電脳戦記VirtuaRu/Li/Lu/Ra
「One-Man-Desturacter」エピソード2



遺跡に突如中年の男の声が響いてきた。
男は、なにやら悪役じみた口調で一同に言ってきた。
???「ふっふっふっ・・・。だが、この程度で終わると
思うな・・・」
キョウスケ「っていうか、テメー誰だよ・・・」
???「ならばよく聞くがいい!ワシは元現世騎士団特殊
研究機関総責任者、ギルマン・オーゼック!!!」
優夜「何ぃ!?」
わざとらしく優夜が声をあげるが、その直後、呆れ声でル
ルカが返してくる。
ルルカ「・・・知ってるんですか、とはいいませんよ?」
優夜「うっ・・・」
続いてメデス達。
メデス「その騎士団がなんの用だよ!?いきなり発砲して
くるわ、奏甲が出てくるわで・・・!」
ミルフィー「発砲?」
ミルフィーの問いに、レンが代わりに答えた。
レン「さっきの振動・・・。あれは砲撃によるものだった
んです」
メデス「さすがに、どっから来たのかはわかんないけど」
キョウスケ「ったく・・・、だったらなんで前回に言わな
かったんだよ?」
メデス「アンタの背後の手違いで言いそびれたんだよー!
」
レン「まぁ、修正してしまえばそれまでの事です」
キョウスケ「そこで背後を病院送りにすれば、万事OKっ
てわけだな!」
ギルマン「あ、あの〜・・・?」
すっかり話題が変わってしまい、ギルマンが弱気になる。
ギルマン「頼むからワシの話を・・・」
ミルフィー「ちょっと待ってよ。そんな事したらこのSS
はどうなっちゃうのよ!?」
キョウスケ「心配すんな。んな時ゃ、無理矢理たたき起こ
してでも書かせる!」
優夜「うわ〜・・・。やる事がまるでルルカだ・・・!?
」
ルルカ「私・・・、そこまで乱暴にしてません!」
ギルマン「聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
耐えかねたのか、遺跡周囲に怒声が響きわたった。
さすがにビビったのか、一同はその場で立ち止まった。
ギルマン「貴様らがなぜこの場所を突き止めたのかは置い
といてだ・・・」
その一言に疑問を抱き、キョウスケが割ってはいる。
キョウスケ「・・・ってマテ!この手紙テメェが出したん
じゃねーのか!?」
ギルマン「え?ちょ、ま、えー・・・。そ、そうだとも!
貴様らの勇名を聞き及び、我々の偉大なる実験の贄とする
べくその手紙を出したのだよ。・・・ふぅ」
優夜「実験?」
ふとなにかが気になったのか、優夜が聞き返してきた。
ギルマン「その通り!」
これはあらかじめ想定していたのか、誇らしげに答えた。
ギルマン「貴様らは運がいい・・・。なにせ、この戦闘で
ドゥングルロートの撃墜数が100機になるのだからな・
・・!」
???「そうか・・・、そういう事だったのか!」

と、遺跡の建物の間から白い奏甲が飛び出してきた。
正確には純白に金色の縁取りが施されており、それ以外は
何の変哲もないシャルラッハロートIのようだ。左腕には
小型の盾、右手にはマシンガン、さらに両腰には大振りの
ナイフやら弾倉がマウントされており、左肩にはなにやら
妙に大口径の長銃を下げていた。
白い奏甲は、一同の側に着地するなり、向かいにいるナハ
トリッタァを指さした。

???「起動実験は失敗した筈だが・・・、どういうこと
か説明してもらおうか!」
ギルマン「その声・・・。貴様か、ビャクライの犬!?」
キョウスケ「あー!て、てめぇは!?」
あまりに突然の事態に、キョウスケが驚愕の声を発した。
優夜「・・・あぁ、シンクロ率がどうこうっていう!」
ルルカ「絶対違います!・・・ところで、あの奏甲は?」
ルルカの声にキョウスケは我を取り戻した。
優夜のシャルラッハロートIIIに向きやり、簡単に事情を
話した。
キョウスケ「・・・ってまぁ、そんなこった」
優夜「俺もわかるぞ〜。なにせ・・・!?」
優夜が言いかけたその時、背後から来る何者かの殺気に言
葉を濁した。
ルルカだ。
にこやかに、あくまでにこやかにルルカは優夜に言った。
ルルカ「優夜さん・・・。それはまた別のお話、という事
ですよ?」
優夜「う、そ、そうだな・・・。そーゆー事にしようかな
とも思ったりするかも・・・」
一同をよそに、白い奏甲とギルマンの対話が始まっていた
。
???「ドゥングルロートはどこだ?」
ギルマン「そう焦る事ぁないだろうに。えぇ?現世騎士団
特務部隊隊長、シャーウッド・マイゼン!」
シャーウッド「能書きはいい。それよりも奴はどこだ?そ
もそもあれは暴走したのではないのか!?」
憤りを堪えながらシャーウッドが問いかけると、ギルマン
はニヤリと微笑しながら答えた。
ギルマン「そう。あれは我々が意図的に引き起こしたもの
だ。貴様らの目を欺く為にな」
シャーウッド「なんの為にだ?あの暴走事故のせいで、俺
の部下が何人死んだと思っている!」

メデス「・・・なんていうか・・・」
キョウスケ「王道、のつもりなのか?」
ミルフィー「おうどう?」
聞き慣れない単語に、ミルフィーは首を傾げた。
キョウスケ「ほら、よくあるだろ?物語でボスの魔王と勇
者の因縁の対決の前によくやるやつ」
ルルカ「それと今の状況とどう関係あるんですか?」
キョウスケ「わっかんねーかなー。お決まりの台詞とかそ
んなの。魔王なら「ふはははは!よくここまで来たな、勇
者共!」とか」
優夜「おー、それならわかるぞ!「おのれ〜、にっくき魔
王め!」とかだろ?」
キョウスケ「そうそう、それだ!アンタ、以外と見込みあ
るな・・・」
レン「・・・そんなことより、話は聞かなくていいんです
か?」
レンの一言で一同はまだ対話しているシャーウッド達の方
に向き直した。

シャーウッド「・・・騎士団を貴様らのくだらん企みのつ
いでに壊滅させるわけにはいかん」
ギルマン「貴様一人でなにができる?」
どうやら、話し込んでいる間に展開が進んでいるようだ。
シャーウッド「それは違う!」
シャーウッドはかぶりをふって否定した。
シャーウッド「俺には数多くの部下がいる。たとえ死に別
れたとしても、部下達の想いは永遠に俺の中に生きている
。そして!!!」

と、一同の方に向きやり、びしっ、と指をさした。

シャーウッド「今の俺には、心強い仲間達いる!」
一同「って、待てーーーーーーーーーー!!!」
喉がかれるほどの大声で驚愕した。
それを見たシャーウッドは、まるで決められていた事のよ
うに返してきた。
シャーウッド「その筈だ。それに、手紙の地図を受け取っ
てここに来たのだろう?」
キョウスケ「テメーか、これ出したのは!!!」
手紙を鷲つかみにし、バンバンと手で叩いてみせる。
シャーウッド「無論だ。それに今の奴と対等に戦うことが
できる武装組織といえば、あそこが巷でメジャーだったか
らな」
ミルフィー「組織じゃないわよ、工房よ!こ・う・ぼ・う
!」
キョウスケ達の抗議は無視し、シャーウッドは再びギルマ
ン(が設置したと思われるスピーカーと、その場で立ち尽
くしているナハト)に向き、話を続けた。
シャーウッド「そういうわけだ。覚悟してもらおうか」
ギルマン「ふふふ・・・、よかろう!貴様らにドゥングル
ロートに挑むことの愚かさを味あわせてやるわ!」
それからしばらく間を置いた後、続けた。
ギルマン「・・・ただし、ここから北西の森林地帯を無事
にたどりつけたら、の話だがな」
メデス「北西・・・?」
メデスは首を傾げた。
レン「おそらく・・・、さっきの砲撃もそこから来たとみ
て間違いないです」
それを聞いて、優夜は奏甲を降ろした。
優夜「よし。場所もわかったところだし、ここで増援が来
るのを待ちましょうか・・・!?」
突然、背後から凄まじい殺気を感じ、途中で言葉を詰まら
せた。
ルルカ「・・・そんなにお休みになりたいのなら、今すぐ
ここで眠ってみますか?」
と、手に持ったハリセンをバシン!と叩いて見せる。
その一言で、優夜が凍り付いた。
優夜「ルルカ・・・、なぜそんな殺伐とした娘になってし
まったんだ!?胸は相変わらずだが・・・ゲフっ!!!」
ルルカの無言の一撃で、優夜は沈黙した。
メデス「・・・とにかく、森に行ってみようか?」
キョウスケ「そうだな。」
キョウスケは頷くと、森に向かって歩を進めた。
そうしている間にナハトが逃げ出していったが、今はそれ
どころではない。
シャーウッド「待っていろ、ギルマン。必ずこの手で、ド
ゥングルロートを討ってみせる!」
一人盛り上がっているシャーウッドは無視し、一同はキョ
ウスケの後を追った。

が、異変はスピーカーの会話から始まった。

兵士「ギ、ギルマン様、大変です!?」
ギルマン「なんだ?いきなり・・・」
一同は一旦足を止め、その会話を聞いてみることにした。
兵士「そ、それが・・・、戦艦が!戦艦が向かって・・・
!?」
ギルマン「だから一体なんだ・・・って戦艦!!!」
兵士は一呼吸した後、続けた。
兵士「は、はい。別動隊からの報告で、遺跡方面に向かっ
て前進してくる戦艦らしき物体を目撃したと・・・」
ギルマン「奴らの仲間かも知れん。とっとと沈めてこい!
」

一通りの会話を聞いた後、皆がざわめきはじめた。
メデス「おいおい・・・、戦艦なんてあるわけないだろう
が?」
レン「あっても、せいぜいランドクロイツァー程度ですが
」
優夜「まさか・・・、変形か!?」
ルルカ「なんでランドクロイツァーが変形しなければいけ
ないんですか、まったく・・・」
信じられない、と言わんばかりの会話が延々と繰り返され
る中、キョウスケとミルフィーはなにやら嫌な予感がして
ならなかった。
順に、重くなった口を開いた。
キョウスケ「こっちに向かってくる戦艦らしきもの・・・
、まさかな・・・」
ミルフィー「・・・でも、そのまさかをやってのけるのが
店長なのよね・・・」

二人の予感は嫌と言うほど的中していた。

シュピルドーゼの大地を我が物顔で疾駆する艦の甲板の上
で、一人の男が腕組みをしながら立っていた。
石井「・・・まさか、こいつを戦闘に使用する時が来ると
はな・・・」
敵の奏甲部隊が出てくるのを双眼鏡で確認すりなり、石井
はため息をついた。
元々、大規模な輸送がこの艦の主な用途だったのだが、こ
こまで来たからにはそうも言ってはいられない。
石井「まぁ、奏甲の数ならこっちも負けはせんがな・・・
」
テンガロンハットを深くかぶり直し、腕を振るうと同時に
声をあげた。
石井「総員、第1種戦闘配備につけ!目標、眼前の敵奏甲
部隊!」
石井の合図と同時に、艦の上部ハッチから4機の奏甲が姿
を現した。

〜続く〜



キャラ解説

●シャーウッド・マイゼン:24歳。現世騎士団所属の機
奏英雄。完璧な容姿・圧倒的な技量と一見隙がないように
見えるが、時折見せる「王道」癖のせいで一部の関係者か
らは変人扱いされている。(もちろん、無自覚)

●ギルマン・オーゼック:45歳。元現世騎士団所属だっ
たが、ドゥングルロートの第一次起動実験を意図的に失敗
させ、その混乱に乗じて数人の部下と共に逃走。以後はト
ロンメル〜シュピルドーゼ間に位置する遺跡付近に潜伏し
、ドゥングルロートを最強の絶対奏甲とすべく様々な実験
を繰り返している。


機体解説

●ナハトリッタァ:現世騎士団特殊研究機関が所有する絶
対奏甲。
見た目はノーマル仕様だが、星と月のアラインが変更され
ており、昼夜問わず安定した性能を有する。
武装はロングソード一振りのみと、極端である。

●シャルラッハロートI「白虹」:シャーウッドが搭乗す
る奏甲。
駆動系を最新の物に替えてある以外は普通のシャルラッハ
ロートIだが、搭乗者の異常な操縦技術により、並の改造
奏甲を越える性能を有している。
また、ハードポイントが通常の奏甲より多く設置されてお
り、任務に応じて様々なオプション装備の換装が可能で、
特に決まった武装はない。

●トランスポートシップ「リヴィエラ」:工房「アダック
ス」が誇る大型陸上長距離物資輸送型ランドクロイツァー
。
全長140m・全高52m・全幅78mの双胴型で、全20
機もの奏甲を輸送できる。さらには無補給でシュピルディ
ム〜エタファ間の往復が可能で、装甲もリーゼ・リミット
真っ青の防御性能を有しており、用途次第では陸上母艦的
な役割もこなす。


〜あとがき〜
さて、今回はドゥングルロートの設定の一端の紹介等をや
ってみました。
でもって、また非人間(人でなし、アンタ人間じゃないよ
、とかの人種)が続々出てきてもう混乱気味です。
シャーウッドなんか、もうわけわからんし!
それとラストで次回のネタばれをしてしまいましたな・・
・。
陸上艦。コミック版に出てきたので、ほとんどこれに対抗
しております。
言うまでもなく、ほとんど残りのメンバーはこの艦で出番
を待ってますw

次回は、ついにやってきた大規模戦闘!
弾幕組のネレイスさん・小雪さん・ヴァーゼルさん、覚悟
はいですか?

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