならお刺身で食べられるのです。 それに漁業だけではなく、農産物も豊富ですから、お野菜も果物もとっても美味しいのですよ。 と、その前に………。 ルルカ「ング、ング、ング、プハァ〜〜〜。 お風呂上りの牛乳は、また特別な美味しさです♪」 ラルカ「………(コクコク)」 お風呂上りに牛乳一本。これは欠かせません。 優夜 「毎日牛乳飲んでいるワリに、全然成長してないとは、ヤレヤレですなぁ〜」 ルルカ「放っといて下さい」 優夜 「まぁ、それよりもだ。牛乳飲む時に、腰を手を当てるクセは、どうにかした方がいいと思うぞ?」 ルルカ「へ? どうしてですか?」 腰を手を当てて牛乳を煽るのは、全世界共通ですよね? 優夜 「判らないなら、それはそれでいいとして………の格好は、何?」 ルルカ「えへへへ。ユカタっていうんですよね? どうですか? 似合ってますか?」 優夜 「へぇ〜。ほぅ〜。ふぅ〜ん」 薄での生地に突き刺さる優夜さんの眼差しに、ちょっぴり顔が熱くなるを感じました。 だって、本当に薄いんでしょ、ユカタって……。 優夜 「こうやって見ると、ルルカって本当に、胸が小さいんだな」 カッコォーーーンッ! 今日はスリッパじゃなくって、つっかけで殴ってみました。 スリッパとはまた違う手ごたえと木の音色が、なかなかいい感じです。 レグ 「浴衣か……研究所での手術前に着せられた、簡易着によく似ているな。ところでだ……」 と、こちらはこちらで見当違いな事を、真顔で仰っているレグニスさん。 そのお隣では、ブラーマさんが真っ赤な顔をしたまま椅子に腰掛けています。 レグ 「さっき一緒に風呂に入ってからずっとあの調子だ。どうにかならないか?」 ルルカ「湯あたりでしょうか?」 レグ 「いや、滑って転びそうになったところを支えただけなんだがな。……そういえばついでにタオルが外れたな、ブラーマの」 レグニスさんは、不思議そうに首を傾げました。 この人はこの人で、困ったものですよね。 朴念仁も、度を過ぎると犯罪です。 ミル 「えへへ〜、私も着ちゃった〜wど〜お〜?」 キョウ「なんの真似だ、そりゃ?」 擦り寄るミルフィーさんを、冷たい言葉で突放すキョウスケさん。 この人もこの人で、問題児です。 もうちょっとミルフィーさんに、優しくして上げてもいいと思います。 ミル 「ガァァァ〜〜〜ン! うぅぅ………死ねぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」 この直後、ミルフィーさんの愛と怒りと悲しみの拳がキョウスケさんの顔面を直撃。 キョウスケさんが、鼻血を噴水のように噴出しながら倒れてしまいました。 さて、残るは桜花さんたちの一行ですが………こちらは平穏そのものです。 シュレ「桜花〜これどう着るの〜」 桜花 「はいはい、ちょっと待ってください」 ベル 「ねえ、これ少しキツクない?」 桜花 「それぐらいで丁度いいのですよ」 そして、いよいよ宴会に突入したわけですが………。 残念ながら、記憶がありません。 乾杯早々、わたしの記憶が飛んでしまったのです。お恥しい事ながら………。 優夜 「は〜い。ルルカくん、いつもご苦労さまだねぇ〜。そんなワケで、まずは一杯♪」 ルルカ「わたしを酔い潰そうとしても、無駄ですよ」 優夜さんの魂胆は、見え見えです。 差し出された酒瓶をわたしは舌を出して跳ね返し、わたしはお茶を一息に煽りました。 まさか酒瓶の中身がお茶で、お茶と思っていたものがお酒だったとも気付かずに………不覚! |