電脳戦記 VirtuaRu/Li/Lu/Ra
「温泉宿の惨劇(後編)」

〜前回までのあらずじ〜
異世界、「アーカイア」に召喚されてきた機奏英雄「ジョ
ー・樋口」。
愛する歌姫「リンダ・ハミルトン」と共に混沌としたアー
カイアを元の平和な世界へと・・・

???「いちゃつくんじゃねー、アベック共ぉぉぉぉぉ!
!!」
勝手にあらずじを語っていた英雄と歌姫を手りゅう弾で吹
き飛ばしながら、数十人もの日本陸軍の格好をした覗き魔
達が温泉宿「メイデンズ・アーク」を目指し、前進してい
った。そして・・・。

覗き魔達「な、なんじゃこりゃ〜〜〜!?」

覗き魔達は絶叫をあげた。
なにしろ、かつて「女湯」だった場所に、今日建造された
ばかり、というのが疑わしいほどの巨大な「塔」がそびえ
立っていたのだから。
覗き魔・宮本「ま、まさかあれが女湯なのかぁ!?」
海岸「み、宮本。引き返した方がいいんじゃないのか?」
あまりの事態に、皆困惑していた。
宮本「お、俺、総統呼んでくるわ!」
杉野「まて!逃げんのかよ!?」
杉野の制止を無視して、近くの森林公園の奥に飛び込んだ
。そして、1分後・・・。
???「とーーーおーーー!」
突如、森林公園の方から人影が飛び出てきた。
石井よりマッシヴな体躯で、ほとんど覆面レスラーの様な
格好である。
海岸「おぉ・・・!」
杉野「あ、あなたは・・・!!」
一時困惑していた覗き魔達が、活気を取り戻しつつあった
。
???「これしきの妨害工作でな〜にを後込みしとってる
かおんどれら!!!」
覆面レスラーの一言に、皆、唐突に真剣な顔立ちになる。
???「そっちがその気なら、受けて立つのが「漢」では
ないのか!!!」
覗き魔達「そのとおーーーりであります!総統!!!」
威勢のある返事で返してきた覗き魔達の先頭に立ち、総統
が突撃の合図を送った。
総統「いざゆかん!華の都へぇぇぇぇぇ!!!」
覗き魔達「サー、イエス・サー!!!」
覗き魔達の行動を、2階の窓からネリーが覗いていた。
その光景に、顔が青ざめていた。
ネリー「あぁ・・・、なんという事でしょう!?はやくテ
ィセさん達に伝えなくては・・・。」
ネリーは、足早にその場を後にし、「塔」の屋上にいるテ
ィセ達の所へ向かった。

所変わって、街郊外ー

ユリアナ「・・・来たぞ!」
蟲との距離は、ほとんどの奏甲が視認できるほどにまで縮
まっていた。
和十「1匹か・・・、他にはなにかいなかったか?」
和十は、上空のハルニッシュに訪ねた。
英雄「いや、1匹だけだ。それに・・・、な、なんだぁ!
?」
ハルニッシュ乗りの英雄が声をあげた。
と、その直後、激しい揺れと土ホコリがあがった。
蠢がいる方向から、英雄達に向かって何かが着弾したのだ
・・・。

石井(着弾・・・?)

石井も目を凝らしてみたが、前方には蟲1匹だけ。
そもそも蟲には、これだけ距離が開いた所からの攻撃手段
など、たとえ新種でも持ち合わせてはいなかった。
???「あー、あー、テステス。そこの英雄さん達?」
石井達「!?」
突如、声が聞こえてきた。
和十「む・・・蟲がしゃべった!?」
ユリアナ「そんな訳があるか!」
石井「だとすると、あの蟲は・・・。」
石井は、前方の蟲にトンファーを突き付け、叫んだ。
石井「きーさーまー!一体なんのつもりだ!!!」
蟲が動きを止め、答えた。
???「さっきのは、ほんの挨拶代わりですよ・・・フフ
フ。」
頭部を下げ、背部から男が出てきた。
細型で白衣姿。伸びた銀髪は後ろに束ねており、科学者然
としたいかにも怪しげな男だ。
蟲はというと、形こそまさに貴族種だが、各所には機械的
な記号が満載で、全長20mはあろうかというほど巨大だ
った。
背部には砲が4門据え付けられていた。これで、石井達を
威嚇していたのだろう。
そう、ついさっきまで「蟲」だと思われていたモノ。それ
はまぎれもなく・・・。
???「いかがでしたかな。私の絶対奏甲の威力の程は?
」
男は、買ってもらったばかりの玩具を自慢するかのように
言った。
ユリアナ「貴様!一体どういうつもりでこんな物を作った
!!!」
これまで、石井達に見せたことのないすさまじい形相で男
をどなりつける。
???「それは、私が第6・・・。」
ユリアナ「違う!なぜ・・・、なぜ仮にも対寄生蟲用兵器
である絶対奏甲を蟲の形にした!!!」
石井「ええぃ、奴の思うツボじゃないか。静かにしろっ!
!!」
石井の一喝で、ユリアナは平静さを取り戻した。
???「おや・・・、お気づきのようで?」
石井「当たり前だ!まったく・・・、よくこんな悪趣味極
まりない奏甲を思い付けるものだ。」
和十「お前の目的はなんだ!」
???「目的・・・?」
和十の問いに数秒黙りこんだ後、思い出したかのように手
をポンと打った。
???「そうでした、そうでした。この「アンホーリー・
ザッパー」のテスト運用の途中でしたなぁ。そこら辺をウ
ロウロしていたら、ちょうどあなた方の姿が見えまして、
少々ご挨拶を・・・ククク!」
不気味な笑みを浮かべながら、蟲型奏甲の中に戻る。
ファーブル「申し遅れました。私はファーブル・アイザー
マン。現世騎士団第6寄生蠢生体研究所の最高責任者でご
ざいます。」
ユリアナ「「騎士団」だと・・・!?」
和十「ユリアナ、お前らしくないぞ。戦闘体制に入る、織
歌の準備を頼むぞ。」
ユリアナ「わ、わかっている!?とっととあの化け物をど
うにかしろ!」
蟲型奏甲に動揺しているのか、口調がいつになく荒くなる
。
和十は、グラオグランツ「白虎」を起動、太刀を構えた。
続いて他の奏甲も戦闘体制にはいった。
ファーブル「化け物・・・。確かに、言い得て然りですな
ぁ。なにせ・・・!」
蟲型奏甲の砲が石井達に向けられ・・・。
ファーブル「122mmキャノンを4門装備しておりますか
らねぇ。ヒャハハハハッハハハアハハッハハッ!」
砲が一斉に火を吹いた。
石井達は左右に散開し、直撃を避ける。
蟲型奏甲の左側面に向かって、リーゼ・リミットとシャル
ラッハロートIIIが、ランス・トゥーハンドソードを構
えて突撃してきた。
それぞれ、前足・腹部に直撃した。
ファーブル「いけませんねぇ、迂闊ですよぉぉぉぉぉ!!
!」
蟲型奏甲の各部が展開、凄まじい勢いでクラスタマインを
射出してきた。
突出してきたシャルIIIはほどなく吹き飛ばされ、リー
ゼは数歩退くも、必死に攻撃を続行した。
和十「そんな小細工で!」
右側面より、白虎・ビリオーン・ブリッツが弾幕に突っ込
んでいった。
ビリオーンはあまりの弾幕の激しさにあまり前進できずに
いたが、白虎はその機体重量のおかげか、少しづつではあ
るが蟲型奏甲に肉薄していった。
ファーブル「ほほぅ。どんな仕掛けか存じませんが、やり
ますねぇ・・・!」
クラスタマインの発射を中止し、口部のバイトクローを白
虎に向けた。
かまわず太刀を振るう白虎。それをバイトクローで受け止
め、そのまま突き出した。
和十「くっ・・・!」
白虎はなんとか着地に成功したが、今ので距離が開きすぎ
た。
英雄「このーーー!」
ハルニッシュが蟲型奏甲の頭上からマシンガンを連射した
。
ファーブル「ふぅ・・・、うるさい蝿ですねぇ〜。」
122mm砲で撃ち落とそうとするも、全て回避され、砲門
全てが破壊された。
ファーブル「やはり、飛行型相手では分がありますなぁ・
・・。これならどうです!」
と、背部からレーダーのような装置が展開した。
そこから、蟲とは比較にならない程のノイズが放出された
。
和十「なにっ!?」
石井「ぐっ・・・、姿形だけじゃない、って事かぁ!!!
」
次々と機能不全に陥った奏甲を一瞥しながら、笑い飛ばし
た。
ファーブル「ぎゃはははははははははは!いかがですかな
、私の開発したノイズ発生器は?」
ユリアナ「ノイズ・・・貴様がだと!?」
ファーブル「言ったはずですよ?現世騎士団第6寄生蠢生
体研究所最高責任者、だと。これくらいの芸当は当然です
!さらにいうなら、現在ロールアウトされえいるメンシュ
ハイト・ノイも私の作品です。今ご購入の際には、特製ボ
ールペンを進呈いたしましょう。ヒャハハハハハハハハハ
ハハハ!!!」
蟲型奏甲が動き出した。身動きできないうちに止めを刺す
つもりだ。
ファーブル「さてさて・・・、誰から記念すべき「アンホ
ーリー・ザッパー犠牲者第1号」になってもらいましょう
かねぇ?」
しばし熟考。そして、なにかを思い付いたのか、うすら笑
いを浮かべた。
ユリアナ「こ・・・、この下衆が!」
ファーブル「決めました。この私の傑作に難癖つけたあな
た方にしましょうか!」
と、白虎に詰めよってきた。前足を大きく振りあげ、この
瞬間を待ち望んていたかのように顔かゆがむほど笑い出し
た。
ファーブル「ギャハハハハハハハハハッ!Amen!!!
」
その時だ。
突如、ギターの音色が辺りに響いてきた。同時にノイズが
中和され、奏甲が次々と起き上がった。
キョウスケ「人の聴覚範囲内で変な笑い声だすな!」
ミルフィー「これくらいのノイズ、スライプナーMDで簡
単に中和できるわよ!」
ファーブルは、奏甲の前足を下ろし、背後に振り向いた。
そこには赤い奏甲・・・、ラッキーアイゼンがいた。
ファーブル「まさか・・・、歌ごときで私のノイズを防ぐ
などとは!?」
事態は逆転した。ノイズを妨害され、122mm砲も使用不
可能。さらに奏甲の数では圧倒的だった。
ファーブル「これは由々しき事態です!早速、改良せねば
なりませんねぇ。」
石井「・・・って逃がすか!」
慌てて逃げ出そうとするファーブルを追いかけるが、その
機体サイズに反比例した移動能力ですぐに振り切られてし
まった。
ファーブル「今回は、私の負けといたしましょう。ではみ
なさん、また今度・・・」
ユリアナ「二度と来るなぁーーー!」

その頃、メイデンズ・アークでは・・・

優夜「俺の奏甲はぁ〜、幻糸の三重織り〜♪」
「塔」の内部にある男湯に、優夜は一人歌っていた。
優夜「・・・と、いや〜、いい湯だぁ〜ねぇ〜・・・。や
っぱり、温泉に来たからにゃあ楽しまないとなぁ〜・・・
。」
ルルカ「って、なにやってるんですか!?」
と、扉が開くと同時にルルカの声が響いてきた。
優夜「おぉ!?さ、さては・・・襲う気か!!!」
わざとらしく、湯船の隅に後ずさる。
ティセ「違いますって!」
ルルカに続いてティセがひょっこりと出てきた。
その後ろには、ネリーの姿もあった。
ネリー「ティセさん、今はそれどころでは・・・。」
ネリーが言いかけたその時、外から激しい爆発音と男の悲
鳴が怒涛の様に聞こえてきた。
ルルカ「こ、これは・・・!?」
ティセ「トラップが発動しましたか。」
不敵な笑みでうなずく。さらに続ける。
ティセ「店長も気負い過ぎなんですよ・・・。まぁ、今回
はこれくらいで十分でしょうね。」
ルルカ「そ、そうなんですか?」
優夜「じゃ、無事に解決って事でみんなで温泉に入ろうで
はないか!」
ルルカ「入ろうじゃ・・・!」
ティセ「ないでしょーが!」
二人が投げた風呂桶はほどなく優夜に直撃し、頭から血を
流しながら倒れた。

こうして温泉宿「メイデンズ・アーク」は、その後の「ア
ダックス」による改良に次ぐ改良により、アーカイア屈指
の女湯を持つ温泉宿として、100年近く語り草となった
。
その後、報酬として手渡された二泊三日無料招待券がどう
なったかは、不明である。

〜あとがき〜
・・・あかん、どうにも消化不足だ!
こりゃあ、修正必須ですな。
やはり覗き魔集団出したのがまずかったか・・・。
それでなくてもキャラ多すぎだし・・・。
参加してくださった皆様、申し訳ありませんでした!

次回は、「また」ラッキーアイゼンがパワーアップ!
キョウスケの意外(?)な趣味が発覚します。

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