IF ”The Last episode ”『間奏・肩翼の鳥達』
 

「別の店にしてはどうでしょう?」
 
女官は中の様子を伺いながら言った。
 
「いや、待つ。折角来たんだし」
 
バッドは店の前の順番待ち用のイスにふんぞり返りながらつぶやく。
 
目的のレストランは見つかった。3度ほど道を間違えた末だったが・・、
 
それがいけなかったのかレストランの中は人でいっぱいだった。
 
「それでは休憩時間が終わってしまいますよ」
 
前にはまだ7人ほど待っている人間がいる。
 
「・・役職権限使っちゃおうかな・・」
 
「恥ずかしいですからやめてください」
 
バッド呟きに女官は素早く反応する。
 
「冗談だって・・これでもエタファの内外の安全を守る私設警備課だよ僕は」
 
「だったらそれ相応の自覚をもっと目に見える形で表わしてください、
 課の部下に対する体面に関わります」
 
順番待ち用のイスは外に並べられおり、丁度日差しを一身に受ける位置にある。
 
「サボテンの花が咲いている・・」
 
「話しをはぐらかさないでください」
 
女官は街中を何気なく見るバッドの顔を覗き込む。
 
「平和はいいねぇ〜」
 
嘆息しながら上司を見る女官。
 
その顔は人の行き交うこの街を見ている。だが瞳はもっと別の風景を見ているそんな気がした。
 
確かにここエタファはかなり復興したといえる。
英雄達が居続けることになった混乱もだいぶ納まってきた。
 
しかし、一度外に足を運べば蟲や英雄崩れを見るのは難しい事ではない。
 
戦争の終結は全ての解決にはならなかった、むしろ問題を先送りにしそれが元で新たな問題を生んだ。
 
世界に残された英雄の不満、対応に苦慮するアーカイア側、遅々として解決策を提示しない評議会。
 
『一人が千歩あゆむのと、千人が一歩踏み出すのはどちらが難しいと思う?』
 
かって女官がバッドに戦争の功罪を問うた時に投げかけられた問いだ。
 
そのときは意味もわからずこう答えた。
 
『どちらも無意味です。何が必要であったかがわかればそれをするまでです。
 そこに可能か不可能かの問いは意味をなしません。
 『今』不可能であったならばそれを可能にする事をするだけです』
 
その答えを聞いてかすかに笑ったあの時の顔を女官は忘れられなかった。
 
そのときと同じを顔を街に向けながらバッドはもう一度呟いた。
 
「平和はいいねぇ〜」
 
 
 
      ※      ※      ※
 
 
 
「まあ今夜中に戻れば問題はありませんが・・」
 
昼過ぎ駐屯している街の宿にロムロの小隊の年少組み三人が顔をだした。
 
「では僕とランシアさんとマリーさんで少し街を見てきます」
 
骨折も治り、歳相応の元気な顔で忍が再度確認する。
 
「しかし、ハメを外し過ぎないようにいいですね?」
 
「大丈夫です。私が付いています」
 
ランシアが無い胸をはり、マリーがコクコクと頷く。
 
「・・・・・・忍君、二人を頼みます」
 
ロムロは片手で頭を抱えながら忍に念押しをする。
 
「わっかりましたぁ、それじゃあ行きましょう」
 
何故かランシアが返事をして三人は部屋を後にした。
 

「おやおや、おもりも大変だな小隊長」
 
入れ替わりにアーデルネイドが入ってくる。
 
「ああ、カルクライン君。彼等は町を見に行くといって出て行きましたよ」
 
「そうか、そういった事もたまには必要だろうな」
 
白銀の暁が評議会軍を追って南下をはじめてしばらく、今までロクに休む間が無かった。
 
「あなたは行かないのですか?英雄と羽を伸ばすいい機会でしょうに」
 
「私はそんなガラではない、忍もそれがよくわかっている」
 
そう切り返すアーデルネイドの顔はいつものように涼しそうだ。
 
「そうですか。ならいいのですが」
 
再び本に目を落とすロムロ、アーデルネイドはそのままの姿勢で口を開く。
 
「朝、本営から出頭命令が出た理由を聞きたい」
 
「よく気が付きましたね。気をつかって早朝宿を出たのに・・」
 
「出頭命令の理由を聞きたい」
 
アーデルネイドに顔を向ける。いつにもまして真剣な眼差しだった。
 
「大丈夫です、たいした事はありません。出撃のたびに戦死者を出している事と戦果に対する愚痴です」
 
初陣と同じようにこの隊への志願者は皆白銀の暁を去っている。
 
一度の戦闘でそうならなくても2度3度出撃すると、必ず返ってこない人間が出ている。
 
むろんロムロの手引きによるもので、彼等に強制はしていない。
 
毎回戦死者として上げる報告とそれに見合う以上の戦果、
 
後者は実際のロムロ以下残留する小隊メンバーの実力による所が大きい。
 
しかし本営がロムロの行動に気づいているふしも有り、それゆえ更に決定的な措置をとれないでいるともとれる。
 
予想以上の戦果と不可解な損害、この2つの出来事に上層部は対応に困っていたのだ。
 
結局今回の命令は一つ、補充人員をしばらく見送るとの通達のみだ。
 
「そうか、それならばいいのだが」
 
「そうだ、こちらからも一つ聞かせてください」
 
「・・何か」
 
「忍君がデッドやマリー君達とは随分仲が良いようですけど、ここに来る前からの知り合いですか?」
 
バージルから渡されたファイルには個人的な経歴しか載っていなかった。
 
「たいした事ではない、私はデッドという男に・・」
 
きびすを返し部屋を出かかりながら独り言のように呟く。
 
「一度さらわれた事がある。そういう関係だ」
 

      ※      ※      ※
 

夕食時、忍達三人は約束通り戻ってきた。
 
「それでですねロムロ様、マリーさんの洋服を見ているときに同じ物を忍さんも試着してたんですよ」
 
「あれは・・店員の人が強引にすすめるから」
 
ランシアは今日の出来事を事細かくロムロに報告している。
 
テーブルには隊の全員が顔を出していた。ロムロやランシアの他に忍、マリーツィア、
それにアーデルネイドとデットアングルもだ。
 
「あとですね、すごいんですよ忍さん。マリーさんが何を言おうとしているかわかるんです」
 
「あれは・・まあ、口の動きでだいたい言葉がわかるので・・」
 
テーブルは既にランシアの独演会になっていた。ロムロはとりあえず相槌をうち、忍は生真面目に受け答え、マリーはそのやりとりを楽しそうに眺めている。
 
デッドとアーデルネイドだけが黙々と食事を口に運んでいる。
 
思いだしたようにロムロが口を開く、
 
「そうでした、今日の朝に本営に出向いたのですが私達の隊は三日ほどこの町に滞在します。
 警戒のため一日交代で宿に一組づつ待機してもらいます、順番はこちらで決めて後で知らせますのでそのつもりでいたください」
 
上からの見え透いた保留措置だが、ロムロは隊の休暇と割りきることにした。
 
実際、この隊の処置以上に白銀の暁自体がリーズ・パス、ノイン・パスの攻略作戦の立案という難題に時間をようしていたのだ。
 
「構わないが、俺とマリーツィアの待機は後で頼む」
 
それまで黙っていたデッドが呟く。
 
「他に希望がなければかまいませんが・・」
 
「何かあるんですか?」
 
意外な申し出にロムロと忍が聞き返す。
 
「たいした事じゃない、こいつが一緒に服を見ろとうるさいだけだ」
 
デッドはつまらなそうに説明する。
 
「良かったですね、マリーさん」
 
忍がマリーに振る。マリーは嬉しそうに頷いている。
 

「かっての暗殺者がいつのまにか立派な英雄様だな」
 
場が一瞬止まる。アーデルネイドが呟いたのだ。
 
「ふん、以前のしおらしさが無くなったな女」
 
デッドも相手を見ずに答える。
 
「私は歌姫であるまえに私らしくあると決めたのだ。お前のような英雄崩れと一緒にするな」
 
冷ややかな言い争いにランシア、忍、マリーはお互いの顔を見つつ状況を見守る。
 

「ほう・・その『らしくある』事を優先しつつ『歌姫』である事でどうにか自分を保っていると言えなくも無いな」
 
「・・・・・・・何が言いたい?」
 
テーブルの周囲の温度が下がる。
 
「別に・・英雄崩れの独り言だ。弱い自分を守るのは悪い事じゃない、まあ忍の足を引っ張らないようにな」
 
ドン、とアーデルネイドがテーブルを叩く。
 
「・・・・・言われなくてもわかっている。しかし、私は忍のようにお前を信用しきったわけではない」
 
それだけ言うとアーデルネイドは2階の自分の部屋に戻っていった。
 

デッドは何事もなかったように食事を再開し、ロムロも何も言わず紅茶を飲んでいる。
 
「・・・お二人は仲が悪いのですか?」
 
「いえ・・まあ、いろいろありまして・・・」
 
忍とランシアの声を潜めた会話をよそに、マリーはデッドの後ろにまわると頭をポカポカと叩いた。
 
「今更言う事でもなかったが、あれもそんな馬鹿な女でもないだろう」
 
デッドは叩かれながらも食事を続けていた。
 
 
 
      ※      ※      ※
 

「だから、やっぱり喧嘩はいけないと思うのですよ私は・・」
 
夕食一件から数刻後、ロムロの部屋でランシアが力説していた。
 
「はいはい、そうですね・・」
 
ロムロは話半分に聞きながら書類整理を続ける。
 
「せっかくみんなで楽しく食べいたのに台無しじゃないですか」
 
「まあ、そうですね・・ランシア、先日の戦闘のこちらの被害額は?」
 
「60万とんで4352ゴルトです・・・って聞いてますかロムロ様、仲良くなれたのに嫌な感じになるのは私は嫌です」
 
何も見ずに即答で答えるランシア。ロムロは黙々と筆を走らせる。
 
「あなたが心配しなくとも何とかなりますよ、え〜とその日の天気はどうでしたかね・・」
 
「曇りでした、昼頃から晴れましたけど・・・って、もう私はあのデッドという人に抗議してきます」
 
「無駄ですよ。彼、出かけましたから」
 
ランシアのこの記憶力に気が付いたのはバージルの偵察中隊に居た頃だ。
 
彼女は自分が見た事で他人に聞かれた事はほとんど答えられる。
 
そのかわり彼女は以前の英雄との事を決して語らない。
 
覚えていないというのだが、ロムロにはその時の記憶を忘れるために今を記憶することで埋めてしまおうとしているように思えた。
 
しかし、本人にはそれを言わずにこうしてある程度利用させてもらっているのだ。
 
その力が上の目に留まる前に、自分のような小悪党に利用される方がましだろうと勝手に解釈している。
 
「もぉ〜、いつか私がきっぱりと言ってやります!」
 
ベッドで跳ねながらテンションを更に上げる。
 
「怪我の無いようにしてください・・で、今日外出に遣った経費はいくらです?少し多すぎるようですが・・」
 
「え〜と・・・忘れました」
 
乾いた笑いで明後日を見るランシア。
 
「思い出すまでそこに居なさい」
 
「うわぁ・・ロムロ様、女の子にずっとベッドで待っていろだなんてダイタンです・・」
 
「?・・この書類は朝まで掛かります、それまで一緒に数字と睨めっこしながら頭を抱えて付合ってくれるのですか?」
 
「・・・・・・遠慮します・・・」
 
ランシアはそそくさと部屋を出た。
 
 
 
      ※      ※      ※
 
 
 
夜、忍は宿の中庭にアーデルネイドを呼び出した。
 
「さっきの事はすまないと思っている」
 
月明かりに照らされたその顔は、青白く照り返し独特の影を落としていた。
 
「うん、まあそれもあるんだけど」
 
忍は四方が建物に囲まれた庭で狭い空を見上げていた。
 
「この隊に入る時にあの男の事を確認されたのにな・・」
 
「別に・・・簡単に割りきる方が無理さ」
 
ロムロと会うより数日前から忍達はデッドとマリーと合流していた。
 
『あの人はもう悪い事はしないよ』忍のその言葉にアーデルネイドも頷いたのだが、
 
「僕が無理を言っているのはわかる。アールが僕を心配して言ってくれていることも・・
 でもね、あの人の力はどうしても必要だよ」
 
いつもと違う忍の対応。それは『機奏英雄』としてではなく長く生きてきた『刃の心』として割りきった合理的な対応だった。
 
「お前は・・・その・・やはりなんとも思わないのだな・・」
 
私をさらった男と一緒に居る事に・・後の言葉をなんとか呑み込む。
 
普段が八方美人なこの少年だが、時折見せる行動にはおよそまわりの感情を無視した物が含まれる。
 
「うん・・・結局僕には人を・・本当の意味で人を思いやることは出来ない・・・だから近くに居る人ほど傷つけることになる」
 
ずっと空を見上げている忍をそっと後ろから抱きとめる。
 
「それでもいいのだ。建前でやさしくされるよりもそう言ってくれる方が助かる」
 
自分が何も知らされず傷つかない事の方が怖い、今のこの少年を見ているとそう思えてくる。
 
「『全てをただ己の糧に』ってね。だからさ、そのキッカケをくれたあの人を悪く言っちゃいけないよ」
 
夜の中庭にたたずむ重なり合った影はしばらくそのまま動かなかった。
 
 
 
      ※      ※      ※
 
 
 
夜明け前、宿の入り口を影が一つのくぐる。
 
「朝帰りか・・」
 
その影をイスに腰掛けていた。忍が向かえる。
 
「忍・・ではないようだな・・」
 
黒マントを羽織った影、デッドが呟く。
 
「さすがにわかるか、なら話しは早い。何処に行っていたのだ」
 
「夜に出歩く理由は2つしかない。仕事か女かそれだけだ」
 
マントを投げだしカウンターの奥から酒を出す。かすかに香水の香りが広がる。
 
「これだから男は・・・それであの娘を大事にしているつもりか?」
 
「無理はさせていないし、今も五体満足でいられている」
 
グラスを2つ出し、忍に促すがやんわりと断られる。
 
「酒と女とタバコか・・・世界が変わってもどうしようもない男だなお前は」
 
「ふん、そんなもの変ろうが俺の何が変るわけではない」
 
二人以外誰もいないフロア、わずかに入り口から朝日がさしてくる。
 
「忍はどうした?まさか、今までがお芝居でしたというわけではないのだろう?」
 
「あたりまえだ、私は忍の保護者だ。あれがより安全に居られるようにする義務がある」
 
「ご苦労な事だ、それと俺にどんな関係がある?」
 
「お前はあれが認めた力だ、よりあれのために役にたってもらわなければならん」
 
「そんな事なら忍の歌姫にでも言ってやれ、泣いて喜ぶぞきっと」
 
日常から切り取られた時間の中、二人の会話が続く。
 
「あれはダメだ、もっと外部から止める力がいる」
 
「それで俺か?連れの歌姫がただ邪魔にならないから置いているだけの男だぞ」
 
「それだけ割りきった思考が必要なのだ。ただそれもどこまで本心かは問わないがな・・
 好きで一緒にいるのと、嫌いではないから一緒にいても構わないというのでは意味合いがだいぶ変ってくる・・」
 
「ふん、好きに解釈すればいいさ。それをこちらに押しつけなければな」
 
「とにかく私から言っておく事は一つだ、その一緒にいても構わない者を守るために何かあれば忍を殺せ、そのときは迷うな」
 
「命令なら聞けないが、忠告なら聞いておこう・・」
 
忍とデットの間に沈黙が訪れる。それから会話は再開される事はなかった。
 

      ※      ※      ※
 

ほどなく町に訪れる朝を轟音が貫く。
 
「飛行奏甲!・・所属はどこです!」
 
過ぎ去る影を睨むのをやめロムロは宿を出る。
 
道はゆっくりと朝の支度をはじめた人が不安そうに空を眺めている。
 
「いくら何でも、議会軍ではないでしょう・・この周辺は先日偵察済みですし」
 
いつのまにか並走している忍から声が掛かる。
 
「ならいいのですけどね・・」
 
ロムロの予感は半分当たっていた。
 
町を騒がせた飛行奏甲は白銀の暁の者だったが、その奏甲の英雄からこの町に評議会軍が向かっているとの連絡が入った。
 
「私達が行くしかないでしょうね・・全奏甲起動準備!とにかく敵を足止めします」
 
あわただしく小隊のメンバーが奏甲を起動し町を離れる。
 
「やれやれ休む暇も無いとはな・・」
 
「デッドさんは夜十分休んだのではないですか?」
 
「別に・・ただの退屈凌ぎだ」
 
「・・・?、二人とも何を言ってるんです?」
 
「ランシア、会話に混ざるなら奏甲を安定させてからにしてください」
 
「わ、わぁかってますよぉう・・」
 
会話とは裏腹に素早く隊列を組み、目撃地点に向かう。
 
「デッド機、遅れていますがどうしました?」
 
「気にするな、休暇がふいになったのでマリーがむくれているだけだ」
 
「・・・・・・・・せっかく・・約束したのに・・」
 
「お遊びもそれくらいにしておけ、そろそろ敵との交戦距離に入るぞ」
 
森を抜けて見晴らしよい平地に出た一行。かなり離れて所に情報にあった奏甲らしき点が見える。
 
「・・・しかけてきませんね、どうします?」
 
「・・・・いや、まてあれは・・・白旗だ・・」
 
アーデルネイドが確認しながら呟く。
 
「何のつもりでしょう・・・・私が話しかけてみます」
 
ロムロが口を開く前に聞きなれない声が響いた。
 
「こちらは評議会軍所属のアウネレス機動小隊、こちらに戦闘の意志は無い。応答されたし」
 
進んでいた奏甲が止まる。ロムロは相手の奏甲がハッキリ確認できる距離に入って返信した。
 
「こちらは白銀の暁、特選小隊アインフリューゲル、私は隊長のロムロ・ブレイザー。貴行らの意志を確認したい」
 
ロムロが話し終えると相手の奏甲が一歩進み出る。
 
「応答に答えてくれて感謝する。私はアウネレス機動小隊隊長のミガット・ウエンガッタだ。我が小隊は白銀の暁に投降する」
 
「貴行の申し出は理解した。が、それを証明する物を提示してもらいたい」
 
双方に緊張が走る。
 
「了解した。では証を示そう」
 
ミガットと名乗った英雄は奏甲を降りると評議会軍の軍旗を掲げ火をつけた。
 
「我、ミガット・ウエンガッタ以下七名は兵をないがしろにする評議会軍とたもとを別ち、
 英雄と歌姫の未来を模索する白銀の暁に賛同の意志をここに示す、我、貴殿等と共に歌を紡ぐを望むもの也」
 
軍旗は燃え尽き、平地に朗々とした声が響く。
 
ロムロも奏甲を降りミガットの前に進む。
 
「貴行の申し出確かに我が耳に届いた。これより共に歌を紡ぐと事を願わん」
 
ロムロの差し出した手をミガットは力強く握り返す。
 
「我、共に歌を紡ぐ事を願わん」
 
 
 
ロムロ達の遭遇した件は決して珍しいものではなく。
 
ノインパス、リーズ・パスの決戦を前に評議会軍が投降するという事態はあちこちでおこった。
 
評議会のやり方に付いて行けなくなった者は決して少なくなく、
 
トロンメル、シュピルドーゼといった。国家単位でも間接的に非協力的な態度が目立ってきていた。
 
それでも評議会軍と白銀の暁のパワーバランスは覆るにいたらず。
 
決定的な打開策の無いまま両軍は神々が住まう峰に戦場を移しつつあった。
 
 
 
〜続く〜
 
 
 
あとがき
 
とりあえず生きてます・・。
 
今のところはルリルラTRPGUの英雄戦争の設定をなぞりながら進めています、そのうち外れてきますが・・。
 
あまり大きな規模の話しは、自分の力量ではかなり無理があるのですがなんとかまとめます。
 
まだもう少し話しの風呂敷は広がりそうです・・。
 
個人的にはもっとこじんまりした話しが好きなんですが・・。
 
あと、桜花達もちゃんとでます。

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