無題迷話
第弐章 伍話(下)
琥露鬼はそこにじっと座って、琉都の顔を覗き込んでいた。端整と言うには遠いが、かと言って醜いと言う言葉を当てはめるにも程遠い、その顔を。時々苦しそうに表情が歪む他は、とても幸せそうな寝顔であった。
素朴な造りの宿の、あたたかな木の部屋、木の椅子、木の寝台。それらは地下街に住んでいた琥露鬼には、珍しく写るばかりである。訳も無く興奮してしまう自分を抑えつつ、琥露鬼はじっと琉都を見ていた。
木で造られた扉が開き、眼鏡の女性が部屋に入ってくる。琥露鬼が見ていた限りでは奏甲技師らしいが、決して地下街に残された技術に追いついているとは言い難い。しかし細やかな心配りや、大胆な決断能力は、地下街の技術者よりも遥かに上だ。
手には温めたミルクの入った皿。琥露鬼はそれが無性に欲しくなり、思わずねだってしまった。
ふふ、と微笑み、
ルィニア 「そんなに慌てなくても。ほら黒猫ちゃん、たくさん飲みなよ。」
と目の前にそれを置いてくれる。
琥露鬼は「黒猫ちゃん」と呼ばれた事にも気付かず、それに自分のざらざらした舌を突っ込んで、人間に近い姿をしている時に持ち合わせるマナーなど忘れ、ピチャピチャと音を立てて飲み始めた。これは獣形の最大の利点であり、汚点でもあろうか。
ふわり、とヒゲが風を読む。琥露鬼はミルクまみれになった口周りの毛を舐めとると、猫相応の三歩で琉都の胸上にふわりと飛び乗った。
眼鏡の女性──ルィニアはその黒猫の動きを目で追い、そうして琉都が目を開けた事に気付く。介抱する時に外した篭手を、病み上がりにしては素早い動きで着け、そうしてから胸上の黒猫をしげしげと見ていた。
ルィニア 「…目が覚めたかい?」
その声でやっとルィニアの存在に気付いたのか、猫が落ちないよう気をつけながら琉都は肯いた。そしておもむろに猫の喉を撫で始める。
琉都 「なんとも言えない寝覚めだな…。現世じゃあ黒猫が目の前を横切るのは不吉の予兆だとか。 ……クゥは?」
喉を撫でられているにも関わらず、『現世じゃあ─』辺りで黒猫は少しだけ唸った。
黒猫?(誰が不吉の予兆? むしろ幸運の前兆よ?)
そう琉都だけが耳ではない所で聞き取ったが、あえて無視する方向であった。声質からそれが琥露鬼である事にも気付いている。
ルィニア 「隣の部屋でアメルダが介抱してるよ。 全く、何で勝手に離れたんだい?」
さて?と琉都は適当に答え、黒猫──琥露鬼の耳の毛を軽く触る。普通の猫はこういう事を嫌うのだが、琥露鬼は全くそこから動かない。
ルィニア 「『さて?』じゃないよ。お陰でずいぶんと整備の手間が増えたんだからね。」
琉都 「…すまない。」
ルィニア 「いいんだよ、わかってくれりゃあ。」
琉都 「それと、身体が何か重い。もう少し寝ててもいいか?」
重いのは決して琥露鬼──いや、猫の姿の時は琥露か──のせいではない。念のために言っておくと、今の彼女は一匹の黒猫の姿をしている。
ルィニア 「別に構わないさね。むしろその方がいいんじゃないかい?」
そう言うとルィニアは、静かに部屋の外へ出て行こうとした。しかし琉都に呼び止められ、扉を開けた所で一度立ち止まる。
琉都 「琥露鬼──いや、琥露、クゥの方に行ってやってくれ。」
琥露「ナーォ。」
頷き、琥露は、長い尻尾をピンと立ててルィニアの足下に並ぶ。そして『早く行きましょ』と言わんばかりにルィニアの眼鏡を見つめた。
ルィニア 「へぇ…。こんな賢い猫、どこで懐かせたんだい?」
琉都 「懐かれたんだ。 それにそいつはただの猫だよ。」
ため息交じりに言うと、琉都は布団を深く被った。
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猫生活もそれなりに大変らしい。琉都は目が覚めてから夕食までの数時間で、何度もそう思った。
琥露は何かしようとしても、大抵の物が人間仕様なので、必ず人間形に戻って(この時は琥露鬼と呼ぶべきだそうだ)からしか成功させられない。しかしその反面、琥露は時々は撫でても貰っていた──これはこれで大変そうだが。
そして極め付けは、味気の無い食事。
煮こぼした肉と野菜、そして少しのパンとミルク。これが琥露の献立の全てであった。無論全て無塩無糖無刺激の、完全犬猫食仕様である。
琉都 「…自分で作っておいてやりながら、何か後味が悪いな…」
食事中にもかかわらず琥露を見て、思わず呟いてしまう。動物食は宿のサービスには無いため、これは些少なりと知識のある琉都が、材料だけ貰って短時間で作り上げたのだ。
琥露(そう? これはこれでおいしかったわよ。今度食べてみたら?)
そう言ってわざとらしく顔を洗い始める琥露。
ソフィア 「あ、猫が顔洗ってる。 雨降るかな?」
ルィニア 「どうだろうねぇ? ワタシは雨降らないで欲しいけど。」
琉都は苦笑しつつも、再び自分の食事を平らげにかかった。
一行が半分ほど料理を平らげた頃、琥露が不意に外を見てニャーニャー鳴き始めた。
アルゼ 「煩いな……。」
苛立った表情でアルゼは琥露を睨み付けたが、琥露は全くそんな事は気にせずに鳴きたて続ける。アメルダが牽制しなければ、今にもマグナムで琥露の頭を吹き飛ばしかねなかっただろう。
アメルダ 「そんなに猫が嫌いなら、食事前に言えばいいじゃないの。」
アルゼ 「いや…。 猫は好きだ、けど、黒猫だけはどうもな。」
恐らく『黒猫の使い魔』に痛い目を見た過去でもあるのだろう。そもそもがそう言う技能職についていたのだから。
琥露(ねえ、聞いてる!? 大きな危険が近付いてるわよ!)
猫の本能で感じたままにそう警告を発しても、琉都もクゥリスも全く反応しない。いや、できない。しかしテーブルの陰で得物に手を添えるくらいはしていたかもしれない。
琥露はいっその事この場に居る全員に精神感応波を送ろうかとも考えたが、やめた。説明にかなり時間をとられそうだし、それに何よりも疲れる上に面倒くさいからだ。これも猫的思考と言えばそうなのかもしれない。
仕方なく琥露は、古代エジプトの猫神のように悠々と、窓辺に座り外を見て時を待つ事にした。気付いてもらえないなら気付かせるまで、と言う手もあったには違いないだろうが。
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その街の近く、小高い岩山の頂上。
その気配を本体が感じ、端末であるクリムゾンは嫌悪感に身を震わせた。
今はエヴィルがクリムゾンを支配し、そしてクリムゾンがコバルト──歌姫に指示を出す、そう言った形である。名前は全てエヴィルが与えた物であり、その名前を持っている間は、クリムゾンもコバルトもエヴィルから逃れられない。
ケケケ、と端末は笑った。
クリムゾン「ククク…今夜は満月。負のチカラの最高潮だぜぃ…。 うんと派手なヤツで行くぞ、コバルト!」
コバルトは静かに頷くと、“漆黒暗夜狂想曲”と呼ばれる織歌を発動にかかった。その音色は聴くに耐え難く、そして筆舌に尽くせないほど全てが狂乱している──文字通り歌に関する全てが。『騒々しい奇声、織歌ヴァージョン』とでも言ってもその一割は伝わるかどうか。
その騒々しい奇声で、エヴィルは戦闘稼動を始めた。
エヴィル・クロイツの特徴とも言える蝙蝠型の羽が星を覆い隠し、手に持った邪歪アークブレードはハイリガー・クロイツの搭乗者の居る宿を、真っ直ぐに指した。
それは、ハイリガー・クロイツを怨む、エヴィル・クロイツの、偽り無い“殺気”でもあった。
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ずしりと音を立てて、空気が重圧に変わったかのようなプレッシャーを、琉都は感じた。そして直感的に、それがエヴィルのせいである事にも気付く。
琥露(やっと気付いた? 早く聖失機に乗った方がいいわよ。)
そう急かされ、琉都は席を立った。
アルゼ 「どうした?」
琉都 「いや、何。眠いからちょっと夜風に当たろうかと思って。」
そう言いそのまま立ち去ろうとしたが、琥露がその足下に絡むように体を摺り付ける。仕方無しに琥露を抱き上げ、琉都そのまま建物を出ようとした。
アルゼ 「嫌な夜風に当たりに行くんだな。 血の臭いと邪気がふんだんに含まれてるぜ?」
そう言うとアルゼも立ち上がった。リボルヴァーの装填を確認し、琉都の隣に立つ。
琉都 「そうか…気がつかなかった。」
ソフィア 「殺気も含まれてるよ。それも、尋常じゃないくらい。」
と、ソフィアも立ち上がった。椅子の傍に立てかけてあったスナイパーライフルを取り、その外見に似合わない筋力でそれの銃身を肩に担ぐ。
ここまで来て、琉都はある事に気付いた。
琉都 「ちょっと待った。 まさか二人とも、一緒に来るんじゃないよな?」
アルゼ 「そのまさかだ。」
ソフィア 「1人じゃ不安だし。」
ナーォ、と琉都の腕の中の琥露が一声。
琉都 「いや、来るな。足手まといになる。 アルゼは前回のでわかってるだろ?」
前回?とアルゼは素で首を傾げる。
アルゼ 「何の事だ?」
琉都 「エヴィル・クロイツの時のだ。」
アルゼ 「あぁ、あのトンデモ機体な。 確かに攻撃は通用しなかった。」
琉都 「ダメージリソースになり得ないなら、来ない方が賢明だろう。 俺とクゥだけでどうにかしなけりゃ…。」
え゙!?とフォークを取り落とすクゥリス。眼前にはクリームたっぷりのシフォンケーキが置かれていた。
琥露は琉都の手から飛び降り、そのシフォンケーキに向かう。
クゥリス 「…もうちょっと後じゃ駄目ですか?」
琉都 「あっちが攻撃してくるまでに、ハイリガーを起動したいんだが。」
クゥリス 「わかりました…。って、あぁっ!!」
いきなり悲壮な叫び声を上げる。
それもそうだろう、琥露が鼻面からケーキのクリームに突入し、猫らしく食べ始めていたからだ。流石の琥露鬼も獣形の時にはマナーもへったくれも無いらしい。
アルゼ 「やっぱり黒猫はろくな事になりゃしないぜ…。」
そう呟いたのを聞きつけたのか、琥露はクリームから顔を引っこ抜き、申し訳なさそうに顔を洗い始める。ヒゲもほとんどクリームが覆い隠してしまっているので、両前足を使ってまで洗っている始末だが。
琥露(…いいじゃないの、クリームくらい。後でまた注文すれば。)
そういう問題じゃない、とクゥリスは声を大にして反論したかった。しかし猫に向かってそんな事を言っても仕方が無いと、恨めし気な視線を琥露に向けるのが精一杯であった。
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それじゃあ、と琥露鬼は少しだけ満足げに言った。
と言うのも、今彼女は人間形であり、なおかつ琉都と一つコクピットに収まっているからである。クゥリスは「危ないかもしれないから」と言う理由で、アルゼとソフィアがしっかりと防衛体制を敷いた工房の地下室に、他の二人と一緒に隠れて──いや隠されている。
琥露鬼 「早く邪失機をカタしちゃいましょ。しっかりとサポートするわ。」
ね?と琉都の頭の上に組んだ腕を乗せる。ついでに何か暖かく柔らかい物も乗ったように琉都は思った。念のためだが言っておくと、琥露鬼はルィニアと良い勝負のプロポーションも持ち主である──琥露の時はただの可愛い黒猫だ。
琉都 「…クゥの方が良かった…。」
頭上の柔らかい感覚に赤面しつつ呟く琉都。
琥露鬼 「何か言ったかしら?」
琉都 「イエ何も。」
そう、と言い琥露鬼は宙に浮いているホロディスプレイウィンドゥ群の中から、幻糸反応ウィンドゥと他幾つかを手元に引き寄せた。ホロディスプレイウィンドゥの全てはルィニアがかなり前に勝手に封印解除した物だが、琉都は今まで使った事どころか呼び出した事がほとんど無かった。ルィニアが時々システムウィンドウを呼び出している以外は、ほとんど使われていないも同然だったわけである。
琥露鬼 「北を12時とするわよ。 2時半の方角800ザイルに敵機を補足したわ。」
琉都 「クゥ! 行くぞッ!」
クゥリス『はいっ!』
細々と織られていた戦闘稼動用の織歌が、一気に太く力強くなりハイリガー・クロイツの幻糸炉が咆哮をあげた。ハイリガー・クロイツの目が鋭い眼光を放ち、全身の幻糸が朧に発光しはじめる。
琥露鬼 「敵機もこちらを補足したわよ!」
琉都 「好都合だ、戦闘で街に影響が出ないような場所に移動する!」
3時半の方角に向けて、琉都はハイリガー・クロイツを走らせた。エヴィル・クロイツもハイリガー・クロイツに倣い、ほぼ平行に空中で機体を滑らせる。
クゥリス『“ラップ・ザ・トラップ”いきますか?』
琉都 「頼む!」
早速、速度上昇のための織歌である“ラップ・ザ・トラップ”が織られる。それに呼応して、ハイリガー・クロイツの足腰周りの出力が上昇。それが二つのステータスモニタに反映される。
琥露鬼 「こんなにも!? 凄いわ!!」
琉都 「制動がきついけどな。 そおれぇっ!」
がりりと幻糸鋼の足が地面を引っ掻き、大きな爪痕を残してやっと止まった。エヴィル・クロイツはそれとは対照的に、ふわりと着地をする。
2機は、もはや問答無用、と言った風に互いに刀剣を抜き放った。そして間髪おかず大地を蹴り、弾丸の如く互いにぶつかりあわんとする。
クリムゾン『ヒャァ〜ッハッハァ!』
琉都 「ウォォォァァァァ!」
ッギャィィン!!
刀剣の石突同士がぶつかり、振動で刀身が音を立てる。闘氣も殺気も全く込められていない激突だったが、その衝撃はその真下にに転がっていた小岩を粉々にしてしまった。
しばらく石突で押し合いをしていたが、琉都は自ら間を置くために後ろに跳び退った。
琉都 「名を名乗れェ!」
びしり、とハイリガー・クロイツがその手に持ったカタナの切先を、エヴィル・クロイツの方へと向けた。
クリムゾン『我が名はクリムゾン! 破壊の精神の権化也!』
とエヴィル・クロイツの端末は、高らかにそれを名乗った。エヴィル・クロイツは邪歪アークブレードを天高く突き上げ、それを地面へと振り下ろす。
琉都 「その名前は二人めだッ!!」
クリムゾン『それは我の前の、出来損ないの事だろう? 我は違うぞ。』
クゥリス『どういう事ですか…?』
琉都 「どういう意味だ……?」
それは、とハイリガー・クロイツのデータベースをホロキーボードで操作し、琥露鬼が物知り顔に答える。データベース機能までもが付与されていたのであったが、これも使っていなかっただけ。
琥露鬼 「代々のエヴィル・クロイツの機奏英雄が、その名前を持った人格を機体のせいで上書きされるかららしいの。簡単に言えば無理矢理二重人格にされるようなものね。」
クリムゾン『正解だ、女ァ。 そして我はただの末端に過ぎない! 闇と混沌と幻糸の、破壊の意思のなァ!!』
相当にヤバい。思わずそのケーブル通信会話を聞いていた者達──と言ってもローカルラインしか開いていないので、その場に居る琉都と琥露鬼とクリムゾンとコバルト、そしてケーブル念話の繋がっているクゥリスだけだが、クリムゾンを除く会話を聞いていた者達はそう思ってしまった。
時々宇宙の意思だの電波だのと言う人も居るが、それと同じ類の発言をしているのだ。
琉都 「…正気じゃないな。毎度の事だが。」
クゥリス『そうですね…。』
琥露鬼 「それはそうよ。 だって今のクリムゾンは汚染第二段階、エヴィル・クロイツの意思を増幅するための端末なんだもの。」
クリムゾン『良く知ってるなァ、女ァ? ハイリガーの野郎、これで話は終わりだァッ!』
そう言うが早いか、エヴィル・クロイツは邪歪アークブレードを振りかざした。そしてハイリガー・クロイツがカタナで応戦するよりも早く、その右肩口をざっくりと斬り裂く。
クゥリスの悲鳴の念波が、琉都の脳髄に洪水のように流れ込んだ。ただ『痛い』『苦しい』『熱い』と。
それらの念波は琉都のアーカイア以前、三願に居た頃の事を思い出させるには十分だった。「痛い」、「苦しい」、「熱い」。
恐ろしいほどの憎悪が心の奥底で沸騰し始めるのに、琉都はどこか冷ややかな意識でしっかりと気付いていた。そしてそれが幼い頃、目の前で知人を、友人を、家族を殺された時の、そのままの憎悪である事にも。後はこれに点火するだけで大爆発する、そんな感じの感情を琉都は押し殺した。
琥露鬼 「左肩部損傷中。あんまり左腕は使わない方がいいわよ。」
琉都 「…了解。 攻撃を開始する。」
まるで機械のようにそう言い、琉都はハイリガーを奏でた。正確に譜面をなぞっていくだけの時の「連続した音」のように、機械的にハイリガー・クロイツもカタナを構える。感情を押し殺しすぎたが故の、この行動である。
ハイリガー・クロイツはカタナを構え、そして正確に機械的に、流れる動きでエヴィル・クロイツに斬りかかった。しかしあっさりと避けられてしまう。
クリムゾン『ヒャーッハッハッハァ! そんな動きで勝てると思うかァ! 笑止、笑止!』
琉都 「……。」
クゥリス『琉都さん……?』
エヴィル・クロイツの邪歪アークブレードが閃き、2撃目の斬創を背中に刻み込むために食らい付かんとした。
しかしそれは、非人間的な動きをしたハイリガー・クロイツのカタナによって、あっさりと防がれてしまう。その動きは、今の琉都が激憤を抑えるためにどれだけ機械に徹しているか、それを物語って余るものがあった。
そしてその刃には、そこだけに留めるにはあまりに多すぎる、氣が乗っていた。
チリィィ…ィィン
清んだ金属音が響いた。
琉都 「…共鳴…。」
チリィィ…ィィン チリィィ…ィィン
音がだんだん大きくなるにつれ、それが二機から発せられるものとはっきりと解る。
クゥリス『………。』
チリィィィィン チリィィィィン
そして音と共に、その機体を取り巻く防御幻糸結界──クロイツフィールドが、先ほどとは違った色へと変わっていく。白が、赤へと。
琥露鬼 「凄い…凄すぎるわ!」
キィィィィン キィィィィン
キィィィィン!
ギィィィィン!!
琉都 「赤…炎…血…銃声…。 !」
色が全ての憎悪を結びつけ、憤怒へと変えてしまう。この時琉都は、赤いクロイツフィールドに、あの時の三願を見ていた。生き地獄以上の、地獄となった、三眼の者達の集落を。
渦巻く憎悪はケーブルを伝い、クゥリスにも届くほどであった。
死を見る体験を再び思い出した。
琉都 「ぅぉぉおおおおおおおおおああああああ!!!」
獣のように、天に向かい吠える。
ただ身を動かすのは、激しい憤怒と、恐ろしい憎悪。
そこにいたのは、『聖』には程遠い、1匹の獣と成り果てそうな、1人の男。心の傷を癒やすために丸くなりそこを舐めていたが、傷を突つかれ怒りに身を任せた手負いの獣。
琥露鬼 「…精神波の逆流が──失機の精神操作が無くなった!!?」
琉都 「ぉおををあぁあぁおをあぁぁぁぁぁ!!! 開ッ、眼ッ!!!」
ガッ!と三眼が射抜く眼光を放ち、琉都は心身を限界超の世界へと投げ込んだ。
そこでは吹く風も音の震えさえも、全てが時を奪われる。自分自身ですら止まってしまうほどの世界で、琉都にとっては長い闘いを始めた。一分間しか続かない世界で。
クリムゾン『ヒ、ヒャハ、ヒャハハハハハッ! 吠えようと我には勝てぬ! 理解する前に死ねェッ!!』
エヴィル・クロイツが邪歪アークブレードを振りかぶり、振り下ろし始めた。その手首にカタナの刃を、剣に鞘を当てようと狙い、琉都はハイリガー・クロイツを奏でる。
ハイリガー・クロイツは奏でられ、怒りを憎悪を反映した音で、エヴィル・クロイツを迎え撃ちに動いた。
ギャインッ!!
どさり、と黒い手首が地面に落ちる。邪歪アークブレードは回転しながらハイリガー・クロイツの後ろに落ち、刃を地面に突き立ててやっと回転を止めた。しかし琉都は追撃の手を緩めず、斬り上げた形となっていたカタナの刃を半回転させて斬り落とす。
エヴィル・クロイツはそれを避けきれず、手首の無い右二の腕に大きな斬傷を創られてしまった。そして少しの間だけ静寂があり、何か赤黒い液体がその傷口から噴水のように吹き出る。
琉都 「……血……赤……! グオォォォォヲヲォォォ!!」
クゥリス『っ!? 琉都さぁんっ!!』
ほとんど悲鳴に近い念話がどういう効果をもたらしたか、それは全くわからない。琉都は肉食獣のように一声咆え、そしてハイリガー・クロイツを走らせた。カタナをうっちゃり爪を構え、人間の理性以上に闘争本能に奏でられる形で、エヴィル・クロイツに襲いかかるハイリガー・クロイツ。
虎が熊を狩るが如く飛び掛かり、そしてその爪を以ってして、鈍重な熊──エヴィル・クロイツの幻糸鋼鉄の肉を斬り裂く。紅い血潮が吹き上がり、それが虎──ハイリガー・クロイツを駆る琉都を更に興奮させた。
琉都 「ゥヲォォァァアァアアアァアァァァ!!!」
めきめきと全身の筋肉が緊張し、血管が皮膚に浮かび上がる。額などは既に血管が圧に耐えられず、血が顔面を朱に染めていた。
琥露鬼 「まるで…鬼…だわ。私も鬼だけど…。」
呆然とその狩猟に魅入ってしまう琥露鬼。その手元に浮かぶホロディスプレイウィンドゥには、恐るべき事象が映し出されている事にも全く気付かない。
ハイリガー・クロイツは両肩のFジェネレータを取り外すと、それを天高く掲げ一声咆えた──それは琉都の声なのだったのだが、あたかもハイリガー・クロイツが咆えたかのように見えたのだ。
赤い光が以前とは違う形を象り始める。腕には程遠い形を。
クリムゾン『ヒ…ヒィィィッ!! た、頼む、見逃してくれぇぇっ!!』
それに恐れをなしたかクリムゾンは命乞いをするが、それもまた肉食獣の殺戮本能を引き立てる香辛料に過ぎなかった。
その本能が赤光に象らせたのは、巨大な肉食獣の牙。それが奏甲には無いはずの口を形作っている。
見逃してくれ、頼む、と懇願されるにも関わらず、ハイリガー・クロイツはエヴィル・クロイツにその牙を突き立てた。奏甲には無いはずの血が狩猟者の顔を赤く濡らし、さらに狩猟者の本能を掻き立てる。
琥露鬼 「本当にこれで…よかったのかしら? 確かにこれは失機の──」
琉都 「グォォァァァァァ!!!」
勝利の喜びに咆える獣。
琥露鬼の目の前にいるのは、紛れも無い1匹の肉食獣である。理性の欠片すらもが消え去りかけた、元琉都だった存在。
琥露鬼 「──だけど、ここまでする必要があるの…? 一個人を消し去ってまで…。」
獣はついに、獲物のコクピットにまで牙を突き立てようとした。最大級の恐怖に、最大級の悲鳴をあげるクリムゾン。
しかしその牙は、獲物の肉体に刺さる事はなかった。それどころか消失し、そしてハイリガー・クロイツも力を失ったように倒れ込んだ。そしてコクピットハッチが開き、琥露鬼がそこから降りる。
クリムゾン『何の真似だ?』
先ほどまで命乞いをしていた事など嘘であったかのように、平然とした口調で訊ねるクリムゾン。琥露鬼はその本体であるエヴィル・クロイツの目を睨みつけた。
琥露鬼 「早く逃げなさい! 今このまま闘えば、あなた死ぬわよ!」
クリムゾン『死など恐れぬ! 我はクリムゾン、破壊の意思の末端!』
琥露鬼 「嘘おっしゃい!!」
ガッ、と氣がクリムゾンを叩き付ける。それだけの氣を琥露鬼が放ったのだ。
クリムゾン『…ック…。 まさか生身で闘うとは言い出さないだろうなァ!』
琥露鬼 「言わないわよ。 それより、クリムゾン。 命が惜しかったら早く逃げなさい。 今のハイリガー・クロイツの奏者は、正気を失っているわ。」
しばしの沈黙。
クリムゾン『…だから何だ?』
琥露鬼 「正気なら、さすがに躊躇うわ。 けど今なら楽にあなたを──エヴィル・クロイツを食い尽くすわよ。」
怯えたのか、エヴィル・クロイツがその場から少しあとじさりをした。したり顔で琥露鬼は更に続けて言う。
琥露鬼 「いつ同じ状態に目覚めるかもしれないから、しばらくは襲ってこない方が良いわよ。 食われたくないならね!」
クリムゾン『ッ……! わ、わかった。我は暫く退こう。』
そう言い残し、エヴィル・クロイツは大空へと舞い上がった。そして一度振り返ってから、満月の方角へと飛び去って行った。
琥露鬼はハイリガー・クロイツのコクピットに戻り、ホロキィボードを打って救難信号を発信させてから、転変して黒猫の姿──琥露になった。
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苦悶の表情を浮かべながら、琉都は浅く長い悪夢を伴う眠りについていた。その事は宿縁と言う斬っても切れない糸で繋がっているクゥリスには、自分が同じ体験をした事が無いものの己が事のようにわかる。だが他の者達はそれを表情から読み取る外無かった。
精神と肉体が限界を超えてしまう、ひたいの紅い第三眼の能力。それの疲れだけならば、泥沼のような眠りを貪るだけで終わる、はずなのだが。
琉都は、見ている側までもが辛くなるような表情を浮かべ、浅く眠っている。現にアメルダが時々子守り歌を紡がなければ、うなされてしまうほどに。クゥリスも枕元で、常に囁くような声でそれとは違う子守り歌を紡いでいるが、それでも眠りを少し引き伸ばす程度しか意味が無いようであった。
アルゼ 「…琉都の奴、一体どうしたんだろうな。」
こういった時に完全に部外者となってしまう3人の内、1人が呟くように他の2人に訊ねる。
しかし1人はその質問が無かったかのように無視し、1人は慌てて視線を外した。
アルゼ 「ただ寝てるだけだといいんだけどな。」
ルィニア 「…どういう意味だい?」
思わずそう訊ねてしまう。言ってしまってから、しまった、と少し表情を歪めた。
アルゼ 「文字通り。あいつ、今は夢魔が憑き易い状態だぜ。」
ソフィア 「アルゼ。 もしそうでも、関係無いんじゃないの?」
さくり、と冷たい声で言い放つソフィア。それを聞いたアルゼは思わず立ち上がり、少し声を荒げた。
アルゼ 「関係無い、だ? 冗談じゃないぜ! 半ば強引とは言え、あいつぁ『仲間』だぜ!」
しかし感情的になった者は、大抵の場合に負けるものだ。ソフィアはその点冷静だった。
ソフィア 「どういう意味で仲間って言ったの?」
アルゼ 「信頼しあえると言う意味で、だ。 こっちでは数少ない、な。」
ソフィア 「でもさ。わたしたちって結局、他人なんだよ。 戦場でも仲間なんて言ってられるの?」
そう言って、ダーツの矢を一本投げる。とすりとダーツの矢が、宿の壁に打ち付けられた的の中心を捕えた。
ルィニアは全く口をはさむ余地が無い。ただこの成り行きを見守るのみである。
アルゼ 「言うさ。 オレは正規の軍人じゃないからな、そう言う甘っちょろい事だって言うぜ。」
ソフィア 「えっと…わたしも軍人じゃないんだけど。」
アルゼ 「そんな事はどうでもいい。」
ソフィア 「ん。 でも軍以上にきつい所に居たとは思ってる。」
二本めのダーツを投げる。見事に的の中心、さきほどの矢の下に突き刺さった。
アルゼ 「オレだってそうさ。それに場数も踏んでる。」
ソフィア 「でも、それって1対1が前提なんだよね?」
アルゼ 「………まぁ、な。」
ふーん、と鼻を鳴らし、ソフィアはもう一本ダーツを投げた。ただし、後ろにある的めがけて。
矢は一見不規則な回転をしながら飛び、そして見事に的の中心を捕えた。
ルィニアはそれを見届け、そして静かにその部屋を後にする。ソフィアには食事を準備しに行ったのだとわかったが、今回ばかりはいつものように後をつけまわす事はしなかった。なぜならばここに居た堪れなくなって出て行ったのだし、それに何より今はソフィアの方もそんな気分では無かったからだった。
アルゼは言い争いが一段落したと見るや、自分が座っていた椅子に腰掛け、そしてリボルヴァーを磨き始めた。
琥露はふと気を抜けば眠くなる歌声を聞きつつ、琉都の渋面を猫らしくない辛抱強さでじっと見守っていた。眠くなる以上にその布団に潜り込みたくなる誘惑と闘い続けるのは、猫の本能が勝ってしまう獣形の時にはかなり大変である。しかし彼女はそれをやって退けていた。
その横では、クゥリスが囁くように歌い続けていた。曲目は“ハルフェア・ララバイ”。眠りに付かせる織歌ではないため、眠りが覚めそうになる度に“忘却のメドレー”と呼ばれている織歌を上掛けしてもらっているのだったが。
しかしその歌声ですら、時々だが消え入りそうになっている。琥露はその事に気付いてはいたが、何故そうなったかは全くわからなかった。
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真夜中を過ぎた頃から、琥露鬼はその姿で琉都の看護を手伝っていた。クゥリスが子守り歌を紡いでいるのも看護には違いない、だが歌術的なもののみでは人の肉体は回復しないものだ。
破れた血管がもう再生しているのは子守り歌とは別の織歌が先にかかっていたからである。この手法──歌術の短順行使は主に白兵戦で疲弊した騎士に使うものだったらしいが、使える以上は使わない手は無いのであろう。
夜明け前になってやっと織歌が終わった。
お疲れ様、と琥露鬼はクゥリスの右肩に手を乗せた。そこは丁度、ハイリガー・クロイツが邪歪アークブレードで斬り裂かれたのと、ほぼ同じ場所にあたっている。
クゥリス 「っ…っ。」
痛みに顔をしかめるクゥリス。
琥露鬼 「? どうかしたの?」
そう言って少ししゃがみこみ顔を覗き込むころには、まだ少し痛そうではあったものの、ほとんどいつもの通り(琥露鬼はまだ会って1日も経っていないが)であった。
しかし琥露鬼は、何も言わずにクゥリスの服の襟元を掴む。そして問答無用に、剥いた。
剥かれたクゥリスは一瞬叫びそうになったが、しかし目の前で眠っている人がいると言う事もあって、鳴き声とも叫び声ともわからない短い声を出しただけで留める。
琥露鬼は自分で剥いておきながら、見なければよかったと後悔した。大きさこそ違うが、比率を合わせれば、ハイリガー・クロイツの斬傷と同じ形の、それこそ肩から胸部へかけて走る赤黒いアザ。触れば今にも血を吹き出しそうなそれが、クゥリスの身体についていたのである。
クゥリス 「…んには…。」
琥露鬼 「え?」
ほとんど蚊の泣くような声で言われても、聞き取る事はできない。いくら猫の耳を持っていても、その性能は全く同じと言う訳には行かないようである。琥露鬼に聞き返され、クゥリスは先ほどより少々大きな声で、しかしはっきりと言った。
クゥリス 「琉都さんには…黙っててください。」
琥露鬼 「こんなに酷いのに? 何故。」
クゥリス 「こんなに酷いから…。私が勝手にやった事でこんなになって、それで迷惑かけるなんて…。」
一体何を、と顔をしかめるが、琥露鬼はまず湿布をあてるべきと判断した。幸いにも医療用具を一式持って来ていた部屋のため、湿布はすぐに用意できる。
琥露鬼 「…クゥリスちゃん。あなた、一体何をどうしたら、こうなっちゃうの?」
湿布を貼り、包帯で目立たない程度に固定する。
クゥリス 「“偉大なる精霊の葬送曲”……です。」
少々しみたのか、しばらく湿布を押さえて動かない。
琥露鬼 「歌術、なのね?」
さきほど剥いだ服を着せ、服の上から湿布が見えていないか確認する。
クゥリス 「えぇ。早い話が、しばらく奏甲の傷を身代りできるようになる。そう言う効果の。」
服を着せてもらい、やっと落ち着いたように見えた。
琥露鬼 「何でそんな危険な…! 馬鹿な真似はよしなさい、あなたの体は一つしか。」
クゥリス 「琉都さんも1人です。私は、その1人が、私より大事なんです。」
琥露鬼はしばらく黙らざるを得なかった。今までに考えた事も無い、自己を犠牲にしてまで大切にしたい存在。こればかりは一度得なくてはわからないものであろう。
しかし琥露鬼はライカンスロープ──獣化能力種族である。遺伝子的な意味では純粋な人間では無い。それを得たとしても理解できるかどうかは、大いに疑問視してしまわなければならない。
しばしの後、言葉を練り出すように紡ぐ。
琥露鬼 「でも……ね。もしもよ。あなたが死んでしまったら、琉都クンはどう思うかしら?」
今度はクゥリスが黙る番だった。
自分を犠牲にすれば、死のリスクはつきまとう。その事を忘れてしまいたいがためか、クゥリスはその事を考えすらしていなかっただろう。
しかし琥露鬼はその事実を突きつけた。だから、クゥリスは思うままに言った。
クゥリス 「きっと、悲しむ……。いえ、そう思いたいです。」
自分がいなくなって、琉都が悲しむ保証は無い。今まででも案外「まぁ大丈夫だろ」と、大抵の事では動じなかった人なのだから。同じように「まぁ大丈夫だろ」と流される可能性も大きい。
琥露鬼 「わたしなら、きっとそうね。他の誰が居なくなったよりも、悲しむわ。」
クゥリス 「なんでそう言えるんですか?」
琥露鬼 「猫だからよ。私も、彼も。 私は本当に半分猫だけど、彼は心が猫みたいなのよ。」
クゥリス 「……。」
琥露鬼 「素直じゃない、ちょっと曲がった所とかね。 猫だから、自分のモノが無くなった時、物凄いパニックになるの。それがちょっとしたモノでもね。」
クゥリス 「じゃあ、私ってモノとして見──」
琥露鬼 「違うわよ。 でも……あぁ、もぅ! うまく言えないけど、大丈夫なのよ!」
逆ギレ。
クゥリス 「そう、なんですか?」
琥露鬼 「さぁ? 私よりも、あなたの方がよく知ってるはずよ。なんたって琉都クンの『宿縁』なんだから。」
クゥリス 「……そう…ですよね。」
ふと、琥露鬼は何かを思いついたように、にゃっと笑みを浮かべた。それは丁度機嫌のいい猫の表情そっくりであった。
琥露鬼 「ね。そんなに不安なら、試してみたら?」
えぇっ!?と驚くクゥリス。
クゥリス 「試すだなんて、そんな──」
琥露鬼 「大丈夫、大丈夫。私に良い考えがあるわ。 でも今日はもう寝ないとだめだから次の夜に、ね。」
肯定も否定もしていないのに、琥露鬼はとても機嫌良く部屋を出て行った。
|あとがき|
珍しくあとがきを書くのは、ただの気まぐれ…?
お久しぶり(始めまして、かもしれませんね)です。最近ハンドルネームをちょっとだけ変えた、センジン リュウトと言う、二流寄生作家です。
名前は昔から読みだけ固定で、書きは変化し続けて来ました。これで5回目ですかね。
さて。
心理描写は苦手な自分ですが、次話ではそれを克服すべく、果敢にも(無謀にも?)それを中心としたものに挑戦するつもりです。
特攻爆弾になって儚い命を散らすか、それともさらにグレイドアップして戻ってくるか。それは自分にもわかりません。もし特攻爆弾やらかした時には、夜空に向かって思いっきり敬礼してください。「あの野郎、無茶しやがって……」とか言いながら(笑)
グレイドアップして戻って来たならば、チャットなり掲示板なりで辛辣な感想責めの祝福をお願いします。