電脳戦機 VirtuaRu/Li/Lu/Ra
「温泉宿の惨劇(中編)」

〜前回までのあらすじ〜
いきなり覗き魔退治を依頼された「アダックス」。
とりあえず様子見にと、陽動作戦(?)に出たが、覗き魔
達の非常識さに苦戦しながらも辛くも追い払うことには成
功した。
次はこれ以上の襲撃が来ると読んだ石井は、覗き魔迎撃作
戦「サイクリック・ハープーン」の決行を開始。
力なき歌姫と女性英雄を、理不尽な覗きから救うため・・
・。



ティセ「って勝手に話をねつ造しないでください。」
半眼で一人ナレーションをしている石井を睨みつけた。
石井「やはりこういうのは、居候にやらせるべきだったか
・・・。」
ティセ「違いますって!」
首をかしげる石井に激怒するティセ。
石井「わかったわかった、話を進めればいいんだな。・・
・よし、これ頼んだぞ!」
ティセ「・・・ってなんですかコレ?」
石井に手渡されたチラシの文章をざっと見回し、しばし硬
直した。
ティセ「これで英雄さん達勧誘するつもりですか!?」
石井「他の連中にも手伝ってもらわんと対抗出来んからな
ぁ。」
ティセ「うちにそんなお金・・・ってまさか!?」
驚愕するティセにニヤリとしながら石井が答える。
石井「これだ。」
と、昨日ネリーから譲り受けた大量の無料招待券をちらつ
かせた。
ティセ「本気でそれ、報酬にするんですか?」
石井「気にするな。ほら、さっさとそれ配ってこい。」

数時間後、「アダックス」事務室〜
懸命のビラ配りの結果、集まったのはほんの二組のみだっ
た。

石井「今日、この日のために集まってくれて、感謝する!
」
両手をデスクにつき、向かいにいる「第1次覗き魔迎撃」
に参加してくれた英雄と歌姫に深々と頭を下げた。
和十「いや・・・それはわかったから、作戦の説明を。」
石井「・・・そうだったな。」
頭を上げると、デスクにある資料を手に、作戦の内容を説
明した。
石井「今回の作戦は、温泉宿「メイデンズ・アーク」の今
後を左右する、非常に大事な作戦だ。」
優夜「今後って、んな大げさな。」
ティセ「大げさじゃありません!」
石井の横にいたティセが叱責した。
ユリアナ「聞けば、女湯に堂々とあがりこんだそうではな
いか!」
続いて、ルルカ。
ルルカ「お二人の言う通りです。これは、下手をすれば英
雄と歌姫・・・いえ、現世人とアーカイア人の信用問題に
関わる・・・げふっ、げふっ!?」
ティセ「ちょ、だ、大丈夫ですか!?」
ルルカの方に駆け寄り、介抱する。
優夜「あ、いつもの事だからいちいち・・・痛っ!!!」
苦しみ悶えるルルカの必死のハリセンが優夜の後頭部を直
撃。
ルルカ「あ、あなたって人はぁ〜!」
優夜「さらにできるようになったな・・・by池田秀一。」
和十「なんだかよくわからなかったが・・・。要は覗き魔
を成敗すればいいんだろ?」
その言葉にがば、と立ち上がり、両手の拳を握り締めなが
ら熱弁した。
ティセ「その通りです!あれはもはや人間ではありません
。余計な手心は無用、確実に排除!?」
石井「はいはい、そっちも熱くならない・・・。」
話がこれ以上湾曲するのを避けるため、ティセの口を塞ぎ
、再び作戦の説明に入った。
石井「これを見てくれ。」
と、壁一面に張り付けてある建物の図面の赤い部分を指さ
す。かつて女湯だった場所は、高さ50mもの塔らしき建
物になっていた。
石井「ここに、我が「アダックス」が急遽建造したトラッ
プ群が配置されている。」
和十「女湯はその上、か?」
石井「ま、まぁな・・・。」
テンガロンハットで目線を覆いながら答える。
和十「罠があるなら、俺達の出番はないと思うのだが・・
・・。」
石井「いや、これでもまだ未完成の状態だ。奴らがここを
突破する可能性があるからな。」
ユリアナ「私たちは保険、という事か?」
ユリアナの質問に、かぶりを振りながら答える。
石井「連中が奏甲を所持していないとは限らない。それに
所持していなかったとしても、さすがの連中も、これだけ
の奏甲に囲まれれば抵抗しようとは思わんだろ?」
ユリアナ「それを保険と言うのでは・・・!!!」
突然、ユリアナの頭の中に何かが浮かび上がった。
優夜「ルルカ2号の誕生!?」
石井「んなわけあるか。」
ルルカ「2号ってなんですか、2号って!」
苦しさのあまり、あまり大声が出せない。
和十「なにが見えたんだ、ユリアナ?」
ティセ「見えた?」
意味がわからず、首を傾げる。
ユリアナ「大丈夫だ。私の予知能力が働いただけだ・・・
。」
ポン!となにかを思いついたように手を打った。優夜だ。
優夜「おぉ、なんかこれで一儲け出来そうだ!賭博とか・
・・ぶぺら!?」
またもやルルカのハリセンが直撃した。
ユリアナ「(このメンツで大丈夫なのか?)・・・いや、
あまり先の事や詳細まではわからないがな。」
石井「それで、なにか見えたんだ?」
ユリアナ「・・・『蟲』だ。それも大型・・・!」
ティセ「蟲・・・って、えぇ!?」
和十「他には?」
ユリアナ「すまない、和十。・・・これ以上は・・・。」
それをきいて、石井の表情が強ばる。
石井(覗き魔に続いて蟲だと・・・、予想外のファクター
が出てきたか。どう相手にするかが問題だな・・・。)
ティセ「店長・・・。」
しばらく考えた後、
石井「よし、では蟲の掃討は優夜と・・・」
ルルカ「あの〜、ちょっといいですか?」
ルルカが手をあげた。
石井「なんだ?」
ルルカ言いかけた時優夜が間に割って入った。
優夜「いえね。ルルカの奴が『迷惑にならない様、私たち
は覗き魔迎撃に移ったほうがいい』ってね・・・?ルルカ
、なにやってんだ?」
優夜がルルカの方を向いた。
なにやら両手をわなつかせながら凄まじい形相で優夜を睨
みつけていた。
ルルカ「人の台詞勝手に取らないでください!自分で言っ
てて恥ずかしくないんですか!?」
優夜「俺もさ、さすがに皆の迷惑にならないようにしない
といけないかな〜・・・と思ってねぇ?」
ルルカ「だからといって・・・こんな・・・。」
あまりの情けなさにルルカは途中で言葉をつまらせた。
石井「・・・やむをえんな。またチラシ勧誘で集めるか。
」
優夜「いやぁ、すみませんねぇ。」
ルルカ「すみません、じゃ・・・!」
ティセ「ないでしょーが!」
三度復活したルルカとティセの拳をまともに食らい、沈黙
する優夜。
石井「やれやれ・・・。よし、ティセ。お前は「メイデン
ズ・アーク」の担当な。」
ティセ「え、あ、はい。」
ルルカ「わ、わたしも出来る限り・・・」
無理がたたって今度こそ本当に倒れたルルカを抱き抱えな
がらティセがうなずく。
石井「よし!作戦決行は今晩から。各自、補給やらなにや
らがあれば遠慮なく言うように!以上!」

日が西に傾く頃、すでに蟲迎撃組は街の外に待機していた
。再度のビラ配りによる募集は、蟲迎撃、ということもあ
ってか、五組ものペアが参加してくれた。

和十「・・・今日ではないようだな・・・?」
石井「いや、まだわからんぞ。深夜かもしれんしな。」
和十のグラオグランツの左肩に乗ったまま石井が答える。
ユリアナ「これだけ数がありながら、温泉宿の方には回さ
なくていいのか?」
周りに点在する奏甲を見回しながらユリアナが問う。
石井「問題ない。未完成とはいえ、あのシステムには万全
を・・・。」
英雄「前方、5kmになにかを確認・・・。蟲だ!」
石井が言いかけたその時、上空で待機していたハルニシッ
シュヴルムから通信が入った。
和十「なに!?」
石井「来たか・・・。」
ユリアナ「・・・。」
その報告にその場にいる全員がざわめきはじめた。いや・
・・。
ユリアナ(幻糸の乱れをまったく感じない・・・。)

(続く)



〜あとがき〜
終わりません!
え〜、なにがどう間違ったのか、2部構成のはずが暴走し
て3部構成に・・・。
あらすじ、結構遊んでますw
文字だけ、というのを逆手にとってやってみました!
誰もやったことがないだけあって、かなり不安ですが・・
・。

さて、いよいよ後半!これで終わって欲しいです・・・。

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