「校長代理。例の件なのですが………本当にこれでよろしいのですか?」 形のいい眉を微かにしかめ、フローネは疑念の眼差しを校長代理……バッドラックに向けた。 バッドラックは応用に手を振ると椅子から立ち上がり、校長室の窓から登校してくる生徒達を見下ろす。 「構わない構わない。下手に騒ぎを大きくするより、遙かにマシだよ」 均等に植えられた桜木立が、タイルを敷き詰めた歩道に涼やかな影を落としていた。 その並木道を抜けるように、今日も大勢の生徒が学園に登校してくる。 「そうでしょうか? この報告が事実なら………私には逆に、無用に騒ぎを大きくするだけのようにしか思えないのですが?」 フローラの声色は、いかにも不満げだった。 校内で……それも生徒の間で……発生している不祥事を、そのまま放置しておく事に抵抗を感じるのだろう。 生真面目で熱心な姿勢であるとは、バッドラックも思う。 一方で、この大十字学園のウリが、自由で伸びやかな校風である事も忘れてはならない。 「それとも何かい? フローネ君は教育委員会やらマスコミやらを名乗る、外面ばっかり気にして内面に潜む問題そのものを直視しようとしない、 アホな上にマヌケでしかも無能な集団に、謝罪の言葉を紡ぎつつ心の中で舌を出す腹話芸をしたいとでも?」 「誰もそんな事は言っていません」 「だったら、いいじゃないの。幸い教師にも生徒会にも、まだ気付かれていないんだから」 「ですから、何かあってからでは遅いと………」 フローネの言葉を遮るように、バッドラックが片腕を上げる。 「判っている。だからこその保険。だからこその『特組』。だからこそのライトスタッフだよ。………ん?」 バッドラックの見下ろす眼差し先で、生徒達に不可思議な動きが見られた。 それまで無秩序に校門をくぐっていた生徒の集団が、突如として一斉に左右に分かれたのである。 整然とではなく、まるで何かから逃げるような必死さで。 例えるなら、暴れイノシシに突撃された群集のように………。 ほどなくして、分かたれた空白地帯の中心を、一台のママチャリが猛然と突き進んで来るのが見えた。 バッドラックは、唇をニヤリと歪めた。 その笑み校長代理のソレではなく、イタズラ小僧をそのまま大人にしたような笑みだった。 風は南に夜は北に 第二話 『ルルカと優夜と靴箱の手紙』 「とうぅぅぅ〜〜〜ちゃぁぁぁ〜〜〜く!」 大十字学園の校門に、思わず耳を塞ぎたくなるような不愉快なブレーキ音が鳴り響いた。 ……否、登校中の生徒の大部分が、実際に耳を塞いだ。 彼らが目撃したのは両輪から白煙を撒き散らし、横滑りして校門をくぐる一台のママチャリだった。 瞬間、彼らは思った。「ああ、またアイツか」と。 一ヶ月前に設立されたモデルクラス……通称『特組』。 奇人変人才人異人が集められた、学園の中でも最も「濃い」集団の中でも、霞む事なくその存在を誇示し続けるトラブルメーカ。 『疾走する迷惑』こと、天凪優夜。 迷惑そうな顔は全員に共通していたが、誰も優夜を咎めようとはしない。 それも当然えだろう。関われば、必ず無事では済まない。今や新入生の間ですら、それは常識化しているのだから。 ヤツを止める事をできるのは、同じ『特組』のメンバーか、担任のジェノサイドティーチャー・ソード。そして……… 「お〜〜〜い? 生きてるか、ルルカ?」 何故かいつも一緒にいる、金色の髪をした小柄な少女……ルルカ・ソロ・エンフィールくらいなものだ。 「………不思議な事に、生きます。……っていうか、一つだけ言わせて下さい」 ヨロヨロと荷台から降りるルルカ。 「ん? 遅刻しなかった事に対する感謝と賛辞の言葉なら、別にいらないぞ? こうなってしまった原因の一つがオレにある事くらい、謙虚に認めているから」 「そうじゃなくって! お願いですから、二度と自転車で線路の上を走らないで下さい!」 「それは、つまり……………次は枕木の上を走れと?」 スパァァァァンッッ! ルルカはいずこからより取り出した、小石の詰めたスリッパを、問答無用で振り下ろした。 「今日も朝から、仲がいいね〜」 と、不意に背後から背中を叩く、聞き覚えのある声。 「お早う、ルルカ」 「あ、シュレットさん。それにベルティさんに桜花さんも、お早うございます」 ルルカはくるりと振り返り、特徴のある人間階段………もとい、シュレット、ベルティ、桜花の三人組にペコリと頭を下げた。 「お早うございます、ルルカさん。それに優夜さんも」 「うげェ。ルルカはともかく、朝から嫌なヤツに会っちゃった。もう最悪ッ」 「ベルティ。それは失礼というものですよ。それに教室に入れば、優夜さんとは隣同士でしょう?」 「だから嫌なのっ! 教室の中でも会わないといけないのに、どうしてこんな場所から顔を合わせないといけないワケ!?」 一方的で理不尽なベルティの主張に、しかしルルカは憤慨する事もなく、ただ乾いた笑みを張り付かせるだけだった。 ここまで毛嫌いされるだけの原因と素行を、優夜は毎日のように平然と行っているのだ。 自業自得……もちろん、ベルティのではない……とは、こういう時の言葉なのである。 それにベルティもベルティで、実は優夜との掛け合いを結構楽しんでいる節がある………のではないかと、ルルカは思う。 多分………ほんの少しくらいは。 「こんな所で立ち話してたら、チコクしちゃうよ? 早く教室に行こうよ」 「そうですね。せっかく命懸けで登校してきたのに、これでチコクしちゃったらバカみたいです」 シュレットの言葉にルルカは大きく頷き、玄関ホールに向かう。 優夜はまだ地面に転がっているが………まぁ、大した問題ではないだろう。 「………また朝からハードな登校をしてきたみたいね。いい加減、アレとの縁を切ったら? あんたって私ほどじゃないけどワリと可愛いんだから、カレシの一人や二人くらい直ぐに見つかるわよ?」 「はぁ……。それもいいんですけど、アレから目を離すと心配で心配で………」 「大丈夫だよ、ルルカ。その時はきっと、ベルティが面倒を見てくれるから」 「誰がぁ! ………いいわ。判ったわ、ルルカ。アンタ、しっかりとアレの管理をしとかないとダメだからね!」 「はぁ………」 生温かい返事を返し、ルルカは自分の靴箱を開き、無造作に手を入れた。 するとその指先に、上履きとは違う何か別の平べったい物体を感じた。 「………?」 ルルカは腕を引っ込め、靴箱の中を覗いてみた。 すると………。 「………手紙?」 ポツリと呟き、ルルカはきょとんとした面持ちで、靴箱の中の四角い便箋を取り出した。 ※ ※ ※ ※ ※ 教室に入ったルルカは自分の席に座ると、何気なく靴箱に入っていた手紙を眺めた。 宛名はおろか、差出人の名前すら書いていない、真っ白な便箋。 どう考えても、これは……その……アレに違いない。 こんな手紙が自分の靴箱に入っていたなんて、迷惑だなぁ〜と思う反面、少し嬉しかったりもする。 なにせ十五年も生きていて、初めて貰ったラブレターなのである。 「ねぇねぇ。それってやっぱり、ラブレターってヤツ?」 そこへ現場を目撃したベルティが、さっそくとばかりに寄ってくる。 しかも……… 「恋文……ですよね?」 「うわぁ〜〜〜。いいなぁ〜。いいなぁ〜」 と、桜花とシュレットまでが寄ってくる始末。 その上……… 「その手紙はどうされたのだ、ルルカ殿?」 ブラーマと、それに付き添うような形でレグニスまでもが、ルルカの周りに集ってきたのだ。 「その……実は………」 「ルルカの靴箱の中に入っていたんだよねぇ〜」 口篭もってしまうルルカに代わってシュレットが言うと、ブラーマは目を丸くした。 「!? そ、それはまさか……ラブ!?」 ハッとして口を塞ぎ、周囲を見渡すブラーマ。 幸いにして、その言葉はHR前の喧騒に掻き消され、誰の耳にも届かなかった。 「そう。そのまさか」 「不審物か? それとも脅迫状か?」 「レグよ………。お前とおうヤツは、どうしてそこまで………」 真顔で言うレグニスに、頭を抱えるブラーマ。 「差出人の名前が書いていない以上、その手紙の文面はルルカへの悪意を持った、第三者の可能性が一番高いと思うが? 名前を書かないという事は、すなわち自分の正体を知られたくないからだ。……卑怯者め」 「レグニスさんの考えている可能性の方が、ボクは一番低いと思うけどなぁ」 「便箋に名前を書かなかったのは、卑怯だからではなく恥しかったからでしょう。おそらく同封されている手紙の中に、書いてあるかと……」 「? 中身に名前を書くのなら、便箋に名前を書くのも同じではないか? 何故、そんな誤解を招くような真似をする必要がある?」 「頼むからレグ、それ以上は喋るな」 疲れたような声で、ブラーマ。 その疲れ具合が、どこか他人事のように思えないルルカだった。 それにしても………。 ルルカは横目で、全く近寄ってこようともしない優夜の背中を一瞥した。 ……気にならないのだろうか? ルルカは手紙に視線を落とした。 優夜も手紙の事は知っている。なのに何も話し掛けてこないのは、自分がこんな手紙を貰っても関心がないからだろうか? 例えば自分が……優夜以外の誰かと親しくなろうと関係ないと、そう考えているのだろうか? だとしたら、自分は………。 「どうしたのよ、ルルカ? 早く封を開けちゃいなさいよ」 「こ、ここでですか?」 「今が開けようが後で開けようが、内容が変わるわけじゃないんだから、いいじゃない」 「でも………」 ルルカはもう一度、優夜の背中を一瞥する。 やはり、こちらに来る様子はなく、ガサガサと机の中を漁っている。 次第にルルカは、胸の奥底から湧き上がって正体不明の苛立ちを感じた。 ……そうだ。きっと優夜には関係がないのだ。だったら、自分が誰から手紙を貰おうが、それこそ関係がないハズだ! 刹那的な感情の命じるままに、ルルカは意を決した。 そして便箋の先を摘まみ、一気に封を破ろうとした。 「………ちょっと待った」 瞬間、ルルカの腕を誰かが掴んだ。 ベルティやブラーマの眼差しが一瞬、驚きに満ち、やがてニヤニヤとしたものに変わる。 ルルカの腕を掴んだのが、優夜だったからだ。 もっとも、一番驚いていたのは、他ならぬルルカ本人だったが。 「な、なんですか優夜さん? 邪魔をしないで下さい」 ともすれば裏返りそうになる声を必死に押さえつけながら、かろうじて言い放つ。 心臓が早鐘のように鳴り響いていた。 けれどもそれは不快ではなく、むしろ安堵に近い類のものだったが、それを知られるワケにはいかなかった。 何故知られてはいけないのかは自分でも判らないが……なんとなく、乙女の魂的にイケナイのだ! 「や、別に邪魔をするつもりはないんだけど………ちょっとその手紙、机の上に置いてくれない?」 「……………?」 よく判らなかったが、ルルカは言われるままに便箋を机の上に置いてみた。 他の面々も、優夜が何をしたいのか皆目見当もつかないといった面持ちで、首を傾げている。 やがて優夜は、ポケットの中から平べったい金属の塊……磁石を便箋の上にかざした。 カチンッ! 刹那、便箋は見えざる重力の糸を切って跳ね上がり、磁石に吸い付いたのだった。 「「「「「「……………は?」」」」」」 優夜を除く全員の時間が、一瞬、硬直した。 一体、何が起こったのか? 目を丸くして、不可思議な便箋と磁石を凝視する。 「なんとなく怪しいなぁと思ってたら、やっぱりそうか。ところでレグくん? 小型のナイフを貸してくれない?」 「……………ああ」 優夜はレグニスからナイフを受け取ると、慎重に便箋の封を裂きはじめた。 果たして便箋の中から姿を現したのは、四方に張り巡らされたカミソリの刃と………。 『死ンデシマエ!』 と、書かれた一切れのメモ。 「………な、なんだ、コレは?」 最初に硬直から立ち直ったブラーマが、呻くような声で呟いた。 「やはり……。俺の考えが正しかったという事か」 と、こちらは心持ち胸を反らせながら、レグニス。 「や、それは違うと………いや、正しいのかもしれないが、だが、しかし………」 「それにしても悪質なイタズラだわ」 「ねぇ、ルルカ。何か心当たりはないの?」 「こ、心当たりって言われても…………」 ルルカは蒼白に染まった面持ちを上げ、僅かに声を震わせた。 何が何だか、ルルカ自身もサッパリ判らない。 いや、理性はソレを認識しているのだが、感情の方が未だにマヒしているらしい。 正直、人に恨まれるような覚えは、ルルカにはない。 だとしたら、コレは一体なんだというのだろう? タダの悪質なイタズラだろうか? それともレグニスの言うように、自分への敵意を持った第三者からの脅迫だとしたら………? 仕込まれていたカミソリの刃は鋭く、普通に便箋を破いていれば、間違いなく指を切っていたところだ。 そこまでされるほどの恨みとは、一体………? それが思い当たらず、まるで見えない恐怖が圧し掛かってくるような錯覚に、ルルカは小刻みに肩を震わせた。 「大丈夫ですよ、ルルカさん。これはきっと、不特定の誰かを狙った悪質なイタズラです。別にルルカさん個人を狙ったわけではないでしょう」 そんなルルカを労わるように、桜花が優しく声を掛ける。 「そうだよ、ルルカ。ルルカは優夜さんやベルティと違って、他の誰かから恨みを買うような事してないもん」 「………そこでどうして私の名前が出るかはともかくとして、確かにこのチビスケの言う通りだわ」 「そう決め付けるの早計だ。本人が気づいていないだけで、どこかで恨みを買っている可能性は否定できまい。」 「レグよ。何も今ここで、そういう可能性を論ずることも………」 「いや、危機管理としては、常に考えられる最悪の事態を想定すべきだ。このような手紙を送りつけられた以上、安易な楽観論は危険だ」 「………これは大胆な推理かもしれないが」 と、前置きして、それまで黙っていた優夜が口を開いた。 「ひょっとしたら、コレは本当にラブレターなのかもしれないな」 「……………はぁ?」 その言葉に、全員が耳を疑う。 「だから、学園でのルルカの行動をかえりみてみると、必ずその近くにオレがいるだろ? って事は、オレのファンから見れば、ルルカは赦し難い敵として映っていても不思議じゃないって事だ。 つまりこの手紙は、オレへの遠まわしなラブレターって可能性が………」 「あるかぁ!」 叫ぶと同時に、ベルティが渾身のグーを優夜の下顎に叩き込む。 強烈なアッパーカットを喰らった優夜は、天井スレスレまで跳ね上がり、そのまま垂直に落下した。 「アホは放っておいて、どうするルルカ?」 「どうするって言われても………どうしたらいいかなんて……わたし………」 と、そこへ……… 「………お姉ちゃん、どうしたの?」 「ラ、ラルカぁ!?」 遅れて登校してきたラルカが、不思議そうな面持ちで近づいて来た。 この『特組』は、年齢による区別を完全に無視したモデルクラスなので、ルルカとラルカは姉妹でありながらクラスメートでもあるのだ。 「? お姉ちゃん?」 「なんでもない! なんでもないのよ、ルルカ?」 慌てて手紙を鞄の下に隠すルルカに、桜花達も合わせるようにしてラルカの視線を遮るように前に立つ。 「?」 不思議そうに、首を傾げるラルカ。 と、その足元に転がっている優夜に気が付き、ちょこんと横に屈む。 「お早う。お兄ちゃん」 「………お早う、ラルカ」 挨拶を交わす二人の姿に、ルルカは肺の空気を吐き出した。 何はともあれ、ラルカに心配だけは掛けたくない。そして幸いにも、手紙は気付かれなかったようだ。 (………でも、コレ……どうしよう………) ルルカはもう一度、先ほどとは違う種類のため息を吐き出した。 ※ ※ ※ ※ ※ 結局ルルカは、この日の授業はほとんど手につかなかった。 こうも露骨に、誰かの悪意をぶつけられた事がないルルカにとって、今回のコレは相当なショックだったのだ。。 唯一の救いは、手紙の件は当初のメンバー以外、誰にもバレていない事なのだが………。 「ハァ〜〜〜〜〜」 それも大した慰めにもならず、ルルカは何度目になるかすら判らないため息を、盛大に吐き出した。 「お悩みのようだね、ルルカくん」 「………いいですね、優夜さんは。悩みなんて、コレっぽちもなさそうで」 不意に近づいてきた締りのない優夜の顔を、ルルカはうろんげな眼差しで一瞥した。 どう見てもコレは、状況を楽しんでいるとしか思えない。 別に慰めてほしいわけではないけれど、少しくらいは励ましてほしかったのだが、やはり無理な注文らしい。 きっとこの辺りの心情と苦労は、ブラーマなら判ってくれるに違いない。 あまり建設的ともいえない思考を漂わせるルルカに、優夜はいつもの調子で話し掛けた。 「で、実際のところ、どうなんだい? 犯人の心当たりは、やっぱりゼロ?」 「………ありません」 「だったら、取るべき手段は一つだな」 「………?」 「コッチから犯人を探し出す」 実に愉しそうな面持ちで、優夜は言った。 帰宅するラルカを見送った後、ルルカは優夜に連れられて、体育館の二階に移動した。 そこは玄関ホールを監視するには、遠すぎず近すぎず、最適の場所と言えた。 「………で、それは別にいいんですけど」 ルルカは後ろを振り返る。 「どうして皆さんが揃って、ここに居るのですか?」 後ろには優夜以外にも、ベルティ、シュレット、桜花、そしてブラーマの姿すらあった。 「どうしてって言われても、ねぇ、シュレット?」 「ボ、ボクに振らないでよ!?」 「皆さん、ルルカさんの事が心配なんですよ」 「そ、そうだぞルルカ殿。決してただの好奇心ではないぞ」 そういう台詞は、口に出すと信用度が薄れてしまうものなのだが………。 ともあれ、優夜と二人だけというよりは、確かに安心感はある。 何より犯人捕縛用として、レグニスが校舎で待機しているのが心強い。 「それよりだ。問題は、犯人が今日も来るのかどうかだ」 「昨日の今日だしねぇー。向こうも警戒しているかも」 ブラーマとベルティの疑問ももっともだったが………。 「いや、来るね。向こうも結構、切羽詰ってるみたいだから」 自信満々に、優夜は言い切った。 もっとも優夜の自信など、なんの参考にもならないので、誰も相手にしなかったが。 果たして………。 「………あっ」 ルルカは小さい声をこぼした。 人気のない玄関ホールに、誰かがやってきたのだ。 その人影はキョロキョロと挙動不審な行動をした後………ルルカの靴箱に近づいていった。 『ルルカと優夜と靴箱の手紙』(終) あとがき 『靴箱』で『手紙』とくれば『ラブレター』と連想するところで、敢て『カミソリ』とくるワナ。 楽しんでいただけたでしょうか? 学園ものでラブレターという王道も、優夜が絡めばこの通り。 後半では、手紙の送り主と意外(?)な展開をお届けする予定です。 果たして『特組』の問題児集団は、見事真相を突き止められる事ができるのか? この前編に引き続き、読んでいただければ幸いです。 それでは。 天凪優夜 |