英雄：レグニス・ハンプホーン　１７歳　研究所で肉体改造をうけた軍事用生体兵器　人嫌い
歌姫：ブラーマ　１５歳　知的で一言多いが本質的にはやさしい

選択編

白銀の歌姫の演説が流されたことによる混乱は、夜遅くになっても続いていた。そんなさなか、レグニスは宿の屋根の上に寝転んでいた。
ブラ「・・・こんなところにいたのか」
レグ「・・・」
ブラ「なぁ、お前はあの話をどう思う?」
レグ「英雄が蟲になる、というやつか」
ブラ「私には正直信じられない。人が・・・蟲になるなど。かといって、白銀の歌姫様があのようなことを何の根拠もなくいいだすとも思えない」
レグ「・・・」
ブラ「あの話は真実なのだろうか。それとも、戦争のための口実なのか。私には・・・わからない」
レグ「その時になればわかる。本当かどうかはな」
ブラ「それでは遅いのだ!」
ブラーマが激昂して床を叩いた。
ブラ「もし本当にお前が蟲となってしまったら、私は・・・いったい・・・」
レグ「簡単なことだ、その時は俺を殺せ」
ブラ「っ！　で、できるわけがなかろう！」
レグ「・・・俺は兵器だ。壊れた物、役に立たなくなった物は廃棄される。それだけのことだ。
　　　それにお前さんが直接殺す必要はない。どこかの英雄にでも頼んで、処分してくれればいい」
ブラ「レグ・・・」
レグ「気にするな。もとから俺は兵器だからな。この世界に来るずっと前から、そうだった。ろくな死に方をしないってことぐらい覚悟はしている」
ブラ「・・・・・・違う」
レグ「何？」
ブラ「お前は兵器などではない！　こうやって話したり、私の言葉に応えたりするではないか！　無茶もするし、怒りもする。ごくまれにだが笑ったりもする！
　　　他の誰がなんと言おうと、お前自身がそう思おうと、私にはわかる。レグ、お前は兵器などではない。れっきとした人間だ！」
レグ「ブラーマ・・・」
ブラ「だから、死ぬとか蟲になるとか言わないでくれ。私はお前という『人』を失いたくはない」
レグ「そうか・・・わかった。なら旅の支度でもするか」
ブラ「旅・・・？」
レグ「兵器であることを否定するなら、どの陣営にも加わるわけにはいかん。
　　　正直なところ、命令されるのにも飽きたしな。旅でもしながら蟲にならないですむ方法を探すこととする」
ブラ「だが、そんなものがあるのか？」
レグ「知らん。だがなにもしないというのは性に合わん」
ブラ「まったく、いいだろう。私も行く」
レグ「ブラーマ、お前・・・」
ブラ「行っておくがこれは私の意志だ。どう言われてもついていくからな。ああそれと・・・」
彼女は立ちあがると、月明かりを背にして微笑んだ。
ブラ「私はお前の味方だ。この先なにがあってもな」

今回はこんなとこですかな。ああ、だれかとストーリーをクロスさせてみたいなぁ。迷惑かな？

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