※これは学園版の新見忍の視点で書かれています。 ※特組のキャラクターを無断で使ってしまってますが、 『うちのはこんなんじゃない!』というのがありましたら直します。 ※なるべく毎日書こうと思ってますが、挫折したときはお察しください・・。 十六夜 前回の日記で呼び出すのを二人に任せて自分は何をしていてたのかと、 喜司雄さんに突っ込まれました。 ではお話しましょう・・・正直大変だったんですよ、優夜さんやベルティさんの相手をしていたんですから・・。 「なんでこいつとカードで勝負しなきゃならないのよ」 昼休み、特組の教室の後ろの方で僕と優夜さんとベルティさんが机を囲んでいます。 (優夜さんに勝ったら、ちゃんといい人を紹介してあげますから) 小声でベルティさんに対応します。 「いや〜ベルティちゃんと遊べるなんてね♪」 「変な言い方しない!」 学園の二大災厄(局地災害指定の噂もあり)を抑えるためです。 この二人がいてはおちおち話しも進みません。 なので多少強引ですが二人に、 「どっちが賭けごと、強いんですか?」 と振ってみたのです。 「そんなの、決まってるじゃないか」と優夜さん。 「こいつに負けるわけ無いでしょ」とベルティさん。 後は、売子賭場に蚕鳥羽もとい・・売り言葉に買い言葉で勝負をすることになりました。 「じゃあ、勝負はブラックジャックで行います」 とりあえず僕が取りしきります。 「私はいつでもOKよ」 「ちっち、ベルティちゃん始める前に手鏡とハンカチは出しときな」 優夜さんが釘をさします。 「何よ、乙女のたしなみを奪いとろうっての!」 「いや・・この席に付いた時点で俺達はギャンブラーさ、イカサマはご法度だぜ」 少し目がマジです・・。 「ち、少しはやるわね。あんたもポケットの中の物を出しなさいよ」 「仕方ないな、他でもないベルティちゃんのお願いだ」 ポケット中からバラバラとカードが出てきました。むう・・この人達は・・・。 で、ゲームが始まったわけですが・・。 「コール、これで21だ」 優夜さんがカードを見ずに言います。 「あたしも21よ」 ベルティさんも自信たっぷりです。 これで何回目でしょう、ずっと二人とも同じ数字です。 「いや〜愛称ピッタリ♪」 「そこ、変な事を言わない!」 二人は楽しんでますが、こっちは合流時間が迫ってます。 「これでは勝負かつきません・・これで勝負をしましょう」 僕はダイス出しました。 「出目を当てます、これは僕も参加します。いいですね」 「いいけど、どうするのよ」 「二人には6ゾロか1ゾロどちらかに賭けてもらいます。36回振りますから1回はでるでしょう」 普通に考えて36分の1確立ですから・・。 「俺はいいぞ、じゃあレディファーストでベルティちゃんからどうぞ」 「ふん・・じゃあ、6ゾロでいくわ」 「じゃあ、俺は1ゾロだな、忍君はどうするんだ?」 「僕は『6ゾロ、1ゾロが1回もでない』に賭けます」 「本気なの、そんなの無理じゃない?」 「おいおいボーイ、何か細工があるんじゃないのかい?」 「ありませんよ、調べてみます」 二人とも丹念に調べますが何もみつからないようです。 「ではいきます!」 そして・・・ 「4と2で6、次で最後ですね・・」 今ので35回、1ゾロも6ゾロも出てません。 「嘘・・・信じられない」 「ふふふ、ここでメイクミラクルが起るのさ」 しかし、出目は・・。 「5ゾロですね・・僕の勝ちです、じゃあ僕は用事があるので・・」 十分時間は稼ぎました。僕は慌ててその場を去りました。 「忍・・・」 教室を出たところで、アールさんに止められました。 「何?僕、急いでるんだけど・・」 「さっきのは何だ、とんだ茶番だな」 「何が?」 「『置き』と『振り』を使ったのだろう」 そう言ってアールさんは二つのダイスを振りました。 一つは1が出でて、もう一つは勢いよく回ります。 しばらくして回転が止まりもう一つも1が出ました。 「『置き』・・場の材質によるが滑りにくい場で回転させずに狙った目を出す方法。 『振り』・・対面が全て7になるダイス特性を利用して、ある頂点で回し上面が 4、5、6か1、2、3で回すことである程度目を操作する技術・・だったな」 「・・・何の事だか・・」 うわぁ・・ばれてる・・。 「先日あれほど、言ったのにお前は・・」 あ、ちょっとアールさんが怒ってる・・。 「ごめん、話しはまた後で聞くから!」 とりあえず逃げます。 しかし、このイカサマが後で二人にも伝わり大変な事になりました・・。 やっぱりイカサマいけませんね・・・。 十七夜 先日行われた人気投票ですが・・。 結果はまあ見ての通りなのでノーコメントです。僕は別にひがんでませんよ。 問題は別にあります。そうベルティさんです。 「もうこうなったら、屋上から紐無しバンジーよ!」それはもう身投げです・・・。 そう言ってベルティさんは教室から走り出してしまいました。 「落ち着いてください、ベルティ」 桜花さんが追いかけて行きます。心配なので僕も一緒に向かいます。 特組のみなさんも何人か後を追ってきます。 この頃屋上に行くことが微妙に多いような・・。 で、屋上ですが・・。 既に火曜サスペンスのラストシーンになってます・・。 「もう私なんてどうでもいいのよ!」 「とにかく、落ち着いてくださいベルティ」 夏なのに木枯らしが吹いてます・・。 しかし、ベルティさんは手すりを乗り越えているので、あまり笑ってもいられません。 「危ないですから、こちらに戻ってください」 桜花さんは少しづつ近づきます。 「いいの近づかないで!私なんて・・私なんて、魅力のかけらも無い女なんだわ」 「そんなことはありません、他人の評価など気にする事はありません」 「気になるもん、みんなに綺麗だって言われたいもん」 だだっ子みたいになってきました・・。 「大丈夫です、今はそうでなくてもいつかは」 「うそ!ずっと、ずっとそうだったもん。だから、ずっと同じだもん」 嫌々と頭を振るベルティさん、そこで足が滑りバランスを崩してしまいました。 「ベルティ!!」 物凄いはやさで桜花さんは駆けます。 そのまま桜花さんも・・・って、ああ! その後は時間がゆっくりと流れたようでした。 驚いた表情のままで落ちていくベルティさんと、必死に手を伸ばす桜花さん。 それと幾つかの影が追いすがります。 桜花さんはベルティさんを捕まえましたがそのまま一緒に落下していきます。 僕は恥ずかしい事に一歩も動けませんでした。 物凄い音がしました。恐る恐る下を見てみると・・。 木に引っ掛かっている二人が見えます、とりあえず無事のようです。 二人はその後すぐ、保健室に運ばれました。 フィルナ先生の話しでは擦り傷が多少あるけど命に別状はないそうです。 いや、本当にびっくりしました。 僕だって少しは速く動けますが、まだ知覚と筋肉の連動がいまいちなので・・。 ハカセにもう少し調整してもらわないと・・。 しかし、幾つかの影が動いたのが逃せません。 油断していたとはいえ、僕の知覚ではっきりと認識できない人影が複数いました。 うすうす感じてましたが、特組はやはり普通の人の集まりではないようです。 ぼんやりとそんな事を考えていると、フィルナ先生に 「君が一番近くにいたんだから、助けてあげなきゃダメでしょ」 と、叱られてしまいました・・面目無いです・・。 「男の子なんだから、いざとゆうときはバッチリと決めないと、ね♪」 とウィンク一つ。そうゆうものですかね・・。 「でもベルティさん、だいぶ落ちこんでいましたが・・大丈夫でしょうか・・」 「ふふ、彼女はもう大丈夫そうよ」 奥から小さな声が聞こえてきました。どうやら二人が起きたようです。 「桜花・・」 「はい」 「ごめん・・」 「いいんですよ。でも、もう取り乱してはいけませんよ」 「・・うん、桜花とはずっと勝負をしていたもんね」 「・・・そうでしたか?」 「そうよ、忘れたの。どちらが先に男と付き合うか」 「・・・そんな事もありましたか・・」 「ありましたよ〜だ、絶対負けないんだから」 「はいはい」 十八夜 「あ〜全学園生徒諸君、朝からお目汚しですまないがそのまま聞いてくれ・・」 朝HRの途中で校長代理の園内放送がありました。 この学園は設備がよいので、教室のそれぞれにあるテレビで園内放送をする事が可能なのです。 「生徒諸君の中でも聞いたことのある人間がいるかもしれないが、 先日、ある生徒が屋上から飛び降りそうになる事件があった」 先日のベルティさんの件ですね、詳細はすべて報告済みなのでこれは校長代理の意図的な情報操作のようです。 「詳細は省くが、今後しばらく生徒の屋上への侵入を禁止する」 まあ、当然といえば当然ですね。 「と、硬い話しはこれぐらいにして。あれだ、飛び降りるぐらいならその前に多額の保険金をかけるとか、 安全を確かめて紐をちゃんとつけてから飛ぶとかしないといかんよ」 ・・あんな人が校長代理でいいのかといつも疑問に思います・・。 と、急にテレビの画面が切り替わりました。 「先程の校長代理の発言を間に受けないように!まったくこれだからこの学園は・・」 ショートカットの目つきの鋭い女の人が出てきました。よく見なれた顔です、特にトラブルの時とかに・・。 「生徒会長の私からも先程の屋上封鎖の件は、しっかりと徹底をさせていただきますのでそのつもりで、特に一部のクラスはです」 そう、生徒会長の・・・・あれ、名前はなんていったっけな?・・いつも『会長』とばかり読んでいたので・・。 「朝っぱらからやる気だねみやちんは」 「音さんは誰のせいでああいう風になってしまったと思っているんですか」 「オトサン、怖い?」 そうそう、藤乃美弥音(ふじのみやね)さんです。優夜さんとルルカさんははじめて会長に会ったときに 「藤乃美弥・・音?ほっほう変った名前だじゃあこれから『ね』さんと呼ぼう」 「違いますよ、ふじのみやおとさんですよね?」 と、先制のダブルパンチをかましていました。 正解は藤乃 美弥音さんです。間違えるときっと怒りますよ。 でも、ルルカさんはずっとそれから『音さん(おとさん)』と言っていてラルカちゃんも真似してます・・。 美弥音さんも既に諦めているらしく、この件に関しては何もいいません。 「そういえば、公安側からは今回の件は何も無いの?」 実際に人一人が落ちたのですから(正確には二人)事が公になれば大変です。 「公安としては、 『屋上の手摺が老朽化したため、生徒が危険なめに会った。現在は学園を施工した 業者に落ち度がなかったか責任の追及が急務と思われる』とあっただけだが」 アールさんはつまらなそうに言いました。 「老朽化って・・最近新しくしたばかりじゃない」 「さあね。実際、改築部分と既存部分がかなりごっちゃになっていたのは事実だ。 以前から業者の改築工事に疑惑があったので今回の件はいい攻撃材料だ」 公安へ詳細を報告したのはアールさん自身なので、学園への責任を施工業者にスライドしたようです・・怖い人です。 「既に一生徒問題じゃないんだね・・」 「まあ、この件は業者の手抜き工事という事で落ち着くだろう。人がそう望むようだからな」 「いいのそんな事をして?」 「事実は本当に知るべき人間とそうでない人間がいる。テレビを通して伝わる情報としてそれぐらいが妥当だ」 十九夜 ここに一本のカセットテープがあります。テープには『生徒会第4期予算決議議事録』とタイトルがふってあります。 由宇羅さんから預かったものです。 生徒会議事の公平性をアピールするためにこうやってテープを録音しているものでそうです。 デジタル技術が飛躍的に伸びている今に、どれだけ信憑性があるかはわかりませんが、 お役所仕事は形が大事ですからこういう事もそのまままかり通るのだと思います。 今回は由宇羅さんから流れてきた物なのでここは改竄無しと判断しておきます。 で、なぜこんな物がここい有るかと言うと・・。 「我々の自由の場所、『屋上』がああも簡単に閉鎖されていいのだろうか?」 という優夜さんの演説がことのはじまりでした。 で、生徒会の内部を暴くという事になり、僕が由宇羅さんに無理を押して貸してもらった物です。 とりあえず、流して見ます。 「・・・・ではこれで今日の予算決議を終わります」 少しくぐもっていますが美弥音さんの声です。 あれ、でも終わってちゃ意味無いのでは・・? しばらくは、席を立つ音や軽い世間話が流れます。 「由宇羅さん?」 「はい!」 「今日の資料はどれくらいでまとまりそうかしら?」 「2、3日あれば大丈夫ですが・・」 美弥音さんと由宇羅さんが話しているようです。 「そう、あなたは優秀で助かるわ」 「あ、はい。ありがとうございます」 「特組に置いておくのがもったいないぐらい・・どう、特組を抜けてもう少し生徒会に協力してみない?」 おおう、これは引きぬきではないですか・・。 「いえ・・私は好きであそこにいるので」 「そう、残念。気が変ったらいつでも言って」 「失礼します」 由宇羅さんは生徒会室を出たようです。 「ふう・・・」 「お疲れみたいだね・・『音さん』」 「そのいい方はやめてちょうだい、嫌な事を思い出すから」 「でも、あの子達を咎めない所をみると、まんざらでも無いようじゃないか」 おやっ!?これは志度さんと美弥音さんの会話のようです。 「それは・・私だって子供じゃないのだから、特組の全てが悪いとは思ってないわよ」 「まあね、非公式ながら学園のやくにはたっているし」 「でも、それとこれとは別よ。学園の品位を落としているのには変わりは無いわ」 「そこまで気にする事があるのかな、俺は賑やかになって楽しいけど」 「ちょっと志度君!本気でいってるの?」 「さあね、でも生徒が楽しそうにしているのは事実だ、家の美空も喜んでいるよ。人が落ちたとか教室が爆発したとかね」 「それが、いけないのよ!公安側がいつそこに目をつけてくるかわからないじゃない!」 「今は安全だよ、特組の公安、アール女史の裏はとったしね」 「公安に組しない公安メンバー・・・信じていいのね」 「ああ、情報ソースは信頼できる。心配しないでよ」 「そう・・で、こちらか出した書類の公安委員会の回答は?」 「『当委員会は、名目上学園内機関なれど、教育委員会の意思無しではいかなる返答も致しかねる』 だそうだよ」 「まったくなんなのよ・・それより校長代理の腹のうちはどうなの?」 「いや・・こちらはなかなか尻尾を出さなくてね、たいした古狸だよ」 「人の学園に勝手にやってきて好き放題・・どっちもおなじね、いいわ少しでもおかしな事があったら教えて」 「了解、生徒会長殿」 「じゃあ今日は解散ね、私はこれで帰るけど志度君は」 「ああ、今日は俺も帰るだけだ」 「だったら・・一緒に・・・」 「兄さ〜ん、一緒に帰りましょ〜」 おっと美空さんの声だ。 「・・・・・」 「悪いね、用事が出来た」 「いや、いいのよ別に」 「じゃあ、美弥音さんまた明日」 「うん、また明日・・」 そしてガチャガチャと人が出て行く音がします。 そして、しばらく沈黙のあと。 「・・・・・・・・・・シスコン・・・」 うわぁこんなの僕が聞いちゃってよかったのかな。 しかしそうか、美弥音さん志度さんの事を・・。 あんなに厳しい人でもやっぱり人の子なんですね。 二十夜 今日は日曜日なので、ゆっくりと寮の自室で惰眠をむさぼります。 「おい、いつまで寝てる!今日は美空ちゃん達の店を手伝う約束だろうが!」 遠くで喜司雄さんの怒鳴り声が聞こえます。あれ、そうでしたっけ・・・? 「そんなの・・もともとあれは喜司雄さんのためを思ってやって事なのに・・」 以前の”いつまでもウジウジしている喜司雄さんに桜花さんをぶつけてみよう大会(今命名)” を考えてときに美空さんの店を手伝う約束をしたのは確かですが・・。 「あの〜眠いので来週とういうのは・・・」 眠さに勝ることは無しなのですよ・・。 「ええ〜い、いい若い者が朝からそんなんでどうする!」 喜司雄さん口調が年寄りじみてます。 「そんな奴にはこうだ!くらえ」 そう言って僕の布団を無理やり剥ぎ取ると・・ 「イグニッション!」 うつ伏せの僕の背骨を思いっきり押してきました。 ボキボキボキボキ・・ベキ 僕は自分の悲鳴で目が醒めました・・。 ※ ※ ※ ジリジリとアスファルトからの照り返し。 「僕、エンジンじゃないですよ〜」 「はっは、さすがに目が醒めたようだな」 「うう、酷い。せっかくのお休みなのに・・・」 夏の朝、太陽は無駄に元気です。 「美空ちゃんから時間どおりにきっちり連れてくるように言われたんだ、悪く思うな・・」 「全然悪く思ってないくせに・・・」 忘れませんよ、僕を起こした時の喜司雄さんの嬉々とした顔を・・。 「何か言ったか?少年?」 「いえ、別に・・暑い・・太陽に殺される・・」 せっかくの白い肌が焼けてしまうではないですか・・。 「だらしないな、きりきり歩け」 「囚人みたいに言わないでくださいよう・・」 「だったらその死んだ魚の目みたいな顔を何とかしろ!」 「僕の顔は甘い物を補充しないと締まらないのですよ・・」 「頭だけは回るようだな・・まあ、後でたらふく食えばいい」 で、しばらく歩いて美空さん達の自宅兼喫茶店『もらとりあむ』につきました。 大十字学園の最寄り駅の商店街、その片隅のこじんまりとしたお店です。 「けっこう小さいのですね・・」 「そりゃね、小人数でやってる店だし」 いいながら喜司雄さんは『くろ〜ず』と掲げてあるドアを開けました。 「連れてきたぞ〜」 外から見たとおり、中も席が少ないですが。少しレトロ風で品のいい感じです。 「は〜い、今行きま〜す」 パタパタと近づいてくる音がします。 「はいはい、いらっしゃい。今日はバシバシ働いてもらいますよ二人とも」 美空さんは既にウェイトレス姿です・・というか世に言うメイド服っぽいです。 「え、僕も?」喜司雄さんが以外そうに言います。 「当たり前です、兄さんが急に出かけてしまいましたので・・」 「志度め・・謀ったな・・」 「とりあえず、時間があまり無いので二人とも着替えてください。昔と勝手は変ってないので喜司雄さんはわかりますよね」 「うん、だいたいは・・」 「では、新見さんはこちらです」 と言って連れてこられたのが予想どおり・・。 「おそろいですか・・」 目の前のには、やはりメイド服風の『それ』です。 「はい♪お揃いです。これを着るのが私しかいなかったので新見さんに着てもらうのが楽しみだったんです」 実はそれが主目的では・・・。 「桜花さんは、これ着た事ないのですか?」 どこからか『聞け』と電波を受信したので興味本意で聞いてみました。 「無いですよ、何度かお願いしたのですが・・。もともとサイズは私のしかなかったし・・でもいつか着てもらうのです!」 美空さん・・バリバリやる気っすね・・。 話しながら美空さんはテキパキと僕に『それ』を着せてくれます・・。 さすがにこれは着た事が無かったな・・。 更衣室を出ると、喜司雄さんは既になれた感じで開店作業をはじめていました。 喜司雄さんは黒のズボンに白いシャツ、更に黒のジャケットを着ています。 「似合いますね、喜司雄さん」 「そりゃね、着なれているし。しかし、お前は無駄に似合うな」 「惚れましたか?」 「誰が!」 少しはいじめ返しておかないと・・。 「う〜んそれは、残念・・」 いや、美空さんは残念がらなくていいんですよ・・。 というわけで、『もらとりあむ』エキストラメンバーで開店です。 |