荒廃の使者〜英雄編〜

月の砂漠を彷徨いて−中編・ウルド−




 『見せてくれ。俺の記憶を・・・』




 そう念じると、彼の精神は“過去”へ向かった。
 ドラゴンの・・・いや、彼はもうドラゴンの姿ではなく、人
の姿になっていたが。彼の“過去”・・・


 彼が産まれた時までしか遡る事はできない。彼は半竜人の例
に漏れず、卵から産まれた。

 卵から産まれた彼のヴィジョン・・・

 そしてすくすくと育ち・・・

 炎の息を吹けるようになったお祝いのパーティー・・・

 完竜形になれて嬉かった時・・・

 マナの母親、トティルとの出会い・・・

 従軍時代の苦しい思い出・・・

 マナの両親の死と、彼女をひきとったいきさつ・・・

 そして慣れない子育て・・・

 共に旅をしていられた時・・・

 そして。

 召喚転送。

 彼の“宿縁”の近くに召喚され、彼の濃密度な魔導力で幻糸
が暴走し、魂まで消滅させてしまった事・・・

 絶対奏甲にケンカをふっかけてウサ晴らししていたころ・・
・(ちなみに100戦100勝0敗。華色奏甲だろうが十機ま
とめてこようが関係ない)

 この城に住み着き、アークロード(幻糸の道)システムの開
発に着手したいきさつ・・・

 この城で奏甲狩りをしてアストラルエナジーを集めた事・・
・

 終いには英雄に“死神の耳飾”をつけて蟲の魂までも集めだ
した事・・・

 それでも不足で、近くの町を襲撃してまで魂を集めた・・・

 ・・・だが。もうそれも終わり。

 彼はすでに不安定起動量にまで達するアストラル体を集めて
いた。だが、確実性を求めるならばあと3は欲しい。そのため
には・・・

 (さっき来たヤツ・・・怨霊に纏わり憑かれていた・・・)

 アストラルエナジーは死者の念。より強い思念であればある
ほど指数も高い。つまり・・・




 朝。

 目の前には、昨日の奏甲。

 「さぁて。話をしようか」

 彼は人間形になると、すっくと立ち上がった。

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あとがき

うぉあ!

五分で書きあがった(マテ

これは改心の出来(どこがさ)


次回は“中編−ヴェルダンディー−”

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