ラウロッシュ家は豪邸である
玄関ホールなんて一流ホテル並の広さがある
玄関から正門まで続く庭の大きさなんてT○KY○ドーム数個分である
今、豪華に装飾された両開きの玄関扉がメイド二人によって開かれ、ブレザータイプの制服に黒マントを羽織った青年が顔を出す。
それを見て、玄関から正門まで続く道の両脇に控えた「朝のお見送り部門」担当のメイド達が一斉にお辞儀する
ネレイス「カイゼル様、ご登校ー!」
カイゼル「快晴か、ふむ、悪くない」

極王道学園ラブコメディSS「ラヴルラ」
第1極 〜快晴!みんなの朝〜

朝は戦場だ。私はそう思う
サレナ「いそがしいそがし。電子レンジでお肉解凍して、卵割って、あー!お鍋吹いてるー!」
カイゼル様にお昼のお弁当を作ってあげるようになってもう結構たつ。
私はすっかり日常の一部となった朝の忙しさにしかし今だ翻弄されながら二人分の弁当を作る。
サレナ「もーう!余計な手間増やさないで!」
愚痴をこぼしつつ鍋の周りを拭く。きちんと掃除しているヒマはなさそう。
サレナ「卵焼き完成!続いて豚カツ!ジャガイモとニンジンの煮物にナポリタンにごはんっと完成!」
今日の出来はなかなか。寝過ごしたのにこれだけ作れたなら上出来。
ガス、電気、窓の鍵を指差し確認・・・オールOK・・・
サレナ「ああっ!?制服に油跳ねてる・・・エプロンしてる意味ないじゃないもうっ」
急いで簡易シミ抜き。そこそこに済ませると玄関へダッシュ
サレナ「いってきまーす」
誰へともなく出発の挨拶を言って私は通学路を小走りに歩きだした。

朝は気を引き締める時です。わたくしはそう思います。
ここはラウロッシュ家女性使用人部門の控え室。豪華なメイド服を着たメイド達が整列している姿はいつみても圧巻です。
ネレイス「朝の点呼!左から!」
メイド達「1!2!3!4!5!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100!」
朝の点呼だけは大声で、メイドたるもの慎ましやかに行動するのが常ですがこの時だけは別。
ネレイス「全員遅刻なしですね。よろしい」
メイド1「ネレイスメイド長、今日のご予定を発表いたします」
ネレイス「ええ、お願いしますね」
メイド1「本日は午後7時よりケルブレイド家との会食が予定されています」
ケルブレイド家、何かと対立することの多い家ですがその程度の事で態度を変えていたらメイドの名がすたるというもの。
それ相応のおもてなしをしなければなりません。そのためには・・・
ネレイス「はい。では5時には帰ります。それまでは各員持ち場の仕事をしていなさい」
メイド達「はい!」
ネレイス「ではラウロッシュ家女性使用人部門基本精神復唱!」
ネレイス「一つ、いつも笑顔を絶やさずに!」
メイド達「一つ、いつも笑顔を絶やさずに!」
ネレイス「二つ、仕事は素早く確実に!」
メイド達「二つ、仕事は素早く確実に!」
ネレイス「三つ、奉仕は心なり!」
メイド達「三つ、奉仕は心なり!」
ネレイス「以上!それでは各員持ち場に付きなさい。解散!」
挨拶を交わすとそれぞれ散っていくメイド達。いい娘達ばかりです。
ネレイス「さて、ではわたくしも登校するとしましょう」
メイド1「ネレイスメイド長、教職用メイド服です」
ネレイス「ありがとう」
華美な装飾を省いた教職用メイド服を着込むとわたくしは「赤い跳馬」に乗り、いざ登校です。
ネレイス「いってきます」
メイド1「いってらっしゃいませー」

朝は楽しい。キャロルはそう思うの。
キャロル「ちぇいやー!」
まずは銭湯のお掃除。ゴシゴシビューンでピカピカー。
キャロル「ほにゃーー!」
んで次はご飯。おいしいよ。
キャロル「いっってきまーすっぅ!」
今日は快晴!きっと今日も楽しい日!

朝は気合を入れる時。当たり前だ
ガルフ「野郎共!今日も暴走だ!いぃくぞぉ!」
チームの面々「応ーーーーーーー!!!!」
我の家は豪邸だ。ラウロッシュの糞屋敷よりちょっと小さいのが頭にくるがとにかく豪邸だ。
でかい庭にはチームの奴等のバイクがずらり。気持ちのいい光景にアドレナリンは全開だ!
ガルフ「登校!!」
チームの面々「いってきまーーーーす!!!!」
ヴォンヴォンヴォンヴォン!チャリンチャリン!
チュドーーン!
ガルフ「・・・チュドーーン?」
チームの面々「敵襲!敵襲!」
突然の爆発音に振り向く。十字架を背負ったバイクが網膜に焼きつく・・・あいつはあいつは!
ソード先生「朝からうるさいぞおまえらぁ!」
ダララララララララララララララ!
チュドチュドチュドチュドチュドーーーーン!!!
火を吹く悪魔の咆哮、仲間が次々にやられていく。
ガルフ「きぃっさまぁ!」
こうなれば突進あるのみ。残った仲間を連れて総攻撃しかねぇ。
ソード先生「甘い!甘いんだよヒヨッコども!もう少し頭使え!」
ブン!
黒い塊が飛んでくる。あの先公、何投げやがった。
チームの面々「パイナポー!?」
横で何故か発音のいい「パイナップル」との声。まさか!?
バグオォォォオオン!!
ガルフ「げっはぁ!」
チームの面々「明日から歩きにしましょうよぉーーーー!」
知らなかったな・・・空がこんなに気持ちがいいものとは・・・
グシャ!
・・・・・・

朝は・・・考えた事もないわ。あえて言うなら時間の一部。
百合菜「また派手にやられたわね・・・」
愛馬ルピナスにまたがったまま地面に張り付いてる問題児を見つめる。少々頭痛もしてきたかしら。
ガルフ「ぅ、ぅるせぇ・・・」
百合菜「ほら、しっかりしなさい」
愛馬から降り、強がるお坊ちゃまを起こしてあげる。でも本人はその行動が気に入らないみたい。
ガルフ「さわんな!一人で立てる!」
百合菜「そう。ならいいわ」
支えていた腕を離す。1秒後にはまた地面に張り付く強情者。まったくかわいげがない子。
ガルフ「くっそぉ・・・」
百合菜「まったく・・・チームのみんなはどうしたの」
ガルフ「・・・先にいかせた」
ホント意地っ張り。しょうがない・・・
百合菜「ルピナス、お願いね」
ルピナス「ヒヒンっ」
嫌そうな顔をしながらもガルフ君をくわえ持ち上げるルピナス。ごめんね、ちょっと我慢して。
百合菜「よいしょっと」
ルピナスに乗る私。ガルフ君は目をパチクリさせて何が起こってるのかわからない表情。
百合菜「投げちゃっていいわよ」
ガルフ「何する気だ!おい!」
ルピナス「ブルッ!」
ガルフ「はがぁ!?」
空に放りだされるガルフ君。結構きれいな放物線を描くものね。
ドスン!
ルピナス「ブルゥッ」
百合菜「ご苦労様、さ、いきましょ」
今日はルピナスの背にだらんと張り付いてるガルフ君とともに私は学校へ登校する。
そんな普通じゃない朝があってもいいかもしれない。
ガルフ「1度目の空は爆煙の味、2度目の空は馬の味がしました・・・ガクリ」

朝は優雅に過ごすべきだ。俺はそう思ってる。
ガチャ
車の扉が開く。同時に使用人の一人が赤い絨毯を道路に敷く。
カイゼル「ご苦労。明日からは車で送らなくともよいぞ」
正直、車通学は目立ち過ぎる。やっかまれたりからかわれるのは慣れてるがいかんせん・・・
後輩少女A「カイゼル様よー!今日も優雅にご登校だわー!」
このどう対処していいかわからん奴等がどうにも困る。
使用人1「なっ!?なにかおきに召しませんでしたか!何かあるならおっしゃってください!スグに改善いたします!」
カイゼル「いや、なんでもない。よくやっているよおまえは。もう下がっていいぞ」
こいつもこいつなりに苦労してるのだろう。俺のわがままでどうこうするべき事でもない。
使用人1「ははっ。ではご帰宅の際にまた連絡してください」
カイゼル「ああ、わかったよ」
走り去るやたら車体の長い車。走りにくくはないのだろうか。
そんな事を考えていると腕に軽い衝撃。
後輩少女A「カイゼル様ー!お、お弁当作ってきたんです!受け取って貰えますか!」
やめてくれ、そんなキラキラした瞳で見られても困るんだって
カイゼル「・・・・・・」
後輩少女A「えっと・・・嫌ですか・・・」
カイゼル「その・・・だな・・・!?」
突然の悪寒、このプレッシャー・・・まさか!
サレナ「貰ってあげればいいんじゃないですか。モてる男はつらいですねぇ」
背後から冷たい声。振り向くと予想通りの人物が予想通りのオーラを纏いながら立っていた。
カイゼル「いや・・・待て・・・その、これはだな・・・それにおまえのもあるし・・・」
なんというプレッシャーだ。まずい、非常にまずいぞ・・・
サレナ「なんのことです。知りません」
ぷいってか、くそ・・・その仕草がまたいい・・・じゃねぇ!今はどう対処するべきかを考えろ俺
断れ、見ず知らずの後輩からの弁当なんて断ってしまえばいいじゃないか。何を悩む。
カイゼル「そのだな、悪いが弁当は・・・」
後輩少女A「受け取ってくれないんですかぁ・・・」
やめろ、そんな声だすな。これ以上サレナを刺激するな。死活問題なんだ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
サレナ「昼休みが楽しみですね!カイゼル様!」
カイゼル「いや、もらってないだろ!落ち着けって!なっ!」
ドドドドドドドドド!
ダメか・・・いや、これはプレッシャー音じゃない。誰かが走ってくるのか
キャロル「いっちばーーーーん!!!」
ズッシャアアアアアアア!ドン!
後輩少女A「きゃあ!」
衝突するキャロルと後輩の女。あ、弁当が飛んだ。
キャロル「ジャーーーーンプ!!」
パシッ!
ナイスキャッチキャロル。今日はイチゴ柄か。
ドスッ!
カイゼル「げはっ!」
サレナ「・・・ふんっ」
いいの入ったぜぇ・・・。
キャロル「で、誰のお弁当これ」
サレナ「知りません」
後輩少女A「わ、私のです!すごいジャンプでしたね!私ファンになりました!」
キャロル「えっ」
後輩少女A「そのお弁当もらってください!お願いします!」
キャロル「ほにゃ〜、なんかわかんないけどいいや。そう言うなら貰うね〜」
後輩少女A「ありがとうございますぅ」
どうやら一件落着。あの後輩は単に惚れっぽい性格だったようだ。
カイゼル「まったく人騒がせな・・・なぁサレナ、ホントに今日弁当ないのか」
サレナ「それは・・・その・・・知りません」
顔が赤い、どうやら今日の昼は空腹と戦わないでよさそうだ。よかった。
ブォンブォン!
校門から入ってくる赤い跳馬。ネレイスが到着したという事は・・・やばいな、チャイムまで時間も少なくなってきた。
ネレイス「こら、そこの人達!早くしないと始業のチャイムに間に合わないませんよ!ってカイゼル様!?」
カイゼル「ああ、急がないとな。警告ご苦労、ネレイス」
ネレイス「学校では先生です。守ってくださいね。・・・それと、おはようございます皆さん!」
カイゼル「うむ、おはよう」
サレナ「おはようございます」
キャロル「はよはよーー!」
みんな揃って急ぎ足で教室に向かう。優雅ではないがそういう学園というのも悪くない。


はいっ、てなわけで学園企画一発目です。
以外に長くというかいつものSSと変わらん長さに・・・
それだけ書いてて楽しかったということです。新鮮でしたしね。
書き方も微妙に変えてみました。変わりばんこに一人称連続形式。
よみにくかったかな?
一回目なのでモットーを書いて終わります
「センスよりやる気」です!

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