〜激戦!三つの黒〜(前編)

町の中、酒場にて
マリー(お酒くさい・・・。)
マリーツィアは不快をあらわにした思念をデッドに送る。
デッド(知らん。)
カウンターに座り酒を飲みながら応えるデッド。
マリー(違う所に・・・行きたい。)
デッド(一人で行け。)
マリー(・・・外で待ってる・・・。)
デッド(好きにしろ。)
トテトテと出口へ歩いていくマリーツィア。出口の前に来た時
いきなりドアが開き避けられずに転んでしまう。
マリー(・・・っ、痛い。)
転んだ痛みに顔をしかめるマリーツィア
ガルフ「邪魔だ。どかせろ。」
出口のドアを開けたのはガルフ達だった。自分の目の前で尻餅
を付いているマリーツィアを見下し、百合菜に指示する。
百合菜「・・・。」
うなずきマリーツィアを起こす。
ガルフ「遅い!」
驚きで緩慢になっているマリーツィアの動作に腹を立て腕で払
い飛ばそうとするガルフ。
シュン!
ガルフの側面から飛来するナイフ。
ガルフは素早い動作でそれを払うとナイフが飛んで来た方向を
睨み付けた。
デッド「ふん。まぁまぁの腕だな。」皮肉たっぷりに口を歪め
る。
ガルフ「貴様・・・。」殺気のこもった目で睨み付ける。
マリー(離して!)
百合菜「あっ・・・。」
マリーツィアは百合菜の手をほどくとデッドの方へ駆けていっ
た。
マリー(この人達・・・嫌・・・。」
デッド「ああ、気に入らんな。」
思念を送るマリーツィア。デッドは思念ではなくガルフ達にわ
ざと聞かせるように大きな声で応えた。
マリー(違う・・・何か混沌として黒い・・・嫌なモノが・・
・。)
デッド「確かにな。反吐が出るツラだ。」
マリー(違う・・・そういうことじゃなくて・・・。)
ガルフ「口を慎め。殺してやってもかまわんのだぞ。」
剣を抜き、構えるガルフ
デッド「おもしろい。ちょうどムシャクシャしてた所だ!」
デッド、椅子から立つと神速の踏み込みでナイフをガルフの首
筋に
ガイィン!
ガルフ「小者が!」剣でナイフを防ぎ更に横凪に払う。
デッド「はんっ!どっちが!」手にしたナイフを投げる。
ガルフ「こんなもので。」こばかにした態度で飛んでくるナイ
フを剣で叩き落とす
デッド「素人が!」
ナイフを投げると同時に踏み込んでいたデッドはこんどこそガ
ルフをとらえる。
マリー(危ない!)
百合菜「・・・・・・。」
ドウッ!
デッド「がっ!はっ・・・。」
マリーツィアが叫ぶのと百合菜が攻撃歌術を発動したのはほぼ
同時。
デッドは避け損ね、モロに攻撃歌術をくらい吹き飛ばされ近く
のテーブルを巻き込み倒れた。
デッド「くそっ、やはりカンが鈍ってる。」
忌々しげに言うと、ゆっくりと体を起こした。
デッド「ぐぅ、っ痛・・・。」
しかしダメージはかなりのものだったらしい。腹を押さえまと
もに構えられない。
ガルフ「殺す前に聞いておくこの男を知ってるか。」
カイゼルの写真を出しデッドに尋ねるガルフ。
デッド「そいつは・・・。」
(マリーツィアを助けた時に館にいたヤツだ。マリーが確かカ
イゼルとか言ってたか。)
ガルフ「ほう、知っているようだな。詳しく聞かせて貰おうか
。」
デッドの態度で気付いたガルフは剣を収めると近づいて来た。
ガルフ「返答次第では生かしておいてやってもいい。」
英雄A「おい、あれって奏甲バトルに出てる・・・。」
英雄B「ああ、馬鹿でかい剣使うシャルIVの機奏英雄に似て
るな。」
一連の騒ぎにカウンターの後ろに逃げていた英雄達が声を押さ
えて話はじめる。
ガルフはそれを聞くとカウンターの方に向かい歩いていく。
英雄A「ひぃ!来た。」
ガルフ「その話、詳しく聞かせて貰う。」
英雄B「俺たちもよくは知らない!知ってるのは奏甲バトルに
出てるって事だけだ!こっ、殺さないでくれ!」
怯えながらも一気に喋る。
ガルフ「奏甲バトルか。・・・行くぞ、歌姫。」
百合菜「はい。」
ガルフ、酒場を後にしようとする。
デッド「待て!」
ガルフ、振り向き
ガルフ「ヤツの居場所がわかった。貴様にもう用はない。気分
がいいから生かしておいてやる。ありがたく思え。」
言うだけ言うとさっさと出て行ってしまった。
デッド「くそっ!」追いかけるデッド。
マリー(ダメ・・・。)マリーツィアはデッドの腕に必死にし
がみ付き止める。
デッド「離せ!邪魔だ!」
マリー(ダメぇ!)マリーツィアはありったけの思念を込めて
デッドを止める。
デッド「くっ。」思念の大きさに顔をしかめるデッド。
マリー(今のあなたじゃ・・・勝てない。)
デッド「おまえに何がわかる!邪魔するな!」
マリー(私は邪魔?あの人達と・・・同じ事を言うのね。)
デッド「くっ・・・。」
マリー(公園に・・・行きたい。)
デッド(何を言い出すんだ。)
マリーツィアになだめられたデッドは落ち着きをいくらか取り
戻し会話を思念に切り替えた。
マリー(公園に・・・行きたい。)
デッド(だから、何が言いたい。)
マリー(静かな場所に行きたいの・・・ここはもう嫌。)
デッド(ふん。)
マリーに止められたためガルフ達はもう見失った。デッドは渋
々店を出、公園の方へ歩いていく。
マリーは少しだけ嬉しそうにデッドの後を付いていった。

公園にて
木に背中を預け無言で立っているデッド。
図鑑でしか見たことのなかった草や花、動物達を見て目を輝か
せるマリーツィア。
デッド(何がそんなに楽しい。)
マリー(本物を見るのは初めてなの・・・。)
デッド(そんなもの、見たって楽しくないだろ。)
マリー(見たいものを・・・いくらでも見ることができた人に
はわからないわ・・・)
微妙な間、デッドは何と言っていいかわからずとりあえず今後
の事を話す。
デッド(オレはアイツを追う。そして殺す。)
マリー(そう・・・じゃあ付いていく・・・でも、もう少しこ
こにいさせて。)
そう言うとマリーツィアは会話をやめ、公園を歩きまわっては
目を輝かせていた。

「もうあなたは、無駄な殺人はできない」

今後の行動を考えるデッドの頭に少年の言葉が浮かぶ。
デッド「アイツはマリーを傷つけた。無駄なものか。」

デッドは呟くと少し離れた所で花を見ているマリーツィアのも
とへ静かに歩き出した。
つづく

はい。ということで続きます。
新見さんどうでした?デッドさん達うまく動かせてるでしょう
か?
微妙だったかな・・・。
とにかく続きも頑張ります。生温かく見守っていてくださいw
カイゼル達が出てない話はじめて書いたw
次はいっぱい出てくるはずです。

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