幻想戦記Ru/Li/LU/Ra異伝

とある英雄の末路、その可能性


 異世界アーカイア。
 幻糸と呼ばれるエネルギー体が世界を満たし、有り得ない生態系が存在する文字通りの”異世界”。
 その世界に存在する人間達の国ハルフェア、その首都ルリルラ。その中心部で、とある密会が行われていた。
 出席するのは、今やこの世界を支配する唯一の存在、賢者達……。
「………全ては我らの思うとおりに進んだようじゃ……」
 薄暗い席で、ローブを被った老婆が告げる。
「白銀の歌姫は怨霊に取り付かれ、暴走を起こし……」
「黄金の歌姫は英雄達をこの世界に十分な程招きよせた……」
「そしてノクターンとレクイエムは互いに相殺しあい、パーフェクト・ドライブもそれを代行しうるクロイツシリーズもまた、全て破壊された……」
 老婆達の言葉には熱がこもっていた。
 アーカイアの完全なる支配。老婆達の念願であるそれが今まさに適おうとしていたのだ。
 以前、アーカイアは三つの勢力によって管理されていた。
 全てのアーカイア人の母とも呼べる存在、黄金の歌姫。
 アーカイアの秘密をさらけ出したもの、白銀の歌姫。
 そして、古来からアーカイアの市政を司ってきた評議会である。
 だが、先の英雄大戦にて白銀と黄金の歌姫は対立し、結果双方の実行した秘儀、ノクターンとレクイエムは互いに相殺し、その効力を失った。
 その力の消失に巻き込まれる形で多くの英雄や歌姫達が命を落とし、もはやこの世界に評議会以外の覇者は存在しなかった。
 また、その支配を覆しうる強大な力を持つクロイツ・シリーズもまた、長き戦乱の中で失われていた。
 だがその全ては評議会の描いたシナリオだった。
 絶対奏甲が英雄にしか乗りこなせないようにしたのも。
 奇声蟲達がこの世界に溢れるようになったのも。
 このアーカイアを襲った全ての元凶こそが、彼らの企み通りだったのだ。
「………今こそ、永遠の平和をここ、アーカイアに……」
「……アーカイアに永遠の平和を……」




「………所詮、欲に取り付かれた醜どもの妄執か」




「誰じゃっ!?」
「!?」
 とっさに入り口へと振り返る賢者達。
 開け放たれた入り口。そこに、一人の青年が立っていた。全身を真っ黒なマントで覆い、その右手には血塗られた鎌を持っている。
「何者じゃ?!」
「ここには警備の者達がいたはず……、何故ここに?!」
「………冥土の土産に教えておいてやる」
 青年はゆっくりと鎌を持ち上げながら告げた。
「………永遠の平和なんてな、死の中にしか存在しないんだよ」






「じゃあな。死んで女王や蟲化した英雄達に詫びて来い」






 燃え盛るルリルラを後に、男は愛機と共に荒野を歩んでいた。
「………終わったな……何もかも……」
 呟く男の目の前に、無数の奏甲が姿を現す。追手であるのは間違いない。
 男はゆっくりと愛機を戦闘駆動させると、右手に巨大な鎌を握らせた。
 今まで数え切れぬ程多くの奇声蟲や敵の奏甲、そして男の友、歌姫を刈り取ってきたその武器を肩に担ぐようにして構える。
「来いよ。どうせ俺はここまでだ」
 その言葉を合図に、一斉に奏甲が男の愛機に殺到した。








 冬が、来る。
 アーカイアに冬が来る。
 ……命の眠る冬が来る。



何か一言:唐突に思いついたルリルラバッドエンド。英雄に関してはノーコメントで。どっかの誰か、ツー事にして置いてくださいな。

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