電脳戦記 VirtuaRu/Li/Lu/Ra
「復活の赤き戦神」

温泉宿の一件から、一日が過ぎた。

ラッキーアイゼンは、帰還時に無理がたたったのか、各所
〜特に幻糸炉〜の損傷が著しく、修理に1日、調整に3日
はかかるという・・・。
その間、キョウスケとミルフィーは久しぶりに街での生活
を堪能することにした。

キョウスケ「う〜ん、いいねぇ〜・・・。」
キョウスケは、宿の一室のベッドで本を読んていた。
日課、というわけではないが、キョウスケにとってはこれ
が2番目の楽しみであった。
ちなみに、1番目はいうまでもなくロボットの事である。
キョウスケ「これの為に、生き残ってきたようなモンだか
らな〜。」
実は朝から読みふけっており、時計の針は9時を過ぎてい
た。
と、部屋の扉が開いた。
ミルフィー「おっはよ〜・・・ってあれ?」
キョウスケ「だわーーーーー!?」
突然のミルフィーの訪問に、慌てて本を布団の中に隠した
。
ミルフィー「・・・その下の何?」
ベッドの近くにある椅子に腰掛け、布団の下を指さした。
キョウスケ「・・・知らん。」
あさっての方向を向き、答える。
しばらく黙り込んだ後、そのまま、なんのためらいもなく
、布団に手をかけた。
ミルフィー「見せなさいって!いいでしょ、別に!」
キョウスケ「ええぃ、やめろ来るなその手を離せーーー!
」
ミルフィー「だったらなんで抵抗すんのよ!」
キョウスケ「いいから離せーーーーー!!!」
布団をひっぺがされない様に必死に抵抗するキョウスケだ
ったが、その拍子に本が落ちた。
キョウスケ「あーーーーーーーーーー!!!」
驚愕の声を出すキョウスケは無視し、ミルフィーはすかさ
ずそれを拾いあげ、表紙のタイトルを読み上げた。
ミルフィー「えーと・・・。『週間メイドの友 800回
記念特別号』!?」
キョウスケは、顔面真っ赤にしながらうずくまっていた。
キョウスケ「う・・・、わ、悪ぃか!?」
それを聞いて、ミルフィーの表情がほころぶ。
ミルフィー「あっははははは!あんた、こ〜ゆ〜趣味があ
たんだ〜♪」
キョウスケ「だぁーーー、大声で言うなぁーーーーー!」
必死の叫びも無視し、ミルフィーは本のページをパラパラ
とめくった。その本のほとんどがメイドのグラビア写真で
埋めつくされた様なコアな内容だった。
ミルフィー「うわ〜・・・、こんなのまであるんだ〜〜〜
♪」
とうとう耐えかねたのか、キョウスケは、がば、とベッド
から起き上がり、本をひったくる。
キョウスケ「っていうか、用があって来たんだろーが・・
・。何しに来た?」
半眼で睨みつけながら訪ねる。
ミルフィー「うん。ちょうどお休みだから、買い物につき
合って欲しいんだけど。」
まださっきの事がおかしかったのか、笑いながら答えた。
が、キョウスケはため息をつくなり、再び布団にもぐりは
じめた。
キョウスケ「なんで俺がつき合わされなきゃならねんだ?
お前一人で・・・。」
キョウスケが言いかけたその時、両手を打ちながらミルフ
ィーがわざとらしく言ってきた。
ミルフィー「あ〜、じゃあこの事みんなにいいふらしちゃ
おう〜かしら〜?」
キョウスケ「!?」

日が真ん中に差し掛かった頃、二人は食堂で遅れた昼食を
取っていた。
結局、キョウスケはミルフィーの買い物につき合わされて
しまい、キョウスケの隣の席は、その荷物でいっぱいにな
っていた。
ミルフィー「ごめんね〜、こんなに持ってもらって。」
キョウスケ「コイツ・・・、いつか覚えてろ。」
キョウスケが毒づきながらよその方を向くと、向かいの席
にいるミルフィーが言ってくる。
ミルフィー「なにか言った?」
キョウスケ「別に!」
牛丼に箸をつけながら答えるキョウスケに微笑しながら尋
ねる。
ミルフィー「でもさ〜、なんでメイドなんかに興味もっち
ゃってるわけ?なるわけじゃあるまいし。」
キョウスケ「ま、アーカイア人のお前にゃわかんねーかも
しんねぇな。」
ふっふっ、と含み笑いをしながらさらに続けた。
キョウスケ「メイドは現世人の憧れの的!確かに仕事とし
ちゃあちと地味っぽいが、一生懸命我が主に尽くさんとす
るあの健気なスタンス!!そして、肌の露出もなにもあっ
たもんじゃあないあの服装なのに、なぜこうも心を揺さぶ
らせる!?」
ミルフィーは、冷肉のサラダを口に運ぶ直前の所で止まっ
ていた。
キョウスケ「・・・聞いてんのか?」
ミルフィー「え、あ、うん・・・。」
半眼で睨みつけるキョウスケに合わせるため、適当にあい
ずちを打った。
キョウスケ「まぁ、そんなわけであって・・・。」
ティセ「あ、こんな所にいたんですね。」
と、キョウスケの背後から声が聞こえてきた。
キョウスケ「なんだ、ゴスロリ?」
ティセ「ゴスロリは余計です!」
キョウスケ「あっそ。で、なんだ?」
ティセ「・・・店長が呼んでるんですけど・・・!」
キョウスケとティセの間に、すさまじい空気が漂ってきた
。
それを止めるかのようにミルフィーが間に割って入る。
ミルフィー「あ、そ、そうなの!ほら、じゃあいきましょ
うかキョウスケ?」
キョウスケ「ま、まて!?牛丼!俺の牛丼がぁぁぁぁぁ!
!!」
ティセ「あーもー、うるさいですねー・・・。もう少し静
にしてくださいよ。」
涙交じりで牛丼に手を延ばそうとするが、ミルフィーとテ
ィセに引きずられていった・・・。

そんなこんなで、一同は「アダックス」に着いた。

石井の指示で「アダックス」格納庫に一同が集まると、威
勢のある声をあげ、石井が手をあげた。
石井「見よ!」
すると、背後の格納庫の扉が開き、そこには改修されたラ
ッキーアイゼンの姿があった。
キョウスケ「おぉ!!!」
その変わり様に、おもわず歓喜の声をあげた。
ついさっきまで「牛丼食ってないのに・・・」とうめいて
いた時とは別人のように。
キョウスケ「で、なんだ?あの銃は?」
キョウスケはラッキーアイゼンの右手に装備されている、
8mはあろうかという長銃を指さした。
石井「おぉ、あれか。」
石井は誇らしげに説明した。
石井「以前、お前に渡そうとした物だ。」
キョウスケ「で、なんなんだ!」
両手の拳を握り、目を輝かせるキョウスケの高揚ぶりにニ
ヤリとしながら続ける。
石井「ラッキーアイゼンは確かに優れた機体だ。だが、武
装についてはいまひとつ、つまり、その優れた性能を活か
す武装がコイツには必要なんだ。それがこの24mmソード
ランチャーだっ!!!」
陶然とした表情で奏甲を眺める二人の傍らにいる二人の少
女は口をぽかんと開けたまま立ち尽くしていた。
ミルフィー「あの〜・・・。」
ティセ「全然話についていけないんですけど・・・。」
キョウスケ「ま、お前らにゃ理解できんだろうな。」
と、石井がラッキーアイゼンの左肩を指さした。
石井「と、いうわけだから、あまり派手に壊すなよ!」
キョウスケ「・・・って、なんだありゃ!?」
キョウスケは左肩を凝視した。
そこには、キョウスケにとってうんざりするくらい見慣れ
たエンブレムが貼り付けてあった。
そう、「アダックス」のロゴマークである。
キョウスケ「なんじゃこりゃー!?」
石井「それはこっちの台詞だぁーーーーー!!!」
キョウスケの絶叫を遥かに超えた怒声で石井が言う。
石井「この改修の為になぁ、うちが奏甲コンペに出品する
予定の試作機のパーツやらフレームやらをコイツに組み込
んじまったんだからなぁ!この程度、生ぬるいモンだ!」
がっしとキョウスケの肩を掴むと、鬼のような形相で睨み
つけながら続けた。
石井「・・・しっかり宣伝してこいよ!」
もはやキョウスケには反論する気力は失せていた。

こうして三代目ラッキーアイゼンは、あまりにも重すぎる
役割を与えられてしまったという・・・。

〜あとがき〜
うちの作品にしては執筆のペースが早かったですw
三代目を出したいがために、この話があるような感じです
ね。
ひさびさにキョウスケ書けたし!
メイド因子200%になった彼の活躍を見守ってやってく
ださいまし。

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