IF ”The Last episode ”『胸中に秘める』 「そういえばカルクライン君ってあのときは歌姫だったの?」 噂の店に向かう道すがら、バッドラックは女官に尋ねた。 「いえ、私は当時フェァマインで勉学にいそしんでいました」 二人はエタファのメインストリートの一つを港方面へ向かう 海底トンネルを抜けた奏甲が通る事を考慮した道幅の十分な道だ。 幻糸の減少した現在では昼日中という事もあり、その道幅は露店を出す者や、 街頭パフォーマンスをするもの、それを見物する者、号外を配る者等、活気にあふれている。 「あそう、じゃあ奏甲はあんまり見た事が無いか・・」 「そうですね。街が戦場になった時も避難していたので・・姉は今も『歌姫』であるようですが」 バッドラックは道端に転がる紙切れを拾い上げる。 『怪盗新月再び!!狙われた国立美術館』大きな見出しが踊る情報屋の号外記事だった。 その紙きれをノーリアクションでクシャクシャと丸めると明後日に放り投げる。 「ああ、手紙のやりとりで聞いてるよ。あの人は今の歌姫至上主義は嫌いだったと思ってたけど」 「姉のやりそうな事です。母国の復興と自分の主義を天秤にかけたのでしょう。 もしかしたらその歌姫至上主義に反発するためにあえて残っているのかもしれません」 「なるほどね、ありえる話しだ」 ドンとバッドラックに何かがぶつかる。小さな女の子が尻餅をついていた。 「お嬢ちゃん大丈夫かい?」 肩を抱き少女を起こす。座りこんだままポンポンと頭に手を置きやさしく尋ねる。 「うん、ありがとうオジちゃん」 そう言って少女は走っていった。しばらく見送ると遠くで父親と思われる人物に抱き着いていた。 側で見守る女性が楽しそうに笑っている。 「・・・・・・まあ、何にせよ。大戦の爪跡は癒えつつあるといったところかな」 顔を引きつらせながら憮然と言い放つバッドラックの言葉に女官の押し殺した笑いが重なる。 「これでもまだ三十路前なんだけどな・・」 ※ ※ ※ 「そもそもどうしてこんな所にいるんですか?」 その部屋は四人の人間がいる事にはさして問題は無い広さだった。 「雇われただけだ、それ以上でもそれ以下でもない」 部屋の隅の少年の問いに、窓際の男は短く答えた。 十分な広さに関わらず部屋の隅の少年、 新見忍は部屋の隅で片手に固定されたあて木を考慮しつつ器用に身体を丸めた。 「その煙・・なんとかなりませんか?マリーさんも困ってますよ」 窓際の男に寄り沿い、イスに座って足をブラブラとさせている少女、 マリーツィア・アルハイムは自分の名前を呼ばれて顔を上げたが、 二人を交互に見るとニッと笑って床に視線を戻す。 「そうでもないようだな」 窓際の男、デッドアングルは仕方なく吐出す煙を外に向けてやる。 短くなったタバコを外に放り投げようとしたが服を引っ張られた。 スッと横のマリーから黒い金属の小箱が差し出される。 デッドは無言でその箱にタバコを押しこんだ。 それからしばらくして、軽いノックの後ガチャリと扉が開く。 「お待たせして申し訳ないです」 二十歳過ぎと思われる男が部屋に入って来た。 「私が小隊長のロムロ・ブレイザーです。ええと四人いるはずですよね、もう一人は?」 「ここだ」 丁度開けた扉の死角になる所に四人目の人物、 アーデルネイド・カルクラインは壁にもたれながら本をめくっていた。 「さっそくですが時間がないので移動しながら説明しましょう、外に馬車を待たせていますのでそちらに」 ロムロの先導で館内を進む、 「アール・・この当て木とっちゃダメなの?」 忍は包帯で腕に沿うように固定された木を指差す。 「ダメだ、完治するまで許可できない」 間髪入れずにアーデルネイドは返答する。 「骨折か・・腕が鈍ったか?」 デッドが皮肉っぽく突っ込む。 「そんなヘマした覚えは無いんですけどね・・」 腑に落ちない顔で腕を振りながら歩く。 「しかし事実君は数日間報告義務を怠っていた。その事を踏まえた配置換えというのを忘れないように」 ロムロは建前上の配属変更理由を口にする。忍に関しての話しはバージルからいろいろ聞いていた。 忍の以前所属は強行偵察中隊の単独陸上支援班という位置付けだ。 極力戦闘は避けさせて偵察活動に専念させる。 奏甲を扱える者でも最年少の部類に入る少年に対してのバージルの気遣いだった。 それだけ大事にされている少年が何故この部隊にまわされたのか、 バージルの真意は見えないが命令は命令、人材不足もまた問題の一つだった。 「それはまあ聞いてますけど・・」 やはり釈然としない素振りで歩く。 「さてと、ここに馬車を待機させる手はずになってたのですが・・」 ロムロは館を出てすぐの広場を見渡した。 「ロムロ様〜こっちです」 一同が大きな声のした方に目を向けると、どっちが操られているのかわかならい勢いで馬車をかるランシアが現れた。 「面白いのを飼っているな」 「あれはおまけです」 アーデルネイドの呟きにせき払いをしながらロムロが応える。 ※ ※ ※ 「・・・以上で説明は終わりますが、質問は?」 ロムロの声が奏甲越しに伝わる。 「それは、この部隊の事ですか、それとも今回の作戦行動についてですか?」 同じく奏甲越しに忍が質問に質問で返す。目的地に到着していきなりの作戦行動なのだ無理も無い。 「両方です。今回の議会軍への追撃は急をようするので、心の準備だけでもしっかりしてもらいたいので」 「そのわりに部隊用の奏甲の手回しが早かったようだが」 デッドが会話に割りこむ、既に全員奏甲に乗っているがその全てが規格外と言ってよいものだった。 「すいませんね、二人が使っていた奏甲をそのまま使うわけにいかなかったので」 デッドの乗っていたナハトリッタァは元を正せば盗品であるからという理由で保管され、 忍のグラオグランツは偵察中隊からの要請で隊に寄贈された。 「しかし、まがりなりにも戦場へでるのだ。我々の部隊の奏甲にも気を配るのがスジではないのか」 ケーブルをかいしてアーデルネイドも会話に割りこむ。 「その分の資金援助と整備改装の手配は後で取り付けますから勘弁してください」 ロムロはそう言って自分の奏甲、ネーベル・レーゲンボーゲン試作型を起こす。 これは後に戦場で見られるネーベルと違い、肩に幻糸クリスタルは設置されておらず幻糸ドライブも通常の物が使用されている。 クリスタル実装実験前のフレームテストに使われた物だ。実機は近々配備予定らしい。 「まあ、なんとかしますよ。これでも英雄ですから・・」 明るく冗談を言うと忍は自分にあてがわれた奏甲、ヘルテンツァー・ヌーベルで続く。 ヘルテンツァー・リミットは既にロールアウトしていたが、これは大破したヘルテンツァーをリミットの設計思想を交えて改修された奏甲だった。 ヌーベルの戦闘データもいくらかリミットにフィードバックされている。しかしこのヌーベルは持ち主が必ず戦死するのでラボの奥で眠っていたものだが。 「大した独立愚連隊だな・・」 「デッド、お仕事は真面目にやらなきゃダメ」 デッドの独白とそれをたしなめるマリーの会話が響く。 マリーは普段は喋ることはできないが、ケーブルを介した会話ならある程度可能だった。 デッドの乗る奏甲は更に奇妙な物だった。 通常の奏甲に比べて一回り小さく武装らしい物はほとんど無い。 後にロールアウトされる奏甲ゼーレンヴァンデルングのコア奏甲なのだが、 議会軍の施設から奪取したそれの解析は進まず簡単な改修をしたのみで放置されていたものだ。 仮にツゥワイグと呼称したその奏甲をデッドは問題も無く動かす。 「あわわ、まってくださいよぉ〜」 ラシシアの声とともにギクシャクとした動きでシャルUが最後尾から歩み寄る。 唯一このシャルUだけが老朽化を理由に払い下げられたもので信頼性では小隊一といえる。 それぞれ規格は違うがツインコックピットは全ての奏甲に実装されていた。 「ランシア・・・パートナーの英雄に迷惑をかけないように頼みますよ」 フォローを入れるロムロにシャルUの英雄は『大丈夫です』と短く応えた。 目的地に奏甲受領共に英雄と歌姫を一人づつ小隊に入れている。 搭乗前に歌姫と英雄の意志を確認した。 ランシアとロムロ意外はその二人には会わせていない。 それぞれ宿縁が亡くなった事のショックから完全に立ち直っているとはいえず、目には怒りの炎が宿っていた。 予定どおり歌姫はロムロに英雄はランシアに任せ小隊行動にうつった。 「作戦を確認します。目標は撤退中の評議会軍、敵がファゴッツ領に入る前に叩きますが 国境ギリギリまで撃墜は避けてください」 「え!?国境ギリギリですか?戦闘中にファゴッツに入ってしまったどうするんです? いくら戦時とはいえファゴッツでの戦闘は避けるべきですよね」 先ほどの説明に無い事だったので忍は慌てて聞き返す。 「敵の撤退ルートから本隊の位置を割り出します。これは私の独断ですがあなた達の腕を見込んでのお願いです」 「作戦の目標はシンプルにするに限るが、それぐらいならなんとかなるだろう」 アーデルネイドが考えた上での発言を返す。 「頼みますよ、戦争をはやく終わらせるためです」 ロムロは自分の奏甲を先頭に持ってくる。肩には隊の紋章である、『片翼の鳥(アイン・フュリューゲル)』が西日を照り返し輝いていた。 ※ ※ ※ 評議会軍は小隊単位で撤退しているらしく、ロムロ達はその一部隊に遭遇した。 敵はシャルUが三機とシャルVが一機、撤退戦のためかどこかしら破損している。 「忍君は後方支援、私とランシア機で突出します。デッドさんはランシア機のフォローしてください」 ロムロは素早く指示を出す。 「あなたも無理はしないでください」 ケーブルではなく自分の後ろ席の歌姫に声をかける。 「私の事は気にしないでください。あの人の仇を討たせてくれれば・・」 歌姫はただ正面の敵を凝視している。 「お望み通りにしましょう」 ロムロはネーベルを更に加速させた。 議会軍の小隊がそれに気づいたのはロムロが全速移動をかけた直後だった。 「隊長!後方に敵機です!」 「マイスと私でしんがりを勤める。デボラとメンミスはファゴッツ領に走れ」 小隊長のシャルVと一機のシャルUが振り向き応戦体制に入る。 「隊長、それでは隊長が・・」 デボラと呼ばれた英雄が奏甲の速度を落とす。 「言うな、私も駐屯地に必ず戻る」 既に隊長機は射撃をはじめている。 「わたりました。隊長御無事で・・」 小隊長の意志をくみ取り、デボラはもう振りかえらなかった。 「マイス、敵の編成がわかるか?」 シャルVのマシンガンを乱射させる。 「突出する二機のうち一機はシャルUですね、もう一機はわかりません。新型でしょうか・・」 「用心した方がよさそうだが・・マイス、お前もある程度敵の足を止めたら引け」 「自分は十分やれます、最後までお供します」 「安心しろ、敵の動きは思ったよりも鈍い私も機を見て撤退する」 「ニ機が撤退、残り二機が応戦してきますが」 パートナーの歌姫がロムロに忠告する。 「では、残りの二機に集中しましょう。私はシャルVにランシア機はシャルUに向かってください」 「りょうかいで〜す」 「わかりました」 ランシア達のシャルUからテンション違う返事が返ってくる。 「忍君、敵の射撃を止めてください」 ジグザクに移動しシャルVの射撃をかわしながらロングソードを抜きネーベルを接敵させる。 「了解です」 「いや、ここは私に任せろ」 アーデルネイドが会話に割りこむ。途端にシャルVの腕が爆発した。 「何をしたのさ」 「歌術でちょっとな」 忍の驚きに何食わぬ顔で答える。 お前にこれ以上無理をさせるわけにはいかない、アーデルネイドはその言葉を飲みこみ敵の出方を見守った。 「鈍いわりに小賢しい事を・・」 議会軍の小隊長はマシンガンを捨てるとブロードソードを抜く。 ロムロのネーベルがシャルVに打ちこむ。 「下がりなさい、命までは取るつもりはありません」 「そんな話しが信じられるか」 英雄同士の腕ではロムロが上のようで器用に打ちこむが、宿縁では無いので決定打に欠けていた。 「そもそも白銀の歌姫があんな事を言わなければ、こんな事態にはならなかっただろうに・・」 「だからと言って評議会が正しいとも限らないでしょう」 「ならば何故武力を集中させる必要があった?」 「あなた達のような人を引けるための力が必要なんですよ」 シャルVのブロードソードが弾かれる。 一方ランシア機は、 「が、がんばってください英雄様」 「わかってる・・けど」 同じシャルU同士の勝負、となれば決めるのは英雄と歌姫の腕と絆によるのだが、 議会軍のシャルUの攻撃にランシア機が吹っ飛ばされる。 「きゃあああああ」 「くそ、思ったとおりに動かない・・・」 とどめとばかりに議会軍のシャルUが迫る。 「英雄様しっかりしてください、英雄様」 「僕はまた、負けるのか・・」 目をつむる英雄の頭に別の悲鳴が響いた。 「まったく、見ていられないな・・」 デッドのツゥワイグが議会軍のシャルUの手を切断していた。 「さあ、悲鳴を聞かせろ。お前にできるのは泣き叫ぶ事だけだ」 ツゥワイグのナイフがきらめく。 そこからは戦いと呼べる物ではなかった。 「あなたが倒してきた人の苦しみを味わいなさい」 ネーベルの剣が振られるたびにシャルVの部位は傷つきよろめく。 「貴様・・殺すならさっさと殺せ」 「殺さないと言ったしょう?」 シャルVからの通信を無視しロムロは残忍に笑う。 デッドの方も似たような状態でツゥワイグが走るたびに、シャルUは不恰好な踊りを披露していた。 忍のヌーベルが一歩踏み出す。 「こんなの戦いじゃない、二人を止めます」 しかしヌーベルは思うように動かない。 「アール・・止めないでよ」 「やらせておけ、結局憎しみの連鎖でしか人が生きられないのならそれも仕方が無い」 「でも、目の前でこんな事を黙って見ているなんて・・」 なおも引きずるようにヌーベルを進ませる。 「それでお前が傷つくのを私はこれ以上見たくない・・」 「アール・・?」 絞りだすようなアーデルネイドの言葉に忍は踏みとどまった。 「もうやめてください」 凄惨な行為は意外な声で止まった。 ロムロの乗るネーベルの歌姫からだった。 「もう・・やめてください、もういいじゃないですか・・」 歌姫は涙を流して訴えた。 「どうしたのです?相手はあなたの宿縁を殺した人達なのですよ」 ロムロはなおもネーベルの剣を振り上げる。 「いや・・おかしいです。やっぱりこんなのは・・違う・・」 ランシア機のシャルUからも英雄の呟きが響く。 「相手も人なんだ・・歌姫がいて・・こんな時だけど楽しい思いでもあって・・」 更にその英雄は呟く。 「僕と彼女の思い出はもう作れないけど、だからって他の人に同じ思いをさせちゃいけない・・」 「それが大事な人を奪った人達であっても?」 「それが大事な人を奪った人達であっても」 ロムロの問いかけに同じ言葉で英雄は応えた。 「わかりました。あなた達はもうここに入るべきではないでしょう。私の独断ですがあなた達は戦死扱いにします」 「「えっ!?」」 ロムロの意外な言葉に英雄と歌姫は聞き返す。 「これから戦いは更に激化するでしょう、もっと悲惨な事もたくさんあります。この程度の事で尻込みするような人はこちらから願い下げです」 言葉こそ冷たいが、口調はゆっくりと温かみに満ちていた。 「こちらでは諸事情もあるので戦死扱いにさせてもらいます。あなた達は二度と白銀の暁に戻れません。 丁度このさきを少し行けばファゴッツ領です。そこに下り次の身の振り方を考えなさい」 それからのロムロの行動は早かった。 念のためシャルUを各坐させ、歌姫と英雄はこれに搭乗し戦死したとする事。 これは他の部隊には他言無用との事。 そして評議会軍には、 「あなた達も逃げなさい。ただ一つ、この戦いの意味をもう一度考え直してください」 歌姫と英雄を乗せ、評議会軍はファゴッツ領に向かう。 「・・あんた最初からこうするつもりだったのか?」 去り際にシャルVの英雄が聞き返した。 「さあ・・私は自分の友人の遺言に従ってこの戦を早く終わらせたいだけです」 しばらく向き合っていたが、不意にシャルVがファゴッツに向けて歩み出す。 「あんたみたいなのがもう少し多ければこの戦も早く終わるかもな・・」 シャルVの英雄はそう言い残し丘を下っていった。 「ロムロさん・・・」 忍が思いつめたように呟く。 「あなた達も思うところがあれば一緒にいってもいいのですよ」 「いえ・・大丈夫です。あなたのする事が見てみたくなりました」 「俺は金とタバコさえ貰えればそれでいい」 忍とデッドがそれぞれの主義を貫く。 「タバコって・・・デッドさんどこから手に入れているんです?」 「さあな、こっちで作っている奴もいるようだが白銀に入れば現世の物が手に入る」 「デッド・・煙を吹かしてばっかり、シノブからも言ってあげて」 忍とデッドのやりとりにマリーが割ってはいる。 そんな会話中に空から一機の奏甲が降りてきた。 「フィメル・メーフェン・・乗っているのは誰です?」 先刻の事を考慮してロムロ油断無く問いかける。 「よお〜ロムロ。初任務無事完了といった所か?」 「スパイツ・・こんな所までどうしたのです?」 元同僚は無遠慮に話しを進める。 「おっと、打ちもらした奏甲があるみたいだな、この先にニ機残ってるじゃないか。俺がもらっちまうぜ」 話しをロクに聞かずスパイツは飛び立とうとする。 「待ちなさい!この先は既にファゴッツ領です。まだヴァッサァマインとファゴッツ間で戦時交渉がすんでません」 「ふん、相変わらずお硬いね。こういう時に数を減らさなきゃだろ普通?」 「やめなさい。事は両国間の問題に関わります。なおも追撃するのであれば私の隊が容赦しません」 ヌーベルとツゥワイグがフィメルに詰め寄る。 「わーた、わーたよ。ったくこれだからお前は・・・でも、気を付けろよ。さっきの会話ケーブル越しにするもんじゃないぜ」 「何の事ですか?」 「ふ、この奏甲の力はお前がよく知っているだろうにな・・まあいいさせいぜいがんばりや」 それだけ言ってスパイツはフェァマイン方面に飛び去っていった。 「いいのか?さっきの評議会軍との会話を聞かれたのかもしれんぞ」 アーデルネイドが忠告する。 「スパイツは見た目はとぼけていますが悪い人間ではありません。大丈夫でしょう」 「そうです。スパイツさんは面白い人ですよ」 やっと元気を取り戻したのかランシアが明るく突っ込む。 「あなたはもう少ししっかりしなさい、いいですね」 「う、わ、わかってますよぅ・・」 これより時間を空けず、ヴァッサァマインとファゴッツは数点の取り決めを済ませ、 白銀の暁は本格的な評議会軍追撃戦に入る。 その中でもロムロの特選小隊。後に部隊章に習い『アイン・フリューゲル』とあだなされるこの隊は、 今回と同じく数名の『戦死者』を出しつつ北氷山脈にてノインパス、リーズ・パスの戦いになだれこんでいく。 〜続く〜 後書き・・ うん・・今までとおもむきがだいぶ違う。 なんとなく政治色を絡めつつ軍事的なノリを・・と思ったのですが。 あとちょくちょく出てくるフィメル・メーフェンですがそのうち絵に起こそうかと思ってはいます・・。 自分の中の設定では以前のエピソードで出てきたフェイルの乗るオストヴェントが原型なのですが・・。 まあ流れ流れて白銀にあるといった形です。 その他に特選隊の奏甲は無駄に正規の奏甲が無いですが、寄せ集め部隊という所をだしたかったので・・。 ロールアウト時期や勢力の事もあってだいぶ無理はありますが。 あと、冒頭の戦後の会話はたぶん毎回あります。話している二人が何者かはまあ好き勝手に想像してください。 |