第一話『少年が少女と出会う時』

 未来が見えるからと言ってなにが出来るわけでも無い事は、きっと誰よりも理解していた。
 未来が見えないからと言って何もしないことは、ただ単に臆病なだけだと誰よりも実感していた。
 必要なのは見えないからと怯えることでもなく。
 必要なのは見えるようになることを漠然と望むことでもなく。

 ―――ただ唯一。
    前へと進む勇気のみ。

 そんな、簡単なことを気が付いていないほどに。
 俺は。
 メデス=シュバルツなんて大層な名前の俺は。
 まだ、子供だった。
 ただ漠然と夢を描いて。
 ただ漠然と世界の中を彷徨う子供。
 無力で、どうしようもない程に無知で無謀で浅はかで。

 ―――きっと、誰よりも、臆病だった。


 †


 目を灼く閃光に目が覚めたとき。
 目の前に広がった光景は常軌を逸していた。

「――――――ぁ」

 そんな、意味も無い吐息が言葉のような響きを持って呆然と開かれた口から漏れた。
 視界いっぱいに広がる光景は『混乱』と称する外、自分の語彙録の中に相応しい語句はない。
 逃げ惑う女の人達。
 空間を圧する程に蔓延した悲鳴が鼓膜を震わせ、鼓動を早く刻ませる。
 立ち上る砂埃はまるで霧のように視界を不鮮明にして、現実を現実味の無いものへと貶める。

 ようやく、寝起きの胡乱な状態から覚醒した頭が認識したのは。
 此処が見たことも無い街で。
 そして自分は『普通』じゃない状況に追いやられているということだけだった。

「―――冗談じゃない」

 認めたくない事実に頬が引き攣った。
 なにが起こっている。そう自分に問い掛けたとて一向に答えが出てくる訳も無い。
 ただ、状況に翻弄された自分が此処にポツンと存在しているだけだ。
 人間は理解を超える現実に直面したとき、なにをするわけでもなくただ呆然とするしか無い、と言うのは映画やその他の様々な媒体で目にしてきた事実だが、その時になって初めて経験談として実感出来た。
 何も出来るわけが無い。
 辺りを無意識に見渡していた視線を項垂れる様にして下に落とすと、目に入るのは自分の投げ出された二本の足。
 黒のジーンズに冬用の分厚い靴。
 其処まで認識して、自分は何か建物に上半身だけ寄りかかった状態で座っていると気が付いた。

「と、とりあえずは逃げないと」

 周りの悲鳴に急かされるように、とりあえず逃げようと思い立ち上がる。
 分厚い冬用コートがばさっと音を立てる。
 立ち上がって改めて辺りを見渡しながら『どうしてこの様な場所に居るのか』を考える。
 目が覚める前、自分はなにをしていた。自分はどうしてこんな場所に居たのか。

 朝、普通に起きて神社の誰もいない境内を使って竹刀の素振り。
 その後、軽くシャワーを浴びて朝食をとった後に休日と言うこともあり暇つぶしがてら街の書店でも周ろうと外へ出た。

 外には雪が―――降っていた。それだけは覚えている。
 
 だが、その後の記憶が無い。

「つまり、まさか……まさか?」

 そこから導き出せる答えはたった一つだけだった。その計算式の簡単な事といったら小学校の算数レベルだ。というより幼稚園児でもすぐに導き出せるほどに単純だ。
 そも、そこにあるのは事実だけなのだから、計算式でも無い。どうしても算数に当てはめるならば数字そのものだ。間違えるまでも無く既にそこにある。
 つまりは。

「いきなり此処に“召喚”された?」

 馬鹿なことを口走っている、と。
 口にするまでも無く思った。
 第一で口にした今でさえも余りに日常的ではない言葉だけに、事実であると言う実感はまったくない。
 召喚。ファンタジー世界やらRPGな世界やらではよくよく使われる言葉ではあるが、まさか現実に自分の状態を指す言葉として使用することになるとは思いこそすれ実際に起こりうるとは考えられなかった。それだけの非現実が自分に事実として提示されている。
 だがしも、そうでなければ説明が付かないこともまた、現実に現実味を感じられないのと同じくらいに実感していた。
 詰まる所、認めたくないが認めなければならな事実と言う物はこういう物なのかもしれない。

「ともあれ、尋常ならざる……事態……だよなぁ」

 周りからは間断なく悲鳴が聞える。
 混乱から若干醒めた思考で改めて辺りを見回して気が付いたのだが、どうにも自分の居るこの場所は建物と建物の丁度間、裏路地に位置する場所らしく、逃げ惑う女の人達も悲鳴の主たちも、裏路地を抜けた広場に居るらしい。
 悲鳴と言う曖昧な恐怖だけ与えられて、明確な情報を与えられない自分の状況は何処かB級ホラーじみていて、少しだけ理解出来ない現実に現実味を与えてくれた気がした。
 しかしながら、現実に現実味を与えられようが何しようがこの状況をどうにかして打破しないことにはあまり対した変化とは言えない。
 とりあえず、逃げるにしろどこに逃げればいいのかを確認する意味もこめて人がたくさん居るであろう広場へと向かうことに決めると、走り出した。
 対した距離もない、せいぜいが二十メートルほどの距離を走り抜け、広場に躍り出る。
 瞬間、呼吸すら阻害するほどの熱気の篭った砂埃が襲い掛かる。
 数度咳き込みながらもどうにか辺りを見回してみると砂埃だけがうっすらと辺りを覆い、人の姿は見当たらなかった。
 どうにも、間の悪いことに自分が見ていた女の人達と言うのは『逃げ遅れた』部類の人達であり、その人達ですら逃げた後の広場に自分は駆けつけたと言うことらしい。
 悲鳴はまるで町中が哭いている様に、絶えず空気を切り裂き、鼓膜を響かせ続けて居た。
 砂埃に噎せ返った呼吸をどうにか落ち着ける。誰も居ない広場。砂埃だけが此処に確かに人が居た残滓を残しているこの場所。
 悲鳴を手がかりに逃げれば人の居る所にはたどり着けるだろうが、悲鳴の原因にも遭遇するかもしれない。
 かといって闇雲に走って逃げるのは危険だ。
 そう、思考したときだった。

――――――思考を切り裂く金切り音が耳をつんざく。

「―――ッ!」

 突然のその高音に、反射的に耳を両手でふさぐ。
 だが、耳をふさいでいてもなお聞える“粘着質の高音”は次第に近づきつつあった。

「な、なに………が」

 吐き気すら感じるほどのその音量に顔を顰めながらも辺りを見回したとき。
 嘘の様な炸裂音と共に、これまた嘘の様に周囲を囲む建物の一つが瓦礫を舞い上げながら崩壊した。

 †

 サーカスの象が突然暴れだした映像を目にしたことが在る。
 あれはテレビの“衝撃の映像○○連発”とか言う特番で組まれていた映像の中の一つで、観客の目の前、芸をしていた像がいきなり暴れだして象を操っていた調教師を踏み殺した映像だった。
 その映像を見て思ったのは、ただ、不幸と言うのは突然襲い掛かってくるのだな、と言う漠然とした要領を得ないものだった気がする。
 しかし、今、この状況に置いて。
 象に襲われた調教師の気持ちが良く分かる―――気がした。

「嘘―――だろ?」

 崩壊した建物の小さな破片が頬に当たって小さな傷を刻む。
 つぅ、と頬を垂れる血の一滴。
 鈍い音と振動で辺りを震わせながら辺りに巨大な瓦礫が落下する。
 その衝撃から、広場を覆っていた砂埃がヴェールのように空を覆った。
 舞い上がる砂と、舞い落ちる瓦礫。
 その中で崩壊し建物の上に立つあれは。

―――あれは、なんだろうか。

「く……も?」

 自分の知識の中で一番あれに形が似ているものの名を呆然と呟く。
 轟音にふさいでいた両手は呆然と体の両脇に下げられ、両眼はまっすぐに瓦礫の上に立つあれを見詰める。
 きしきしと言う擬音が相応しい動きをする奇妙な口。
 甲殻的な節のある巨大な体躯。
 全容を把握するには大きすぎるそれから生える建物の柱のような六本の脚。
 自分の知識に無いその巨大な“蟲”はまさしく人智を超える怪物というに相応しいと思えた。

―――その禍々しさ。その恐ろしさ。その生理的悪寒を刻む存在。

「あ、ぁあ、あああ、ああ」

 恐怖に、咽喉が震えた。
 声は既に言葉を成していない。
 思考も、恐怖によって乱雑に寸断されている。
 認識するのはただただ、怖いと言う感情だけ。
 目の前の脅威にただただ身が震える。

―――逃げようなんて、思えるはずもなかった。

 本能的に、目を逸らすことを拒む自分が居る。
 背後を見せたら。
 この恐怖を。
 自分の視界の外に。認識の外に置いたら。

―――間違いなく“喰われる”

「あ、あぁ、あぁああああああああああああああああああああああああ」

 咽喉を震わすそれが、悲鳴の如く炸裂する。
 目の前のそれは悠々と瓦礫の上に立ち誇り、なにをするでもなく、粘着質な唾液を口から垂れ流しながらこちらに相対する。
 二つでは無い、瞳が、こんなに生理的悪寒をかきたてるなんて。
 蠢く二つの牙がこんなにも恐怖を心に刻むなんて。
 恐怖が、こんなにも身体を縛り付けるなんて。

―――なにより、現実がこんなにも残酷だなんて。

 思いもしなかった。


 †

 その一撃を避けられたのはただの偶然によるところが大きい。
 ただ、微かな動作によって光の反射角が変わったのだろう。
 二つではない瞳が煌めいた気がした瞬間、自分を辛うじて支えていた糸のような心が確かに折れたのだ。
 崩れ落ちる両足と無様に尻餅をついた痛みを感じた瞬間。

―――“くも”の爪が背後の地面を抉った。

「――――――――――――ッ!!」

 その轟音が、俺の意識に掛かっていた霞のような恐怖を振り払う。
 瞬間的に視界を覆った“くも”の腹が、地面に付こうとする直前に身を横に投げ出した。
 そのまま、勢いに任せてごろごろと地面を転がる。反射的に閉じた視界のお陰で、目はあまり回らなかった。
 ごつ、と、何か大きな岩のようなものにぶつかった所で、目を開けて立ち上がる。
 そうして“くも”を視界に納める前にまた、今度は全く着地とかそういったものを考慮せずになりふり構わず右に身を投げ出した。
 刹那、岩が粉砕される轟音。弾き飛ばされた石礫が体に当たり痛みを刻む。
 ごしゃ、と思いっ切り顔面から着地し、視界が痛みに明滅する。
 思いっ切り痛打した右頬がまるでそこにだけ日が当たっているような熱を帯びるが痛みを振り払うように頭を振るうだけで、無視して立ち上がる。
 此処まで回避出来たのも、実際は運によるところが大きいのだろう、と。思考の片隅で思う。
 回避出来たのは己の技量でもなんでもなくて、ただ相手が本気でまだ仕留めようとしてないだけの話だ。
 それに、自分の取った回避運動に余力なんて物は文字通り存在しない。
 避けなければ死ぬ。
 飛ばなければ死ぬ。
 死ぬ。
 それが嫌だから、必死に飛んだ。
 ただ、それだけ。やれなければ死ぬのだ。避けられて当たり前じゃないとおかしい回避運動なのだ。
 故に、避けた事に自分の能力は殆ど関係していない。
 運よく、まだ生きている。ただそれだけだ。
 それでも、二回も攻撃を避けられたことが気に食わないのか何なのか。
 “くも”すぐに第三撃へと移ろうとせず、こちらを睨みつけるようにしてその多目で睨み付けている。
 距離にして―――十メートルあるかないか。目一杯踏み込んでも三歩から四歩どの距離だが、相手にしてみれば一歩ほどの距離。必殺とも言える間合いだが、既に二回これを運だけで自分は避けている。

「次も―――避けられる可能性は」

 正直、薄いと自覚して居た。
 先ほど、着地に失敗した折に痛めた右頬が疼く。そして、飛んできた石礫を受けた体が軋む。
 痛みは、それだけで動きを阻害する。
 身体じゅうに奔る痛みは、既に阻害と言うレベルではなく束縛というに相応しい。
 まとわりつく“くもの糸”の様だと、思った。
 動けば動くほどに絡み付き、動きを阻害して行く。
 暴れれば暴れるほどに致命的になり、そして、最後は糸を張り巡らした捕食者の意図通り。

―――貪り喰われるしかないのか。

 その思考に―――身体中の恐怖が沸き立った。

「あ――――――れ?」

 がくん、と。
 視界が堕ちる。どさっと耳の遠くで音が聞えた。

「なん―――で」

 ただでさえ見上げるようだった“くも”がさらに巨大になった気がした。

「なん――――――――――――で」

 膝が完全に“生きること”を放棄していた。
 力が、入らない。
 身体が震え始める。
 恐怖に、まるで“おこり”にでもかかったかのようにして震えが止まらない。
 両手で地面を必死に押す。
 押して、押して――――――押して。
 そうして、ようやく腕にも力が入らないことに気が付く。

「どう――――――して」

 力の入らない腕を“くも”と自分の視界の間に持ち上げて見ると、信じられない程に―――笑ってしまうほどに震えている。

「あ、あはっ―――」

 自分の震える手の平を見詰めて、自分の無力な両足を見詰めて。
 身体の震えを押さえるようにして、力の入らない両手で身体を抱きしめて。

「あは、はは、ははははははは――――――」

 引き攣った顔で笑い声を上げて―――前を見詰めた。


―――瞬間。閃光が迸る。

 甲高い音色は、金属バットでボールをたたいた音に似ていて。
 どこか滑稽で現実味を帯びていなかった。
 両目を焼く極光の渦。
 余りに強すぎる光の奔流が目の前で炸裂している。
 反射的に瞼を閉じた両目を開けて、改めて目の前を凝視する。

「あ、はは、は―――は」

 先ほどの引き攣った笑い声とはまた別の、今度は呆れたような、そんな声が口から漏れた。
 目の前に広がる光景。
 穿たれた地面は月のクレーター思い起こさせるに十分な堂々たるものだ。
 “くも”はそのクレーターの向こう側に居た。
 こちらから見て右“くも”からして左半身は黒く焼け爛れており、膨大な熱量が一瞬でそこに炸裂したことを窺わせる。
 脚は“付いている”というのが相応しい。ただ付いているだけにしか見えない、ぐちゃぐちゃに外面を砕かれたその脚。
 目の前でこんな熱量が放熱されたというのに、自分に影響したことといえば極光が目を灼いただけ。その事実がなんとも非現実的で、なんともファンタジーだった。

―――じゃり、という。意思を踏み締める音に、右を振り向く。

 其処には、威風堂々と。
 瓦礫の上に立ち誇り。
 砂埃のヴェールが切り裂かれた合間から射す光を一身に受けて。
 神々しくも、其処にあり。
 非現実的でありながらも、確かに現実として其処にある。
 淡蒼の長髪を二本靡かせ。
 こちらを真っ直ぐに見つめる朱金の瞳は光を帯び。
 身に纏う、まるで深窓の姫の様な黒い服。
 ドレスのようにも見えて、だけど、見たことも無い世界の巫女が纏う儀礼服のようにも見えて。
 それらが全て相俟って。

―――ただただ、目には美しく映る。

「――――――生きてる?」

 そうして。
 女神のような少女の口から紡がれた言葉は。
 そんな当たり前の、美しい声音だった。
 俺はただ、その言葉に頷いた。

 †

「―――――――――Die Nacht des wei?en Monats kommt(白い月の夜が来る)」

 瓦礫の上に勇壮に立ち誇る少女が口ずさむと、まるで世界が怯えたように止まった。
 それは、一瞬。舞い上がっていた砂埃すら其処で停止したかと思うと。

―――爆発的なほどの突風を持って、少女を中心に中へと昇る。

「―――Was den Wind anbetrifft, der durch Art durchbrennt(吹きぬける風は優しく)」

 それは、どこか懐かしい聞いたことのない音色だった。
 砂埃のヴェールは既に彼女の上だけ完全に晴れている。
 円形に望む雲ひとつ無き青天。

「―――Laufen lassen das Denken, welches es aus freien R?umen wie dem
Mondschein kommt(駆け抜ける想いは月光のように澄み渡る)」

 “くも”がその音色を恐れるように一瞬だけ身を震わせた。
 獣そのものの粘着質な咆哮が一瞬だけ大気を小さく震わせるが、朗々たる少女の音色にただただ圧せられ、沈黙する。

「Was alle Wort?nderung anbetrifft am timbre(全ての言葉は音色に変わり)」

 すっと。少女が腕を伸ばした。
 その先に居るのは醜悪な怪物である“くも”ただそれのみ。
 まるで、光を身に纏っているかのような少女は歌を紡ぎ、音色を響かせ。
 ただその存在だけを持って―――“くも”を威圧する。

「Alle timbre ?nderungen am Denken(全ての音色が想いに変わる)」

 自分は、完全に傍観者となって居た。
 少女が自分の知覚に現れてからというもの、状況は一変している。
 “くも”は確実に少女を脅威として認識している。それこそ、先ほどまで俺が“くも”を恐れて居たのと同じ様に。
 そして、少女は―――確実に―――“くも”の脅威として其処にある。
 
「Weil er ich anstarrt, singe ich vermutlich Lied wegen dessen(彼が私を見つめているから、私は彼のために歌を歌おう)」

 少女が静かに瞳を閉じた。
 少女の腕は依然と“くも”を指し示したまま動かず、その殲滅の意思を確かに伝えている。
 対する“くも”はその腕をただ睨みつけるだけ。
 まるで、動きたくとも動けない―――“くも”が“くもの糸”に縛られたかのように、その場に縛り付けられている。

「Die Nacht des wei?en Monats kommt(白い月の夜が来る)」

 空へと昇っていた風が、最初と同じ様に止まる。
 全てが静止したかのような錯覚を覚えるほどの―――刹那の静寂が世界を満たす。
 少女が―――ゆっくりと瞳を開けて“くも”を睨みつける。

「Folglich singe ich Lied(だから私は歌を歌う)」

 瞬間、弾かれるように少女へと飛び掛った“くも”すらも飲み込んで。

―――白い月のような極光が炸裂した。

 一瞬で膨大な熱量に膨れ上がった大気が辺りに吹き荒れる。
 すでに音と認知することすら不可能な轟音が辺りを震わせる。
 目の前で引き起こされた現実を超える不可思議の現象。超現実の御技。
 それは、まるで。

―――女神の歌声によって導かれた奇跡のような輝きだった。
 
 荒れ狂う大気も、炸裂した轟音も、全てが全て蒼天へと逃げ出し。
 ようやく、また光に灼かれた瞳が元に戻った時。
 視界には依然として威風堂々、少女が瓦礫の上に立ち誇っていた。
 心なしか。
 満足気な微笑と共に。


 

 第一話 完





 

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