電脳戦記 VirtuaRu/Li/Lu/Ra
「深紅の破壊神」

ー戦線にて

調整したてのビリオーン・ブリッツ「ラッキーアイゼン」
に乗り換えての初の戦闘中、1機の奏甲が撤退するのを目
撃したキョウスケは、ミルフィーの制止を無視して追跡し
た。そして・・・
キョウスケ「・・・見事にはぐれたな・・・。」
辺りを見渡すが、似たような景色が続いており、所々に敵
味方問わず奏甲の残骸が散乱している。
ミルフィー「あんた、現世で班行動ができなかったクチで
しょ?」
キョウスケ「うるせーやかましーとにかく黙れーーー!!
!」
とりあえず適当に歩いてみるが、まったく合流できそうな
気配はなかった。
ミルフィー「それにしても、ひどい有様ね・・・。」
キョウスケ「まったくだ。20機はいるぞ・・・。」
と、前方に1機の奏甲を確認した。遠距離で何をしている
のかはわからないが、間違いなく例の奏甲だ。
キョウスケ「見つけた!!!」
不気味な笑いを浮かべ、腰のブロードソードを引き抜く。
キョウスケ「このまま一気に近づいてしとめる!」
ミルフィー「お願いだから、その笑いやめて。」
キョウスケ「気にすんな・・・って、俺まで店長の癖が感
染っちまったよ。」
ミルフィー「関係ないでしょ!」
じわじわとにじり寄るラッキーアイゼン。駆け出そうとし
たその時・・・

敵の奏甲が突然逃げ出した。

ミルフィー「あっ!」
キョウスケ「気づかれたか!?」
あわてて追撃にかかるキョウスケ達。が、ラッキーアイゼ
ンの背後から突如グレネードが飛来。逃げ出した奏甲の方
に直撃し、あっけなく大破した。
キョウスケ「今度はなんだ!」
即座にラッキーアイゼンをグレネードが飛来してきた方角
・・・、つまり、背後に向きやった。
そこには、機種不明の赤い奏甲がいた。
やや軽量で、絶対奏甲では珍しい直線主体のシルエットに
、カラーリングはラッキーアイゼンの赤と黒より濃い真紅
と漆黒のツートンカラー。
右肩にミサイルランチャー、グレネードは左肩についてい
た。さらに左腰には剣を下げており、そして、その右手に
構えているのは・・・大振りのハンドガン。
キョウスケ「しまった!?」
ミルフィー「キョウスケ?」

しばし硬直・・・

キョウスケ「俺としたことが、新製品のチェックを怠るな
んて!?」
ミルフィー「・・・新製品でもないし、奏甲だってただの
カスタムタイプかもしれないじゃない・・・。」
キョウスケ「ちょっとまて。あんな奏甲に乗り換えるべき
だったかな〜・・・とか思ってみた矢先なんだぞ!そりゃ
あんまりだろーが!?お前にゃ漢のロマンがわからんのか
!」
ミルフィー「アーカイア人に『男』はいないって・・・。
もう忘れたの?」
キョウスケ「言ってみただけだぁぁぁぁぁ!それと字がち
がーーーう!!!」
状況を半ば無視してコックピット内でざわめく二人をよそ
に、左肩のグレネードを収納しながら赤い奏甲が近付いて
くる。
キョウスケ「!?冗談言ってる場合じゃねーな・・・。」
ミルフィー「アンタが先に言い出したんでしょーが!」
ラッキーアイゼン、向かってくる赤い奏甲にシールドを構
えながら突撃。すかさずブロードソードで斬りつけようと
するが、赤い奏甲は腰の剣を引き抜き、これを防ぐ。左手
で抜いたため、逆手持ちになっている。
ミルフィー「速い!?」
キョウスケ「うるせ。押し切るまでだ!」
シールドで赤い奏甲を思いきり殴りつけ、一瞬よろめいた
所を再度斬りつける。赤い奏甲が上体を反らしたため、胸
部に一筋の傷跡がついた程度だった。
赤い奏甲、そこから大きく後方に跳躍。キョウスケもこれ
を追うが、空中で右肩のランチャーのハッチを展開し、小
型ミサイルをラッキーアイゼンに向け次々と発射する。
キョウスケ「い、○野サァーーーカスゥーーーーー!?」
ミルフィー「来る、こっち来るわよキョウスケーーーーー
!!!」
慌ててラッキーアイゼンを止めようとするが、勢い余って
即座に止まれず、シールドで防御。数が多いため、シール
ド以外にも右足・左肩などにも被弾。ミサイルが直撃した
時の反動でようやく停止したが、赤い奏甲は着地するなり
片膝をついた。すかさず左肩のグレネードの砲身を展開し
、ラッキーアイゼンに1発撃ち出した。
キョウスケ「くっ・・・!」
ミルフィー「あわわわわわ!?」
機体に強い衝撃が走る。シールドは構えたままだったので
なんとか無事だったが、シールドは跡形もなく吹き飛ばさ
れた。それを構えていた左腕も、ほとんど使いものになら
ないくらいに損傷していた。
キョウスケ「どうだ・・・、ちゃんと衝撃防御は直ってる
だろ?」
ミルフィー「う、うん・・・。」
赤い奏甲、第2射のため再び構え直す。
ミルフィー「あ、また来る!?」
キョウスケ「やるしかねーか・・・。ミルフィー、《2重
奏》だ!」
ミルフィー「了解!スライプナーMD、A・Cモード起動
!アーク・クリスタル活性率良好、いっくよ〜♪」
ミルフィー、背中に下げている楽器を取り出し、それを変
形させ、彼女特有の歌術発動体制に入る。
キョウスケ「・・・いくぜ、ラッキーアイゼン!」
ミルフィー「今こそ紡げ、勝利の歌!『怒れ!鋼の○イボ
ーグ!』」
弾き語り(?)と同時に《2重奏》が発動。ラッキーアイ
ゼン、赤い奏甲に向かって突撃する。赤い奏甲、構わずグ
レネードを発射。
キョウスケ「ふっふっふっ・・・、キサマを踏み台にする
!」
キョウスケの目の前にある、乱雑に積み上げられた奏甲の
残骸の上から高く飛び上がり、グレネードをかわす。
キョウスケ「どぉーーーりんけん!」
そのまま赤い奏甲に向かっていき、ブロードソードを頭上
に構える。
キョウスケ「縦、一文字斬りぃぃぃぃぃ!!!」
渾身の力を込め、赤い奏甲めがけてブロードソードを振り
下ろした。その衝撃で、周辺に粉塵が舞い散る。
キョウスケ「・・・俺達の勝利だ・・・!」
が、キョウスケは妙な違和感を感じた。
キョウスケ(妙に感覚がない・・・?)
恐る恐る正面を向くと、そこには赤い奏甲の姿はなかった
。
ミルフィー「キョウスケ、上!」
キョウスケ「なにぃ!?」
思わず上を見上げると、そこには空中でグレネードを発射
しようとしている赤い奏甲の姿が・・・。
キョウスケ「うそだろ!?」
渾身の一撃を避けられ、反撃に強烈な一撃が来ようとして
いる。その上、ラッキーアイゼンには銃火機は装備されて
いない。
完全な装備ミスに思わず驚愕の声を発するが、もう手遅れ
だ。
ミルフィー「まだ歌いきってないのにぃ〜!!!」

その時だ。

ラッキーアイゼンの向かいの方から白いシャルラッハロー
トが現れた。
???「・・・やはり貴様だったか、ドゥングルロート!
」
その場で立ちつくしているラッキーアイゼンをよそに、赤
い奏甲に向けマシンガンを放った。
赤い奏甲に次々と被弾し、はたまらずグレネードの発射を
中断、ミサイルをシャルラッハロートに乱射した。が、か
まわずマシンガンでミサイルを迎撃、残りはダッシュでか
わした。
キョウスケ「なんだコイツ!」
赤い奏甲がやっと着地、シャルラッハロートにハンドガン
で牽制。これにはさすがに足を止めた。そのまま剣を構え
肉薄、シャルラッハロートも左腕の小型盾で防ぎ、マシン
ガンの銃身で頭部を殴打。さらにそこから零距離射撃を浴
びせた。
ミルフィー「あれホントにシャルI!?」
これ以上は戦闘続行不可能と判断したのか、赤い奏甲が数
歩あとずさった後、この領域から離脱した。
???「逃がさん!」
シャルラッハロートも、赤い奏甲を追撃する形でその場を
後にした。

キョウスケ「・・・なんなんだ、さっきのは?」
ミルフィー「知らないわよ。」
奏甲の残骸が散乱する領域で、二人は夢から覚めたような
不思議な感覚を覚えた。
キョウスケ「このザマじゃ、合流できそうにねぇな。」
ミルフィー「おまけに稼働時間も限界に近いし・・・。引
き上げましょう。」
キョウスケ「あぁ、早くコイツの改修もしてもらわにゃな
らんしな。」
その後、二人は無言でこの場を後にした。

オリジナル設定(勝手に)公開
●ラッキーアイゼン:キョウスケの搭乗機体。当初はリー
ゼ・ミルヒヴァイスだったが、諸々の事情によりビリオー
ン・ブリッツに乗り換えた。どちらも「正面突破」を旨と
しており、前面の装甲厚が他の部位より高めになっている
のと頭部の角・赤のカラーリング・そしてコックピット内
部には、本人の強固なまでの要望で後付けされたツインス
ティックが特徴。ちなみに、キョウスケが搭乗する奏甲は
全て「アダックス」から提供されているが、その意図は不
明。
●スライプナーMD:ミルフィーが肌身離さず所持してい
るギター。「アダックス」製で、通常形態の「ノーマルモ
ード」と、歌術発動用の「A・Cモード」の2種類がある
。「A・Cモード」起動時には各部が展開し、内蔵された
幻糸結晶体「アーク・クリスタル」(*1)が露出する。
これがネーベル・レーゲンボーゲンの両肩部よろしく歌術
能力を向上させる役割を持つ。
が、普段はもっぱらミルフィーの弾き語りの道具として機
能しているため、すごいかどうかは微妙である。
(*1:大きさは30cm前後、八角形の形をしており、活
性率100%時には激しく明減する人工結晶体。精製には
、現世技術が関与しているとの事。)
●ドゥングルロート(コードネーム):正体不明の謎の奏
甲。直線を主体としたシルエットに重火器が満載されたそ
の様は、アーカイアにとってはかなり異彩を放つ。英雄・
歌姫の詳細は一切不明。「ドゥングルロート」という名称
も、数少ない目撃者(生き残り)が勝手につけたに過ぎず
、噂が絶えない。

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