学園編 第一話『そして彼は宙を舞う…』


 朝、彼「春日 雷華」はいつもどうり6時に起きる。
 スーツを着て顔を洗い寝癖を直してから6時半頃に食卓へ。
 「おはようございます」
 彼はすでに食卓についている3人の女性に挨拶をする。
 「おはよう」
 「おはよう!」
 「おはようございます〜」
 葵、リーシャ、最後に眠そうなフィズルの順に返事が返ってくる。
 雷華が席に着くといっせいに
 「「「「いただきます」」」」
 といって食事が始まる。
 「今日の食事当番は、葵さんだったよね?」
 雷華が問う。この家ではみなが順にその日の食事を作るのだ。
 「そうよ」
 葵が答える。
 「やっぱり、葵さんの料理は美味しいね」
 雷華はやっぱりという顔でいう。
 「え、そうか…」
 照れながら言う葵。
 「朝から仲良いねあんた達は」
 茶化すようにリーシャが言い、フィズルが
 「邪魔しちゃダメですよ〜師匠」
 と言う。そう言われて葵と雷華は顔を赤くする。
 「今日から新しい学校かい?」
 笑いながら、リーシャが尋ねる。
 「ええ、そうです」
 なんとか冷静になった雷華が答える。
 「え?時間大丈夫なんですか?」
 と言って時計を指すフィズルに言われて目線を時計に向けながら葵が答える。
 「まだ、大丈夫で…」
 時計を見た葵は固まる…それもそのはず時計は7時半を指していた。
 「な!?十五分も予定を過ぎてるじゃないですか!」
 雷華も時計を見て葵とともに慌てて準備をして、
 「「いってきます!」」
 二人同時に言って玄関から嵐のように去っていく。それを見ながらリーシャは
 「大丈夫なのかね〜」
 と言って、フィズルと共に盛大にため息をついた。
 
 「さあ!急ぎますよ!」
 雷華はそう言い葵と共に黒いトランザムに乗り込む。
 「セフティーを起動させといてください、キット」
 雷華は車に話しかける。
 『わかりました、雷華』
 車が答える。実はこの車、雷華によって改造されていて人工知能も搭載しているのだ。
 「え?セフティー?」
 葵が恐々と尋ねたとたん車はものすごいスピードで公道を、右に左に車を避けながら
走っていく。
 「いやーーーー!!!!」
 葵の悲鳴と共に…
 
 キィキィー!!!
 鋭いブレーキ音と共に一台の車が大十字学園の教員用駐車場にとまり中から人が出てくる。
 「ふぅ〜、何とか間に合いましたね。」
 7時45分を指す腕時計を見ながら雷華は言う。
 「?…どうしたんですか葵さん?」
 こぶしを握り締め震える葵に雷華は尋ねる。
 キッ!!
訊ねられた葵は鋭く雷華をにらみつけ、
「どうしたんですかじゃ、ないわよ!!!」
「死ぬかと思ったじゃない!!」
そう言うと共に鉄拳を雷華に放つ。
「ごふっ!!!」
そうして彼は宙を舞った。
学園内で、スーツ姿で宙を舞う男性が目撃されたのはいうまでもない。
ちなみに、警察に注意されて免停寸前になったのも言うまでもないことである。



あとがき
 「『学園SS』、ならば雷華は新人教師でいいだろう。」ということで書いたこのSS。
本編ではまだ出ていない『フィズル』と『葵』を登場させました。とは言っても本編ではいつ出ることやら…。
このテンションがまだ微妙な作品、これからはもっとテンション上げて書いていくつもりです。
よって、アドバイスやダメ出しのほうもよろしくお願いします。
次は、『一人旅』の第三話か、学園編の第二話のどちらかが出ます。

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