昼休みは温室でお弁当です。
カイゼル「今日のおかずはっと・・・おお・・・」
サレナ「どうです?カイゼル様の好きなコロッケですよ」
カイゼル「カラッと揚がってるな、ん、味もまぁまぁだな」
とりあえずOKみたい。でもいつものように肝心の言葉を言ってくれない。
サレナ「おいしいですか」
カイゼル「悪くない」
もう、違う。
サレナ「おいしいですか」
カイゼル「まぁまぁだ」
くぅー・・・、でも今日はあきらめません。
サレナ「おいしいですか!」
カイゼル「うまい」
サレナ「へっ・・・」
今なんて・・・
カイゼル「・・・悪くない」
サレナ「ふふ、明日もコロッケ作ってきますね」
カイゼル「2日連続はちょっと違うんじゃないか」
ちょっと狼狽した顔、でも考えを変える気はないです。
サレナ「いいんです。明日もコロッケです」
カイゼル「いや、だから・・・」
サレナ「知りません」
カイゼル「はいはい、わかったよ」
今日のお昼は最高。午後もきっといいことあります。
ガチャ。
温室のドアが開く音。振り返るとネレイス先生が入ってくるところ。
ネレイス「ああ、やっぱりここでしたね。午後の授業ですが変更になりました」
カイゼル「ん、何がどう変更なんだ」
ネレイス「午後の体育ですが。グランドで野球から・・・」
サレナ「から?」
ネレイス「プール掃除に変わりました。男女一緒、水着着用でお願いします」
カイゼル「ほぉ、それはまた・・・」
にやりと笑うカイゼル様。ちょっといやらしい目で私を上から下まで見ると・・・
カイゼル「楽しみだな!サレナ!」
サレナ「し、知りません!」
バチーン!
叫ぶと同時に平手一閃。ついつい手が出ちゃいました。
カイゼル「ほげぁ!」
ネレイス「あらあら、女性をそんな目で見るからですよ。あ、それとサレナ様、はい水着」
手渡された水着をまじまじと見る・・・これは・・・これは・・・
サレナ「し、失礼します!」
ダッシュで温室を後にする。
サレナ「こんなフェティッシュ学園いやーーーーー!」
むなしい叫びが中庭に木霊する。最近少し太ったし・・・さっき言った事は訂正。午後はきっといいことないです!

極王道学園ラブコメディSS「ラヴルラ」
第二極〜開幕!夏のちょっと前〜

プールサイドのフェンスよりプールと反対側、雑草が茂る場所に光るレンズ。
優夜「諸君・・・今、俺は猛烈に感動している」
ザナウ「プール掃除・・・それは神が俺達にくれたささやかなプレゼント」
悠然「海パン一丁で雑草に隠れてカメラを構えてる今の光景・・・ああ、何してるんだろ俺・・・」
優夜「しっ、静かにしろ。あそこにおわすわスク水メイドティーチャープラス!シャッターチャンスだ!」
ザナウ「スク水メイドってどんなんよ・・・」
チュン!
悠然「あれ、何か頬かすったような・・・」
ザナウ「血出てるぞおまえ。どうした・・・ってまさか・・・」
チュチュンチュン!
ネレイス「はーい。真面目に掃除しましょうねー♪」
優夜「て、撤収ーーーー!」
ジャキ!
立ち上がって駆け出そうとした優夜の頭に銃口が押し付けられる。
ソード「プール掃除・・・するよな」
優夜「も、もちろんであります隊長!」
ソード「他の連中は」
優夜にポイントした銃はそのままに反対の手で握った銃をザナウと悠然のいる方に向ける。
ザナウ「ハッ!粉骨砕身の覚悟で作戦にあたります!」
悠然「じ、自分はもともとそのつもりであります!」
ソード「よろしい。行け」
優夜・ザナウ・悠然「イエスサー!」

水を抜いたプールの中
キャロル「ほいさーーーーーーーーー!ちょっあーーーーー!」
ブラーマ「どうなっているんだ。何故キャロル殿の体が宙に浮いたままモップが勝手に進む」
サレナ「気にしないのが一番ですよ。きっと・・・」
ブラーマ「そういうものなのか・・・」
ルルカ「世の中不思議だらけですね」
サレナ「あっ、あのルルカさん。なんで水着じゃなくて普通の体操服なんですか?」
ルルカ「えっ、そ、それはその・・・水着とか恥ずかしくて・・・」
ブラーマ「お気持ちお察しします」
サレナ「???」
ルルカ「サレナさんみたいに大きくないですから・・・」
サレナ「おおおお、大きいなんてそんな・・・ね、姉さんの方が凄いですよ!」
ルルカ「でも、私達よりあるじゃないですか、ね、ブラーマさん」
ブラーマ「ごもっとも」
サレナ「えっと、そのその、はゎぁー・・・」顔真っ赤
ヒタヒタヒタ
何故か忍び足で優夜が近寄ってくる。
優夜「ひがみはよくないなールルカ君」
ルルカ「なっ、ち、違います!」
優夜「では、何故水着を着用していないのかな〜」
ルルカ「それは・・・その・・・」
優夜「皆がスク水にTシャツというナイススタイルなのに対しこの不始末!どうしてくれよう!」
ルルカ「何を一人で盛り上がってるんですか!」
優夜「ザナウ!ヴァッサカノン(ホース)を持てい!」
ザナウ「了解!ヴァッサカノン(ホース)ここに」
水撒き用ホースを装備する優夜。
優夜「体操服って濡れるとどうなるんでしたっけ奥さん」
ルルカ「誰が奥さんですか!・・・って本気ですか!本気で水かける気なんですか!」
優夜「これは事故です、私はルルカさんの後ろを掃除したかっただけなんですよ」
ホースの口をルルカに向ける優夜
ルルカ「やっ、ダメです!ホントにダメです!やめ・・・やめてーーーー!」
ドゴッ!
ブラーマ「あっ、キャロル殿」
キャロル「優ヤギーー!真面目に掃除しろーーーー!」
優夜「いや・・・あなた様のステキなダイビングモップによってわたくしは再起不能に・・・ぴくぴく」
キャロル「さっさと復活する!でもってきりきり働く!はいザナうまも!」
ザナウ「へぇへぇ」
返事しつつプールの中(水なし)に入るザナウ。厚生委員のため掃除はそこまで嫌いでもないようだ。

掃除もようやく終わり。
にぎやかな時間もプールに水を入れれば一旦終了。
ネレイス「ではカイゼル様、制御室に行ってプールにお水を入れてください」
カイゼル「ああ、わかった」
カイゼル様がプールサイドの奥に併設された制御室に入っていく。。
掃除中は班が違ったこともあって全然話してない。まぁさっきみたいにいやらしい目で見られなかったからいいんだけど・・・
ネレイス「カイゼル様遅いですね・・・。サレナ様、ちょっと見てきてくれますか」
サレナ「はい」
二つ返事でOKしてしまってから。自分の恥ずかしさに気付く。
ザナウ「二人きりだからってやっていい事と悪い事は考えろよ〜」
サレナ「・・・・・・」真っ赤
その場を逃げるようにダッシュ。なんてこと言うんですかもう。
ガチャ
制御室の扉を開ける。カイゼル様はなにやら制御板の前で難しい顔をしている。
サレナ「どうしたんです」
カイゼル「ああ、サレナか・・・む、むむ」
うぁ、見てる、上から下までまた見てますよ。目線そらしながらチラチラ見てるけどバレてないと思ってるのかしら。
サレナ「えっと、これじゃないですか」
なるべくカイゼル様の視線は無視するようにして制御板を操作する。
カイゼル「今度、海でも行くか」
サレナ「えっ・・・」
カイゼル「だから、二人で海でも行くかって聞いたんだ。何度も言わすな」
サレナ「あっ、えっ、そっ、それはえっと、その。あ、あはははははははははは」
突然のお誘いにただ混乱する私。二人って二人って言いましたよね・・・
カイゼル「ちょっ、待てサレナ。そんなやみくもにボタンを押すな」
ピピピ・・・ピピピ・・・ガガ、ガガ・・・プシュー・・・ゴウンゴウンゴウン・・・バゴォォン!
サレナ「ぇっ、ええっ!?」
カイゼル「ちぃ!」
制御板が煙を上げて爆発してしまいました。カイゼル様がかばってくれなかったら大怪我だったかも。
カイゼル「出るぞ。ここはもうダメだ」
サレナ「でも、直さないと」
カイゼル「だからもう無理だ。吹き飛んだものをどう直すつもりだ」
サレナ「それは、その・・・」
カイゼル「とにかく逃げるぞ!」
ガシッ
肩を掴まれ引き寄せられる。水着同士だから密着感がその・・・あの・・・
カイゼル「脱出!」

プールサイドは突然の爆発音にざわめいていた。
ザナウ「おいおい、なんかやばそうだぞ」
優夜「ラブラブファイヤーってか」
ルルカ「冗談言ってる場合じゃないですよ!中にはサレナさん達もいるんですよ」
優夜「あ、出てきた。ぬ、凄い密着度。とりあえず一枚」パシャ
ルルカ「何撮ってるんですか!」
ザナウ「あれじゃ余計に走りづらいだろうに・・・やっぱバカップルだなぁ・・・」
栞「とりあえずお二人とも無事なようですね。よかった」
ぜはぜは言いながらカイゼルとサレナがみんなの所へ着く。
カイゼル「はぁはぁ・・・まさか爆発するとはな・・・」
サレナ「はぁはぁ・・・私のせいです。私が・・・」
ザナウ「いや、二人ではぁはぁ言われてもさすがにどう対処していいか困るのだが」
スパコーン!
栞の突っ込み音。
栞「アホな事言わないでください!大丈夫ですか、二人とも」
ザナウ「・・・さっき自分で無事とか言ってたじゃん・・・」
栞「何か言いました」
ザナウ「♪〜♪〜♪」口笛
ネレイス「とにかく、ここから避難しましょう。全員すみやかに教室に戻ってくださーい」
ゾロゾロとプールを後にする生徒達。
優夜「ということは、夢の水着着用授業ってやつが現実となるわけだな」
ルルカ「嫌です・・・とても嫌な光景です・・・」
ピシッピシピシピシピシピシ!!
優夜「ん、何の音だ」
ルルカ「大変です!プールサイドが割れてきてます!」
ネレイス「水道管が破裂したようです。皆さん急いで!逃げてーー!」
ビシッ!ズバォオオオオオオオオオオオン!!!
プールサイドが爆散する。コンクリートを撒き散らしながら怒涛の勢いで水が噴出す。
優夜「ぬぅぉおお。みんな、こっちこい!悠然バリアー!」ガシッ
悠然「でべでべでべ、げはぁ!」
ザナウ「とりあえず、コンクリートの破片だけ「見れ」ばいい」スッスッ
カイゼル「これは・・・さすがに・・・」
サレナ「まぁ自分達がまいた種ですし・・・あは、あはははは」
ドパァァァァァアアン!
カイゼルとサレナを水流が直撃する。
カイゼル「ぐぅぉおおおおおおおおおお!」
サレナ「ひゃああああああああああああ!」
水流に飛ばされた二人はキレイな放物線を描いた。

設備の修理にルスフォノクラスタの人員が徹夜で働いた事、それでもプール開きが例年より遅くなった事は余談である。


はい、というわけで第二極目です。
ドタバタしつつラブラブさせてみました。
サレなんの内面は自分で書いてて恥ずかしいです。でもそれが病みつきです。なんちゃって。
これからも恥ずかしいカイゼル(作者)をヨロシク。

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