いろいろ間違った登場人物紹介
 
ザナウ君 漢の浪漫を語る迷惑者、妄想力は伊達じゃない!
 
栞お姉さん たぶんザナウの発言の一番の被害者、最近フライパンが標準装備。
 
カイゼル王 元お偉方、でも別に足がないなとか言ったりしません。
 
サレナお嬢様 たぶん明るくなるのに比例して嫉妬深くなってるのかと……。
 
ネレイスお姉様 銃器が大好き、場所が場所ならACEになれたかも。
 
キャロルっち 元気爆裂娘、この中で唯一栞より年下。
 
ルスフォンさん 改造を生きがいにする、改造について相談すると大喜び。
 
注意:本気にしないでください。
 

「ちわ〜っす! ルスフォンさんいますか〜!?」
ザナウは工房の騒音に負けないくらいの声を張り上げる。
「ルスフォンさんなら先程ハルニッシュの修理をするって言ってましたが〜!」
近くで奏甲の整備をしていたスタッフが同じく大声で返事をする。
(ふむ……丁度いい)
「どうも〜!」
スタッフに礼を言いながらザナウは両手に白い包みを持ち、ハルニッシュの方へ向かう。
 
『戦え! ルスフォンさん! +α』
 
ハルニッシュに近づくと、整備に取り掛かろうとするルスフォンの後姿が見える。
「ルスフォンさん!」
ザナウは大声を出しながらルスフォンの元へ向かう。
「? どうかしましたか?」
ルスフォンは近づいてくるザナウに訊ねる。
その質問にザナウは
「このハルニッシュ、改造しようと思いません?」
と答える。
ルスフォンはその言葉にピクリと反応する。
「お言葉ですが、このハルニッシュはカイゼル=ラウロッシュ様の……」
「そのカイゼル様から許可はいただいてきた」
ザナウはポケットから二枚の紙を出す。
「! それは……!」
ザナウが出した物は一枚は整備契約書、もう一枚は
「奏甲委託書……!」
ザナウはニヤリと笑う。
「これで文句はなかろう……!」
心が揺らぐルスフォン、しかし。
「しかし……お金が!」
その言葉にザナウは
「ルスフォンさん、この工房に試作品とかは?」
その質問にルスフォンは不思議そうな顔をする。
「? 私がいろいろ試したのでありますが……」
「その処分に困ったな〜とか思ったりしませんか?」
ルスフォンは少し俯く。
「ありますが……」
「それを使って改造すればお金はかなり浮くはず!」
「!」
ルスフォンは顔を跳ね上げる。
ザナウはニヤリと笑いながら再び質問する。
「ハルニッシュ……改造しようと思いません?」
ルスフォンは不敵な笑みを浮かべると。
「思います!」
と元気よく答えた。
 
「ところでルスフォンさん」
「なんでしょう!」
ルスフォンはすでにやる気満々だ。
「この工房にはどんな試作品があるのかな?」
「そうですね……」
ルスフォンは少し考えた後、いろいろな物を口に出した。
 旋回小型ブースター。
ルスフォンの話によると奏甲の旋回能力上昇のために作ったらしい。
「上がるには上がるんですが……燃費が悪すぎます」
しかしザナウは
「使えるな……」
ルスフォンはその言葉を聞いて
「稼働時間が大幅に減りますよ!?」
「んじゃ、サブチャージャー付けよう」
「お金が足りません!」
「装甲板修理しなくていいや」
「一撃で落ちてしまいます!」
一通り叫んだせいか、息が荒い。
「その言い方からすると装甲板付け替えなければサブチャージャーが装備できるみたいだな。」
ルスフォンは少し疲れた顔をしながら
「ええ……できますけど……」
「ならサブチャージャー装備して、装甲板はなんか試作品でもつけるか……何かある?」
「ええっと……」
 軽量型装甲板。
話によると、装甲板の重量を下げるために試作で作ったらしいが、
防御力が期待値に達せず、そのまま放置していたらしい。
「それでもシュヴァルベ並の装甲値です」
「よし、腕以外の装甲はそれを付けてしまおう」
「わかりました」
ルスフォンはバインダーに付けた紙に書き込む。
「他に何かないかな?」
「ええっと……突き刺すと内部で爆発する槍とか……」
「それはいい」
即答する。
「そうですか……」
ルスフォンは少し残念そうだ。
「あと腕周りも強化しよう、俺は剣しか使わないし」
「あ、それいいですね」
「あと変形とか」
「それは無理」
すでにハルニッシュでは無くなってきている。
 
ザナウとルスフォンが盛り上がっている頃、栞たちはトランプで盛り上がっていた。
「そういえばザナウさんは?」
栞はカードを選びつつ周りに聞こえるように質問する。
「先程工房に行ってくる≠ニ言っていたが」
カイゼルは栞の質問に答える。
「カイゼル様が渡した奏甲委託書を持って、
 なにやら楽しそうな顔で部屋を出て行かれましたが……」
とサレナがカイゼルの言葉に追加する。
「どちらかと言うとあの顔は何かをたくらんでるように見えましたが……」
ネレイスはその時のザナウの表情を思い出しながら言う。
「そんなことより早く引いてよ〜!」
負けが続いてるからか、キャロルが待ちきれずに栞に言う。
「あっ、ごめんね」
栞は笑顔でキャロルからカードを引く。
(今度は何をやるつもりなんでしょう……?)
栞は引いたカードを見て
「あ、上がりです」
キャロルの叫び声が夜の街に木霊する。
 
数時間後、ザナウ達はハルニッシュの修理……ではなく、改造を終えていた。
「こんなもんかな?」
ザナウは満足そうに言う。
「そうですね……」
ルスフォンも疲れた顔をしているがどこか満足そうだ。
「それじゃ、最後に頭の横にこれを付けてくれない?」
と言いながらザナウは最初に持ってきた白い包みをルスフォンに渡す。
ルスフォンはその包みを解いて中身を見る。
「これは……」
「んじゃ俺は一眠りしてくる〜」
と言いながらザナウは工房の外へ出て行く。
「え? あ、はい!」
 
翌朝、ザナウと栞達は荷物をまとめた後工房へ向かっていた。
「ザナウさん、昨日工房で何をしてたんです? 
 帰ってきたら訊こうと思ってたのになかなか帰ってきませんし……」
あの後、結局ザナウは皆が寝付いた後に帰ってきていた。
ザナウはあくびを一つした後
「それは着いてからのお楽しみ〜」
と言った。
 
元ハルニッシュの前でルスフォンと手を叩き合っているザナウを他所に、
栞達は呆然としていた。
「ほほぅ……これはまた……」
カイゼルはどこか楽しそうに呟く。
「たった一晩でここまで……いろいろな意味ですごいですねぇ……」
呆れればいいのか驚けばいいのかわからなくなった声でサレナが言う。
「…………」
ネレイスは何を言っても失礼な気がして何も言えなくなり、困った笑みを浮かべている。
「かっこいい〜!!」
キャロルは元気一杯にハルニッシュの方へ走っていく。
栞は肩を震わせていた。
そんな事も知らずに、ザナウはルスフォンと肩を組みながら叫ぶ。
「どうよ! この鋭利的なフォルム! 各所に取り付けられた小型ブースター!
 この世界に一つしかない奏こグハァ!!」
ザナウの叫びは何か大きな物の激突により遮られる。
何事かとカイゼル達はあたりを見渡すと、栞が何かを投げた後のようなフォームをしていた。
よくみると大きな物は栞が持っていた荷物だ。
ザナウは荷物が直撃した場所をさすりながら叫ぶ。
「い……いきなり何をするか!」
「それはこっちのセリフです!!」
栞が叫び返す。
「昨日の夜……何をやってるのだろうと思っていたら……!」
ハルニッシュの方を指差しながら
「こんなつまらない事をしてたんですか!!」
その言葉にムッと来たのか、ザナウは言う。
「つまらない事とは何事か! お前には改造の良さがわからんのか!!」
「まったくわかりません!! 
 そもそも譲っていただいただけでもありがたいはずなのに、こんな改造して!」
「譲ってもらったんならすでに俺のだろうが!」
「あなたは子供ですか!」
そんなやりとりをしている二人を見て、カイゼル達は楽しそうに笑っていた。
ハルニッシュの頭に取り付けられたシュヴァルベの羽根が楽しそうに風に揺れていた。
 
しばらく言い合いをした後、ザナウ達は工房前で向かい合っていた。
「行くのか?」
「ああ、世話になった」
「ほら、忘れるなよ、部屋に置いてあったぞ」
カイゼルはザナウにハルニッシュブルムの整備契約書+委託書を手渡す。
「本当にすまないな……今度何かあったら必ず手貸す!」
「ああ、その時はよろしくな」
カイゼルは楽しそうに言う。
「本当に、ありがとうございました……」
栞は申し訳なさそうに言う、ザナウの改造を気にしているようだ。
「いいえ、こちらこそ……また会えるといいですね」
ネレイスはいつも通りおっとりと言う。
「あのっ、また……」
サレナはまだ慣れていないのか、恥ずかしそうに小さく喋る。
「今度は絶対勝つんだから!」
昨日栞に勝てなかったのが悔しいのか、キャロルは叫ぶ。
「今度この町に来たらハルニッシュ改の感想聞かせてくださいね〜!」
ルスフォンが工房の中から楽しそうに大声で言った。
ザナウはハルニッシュヴルムに乗り込む。
栞はザナウが差し出す手に乗る。
「また、会えたら旅の話でもしよう!」
「では、また〜!」
そう言いながらハルニッシュは空へと飛んでいった。
 
「いい人達でしたね……」
栞は名残惜しそうに言う。
『そうだな、気持ちのいい奴らだった』
ザナウの声が外部スピーカーから響く。
(何かのセリフっぽく聞こえるのは気のせいでしょうか?)
『よし! ここは芸の一つでも!』
唐突にそんな事を言い始めた。
「あの……私外にいるんですけど……」
『必殺! バレル・ロール!』
傾き始めるハルニッシュ。
「ちょ! ちょっと〜!」
必死に指を掴む栞、その時
『むぅ!』
外部スピーカーからザナウの呻き声が響く。
「ど! どうしたんですか!?」
『思ってたより反応がいい……落ちるわ、これ』
「馬鹿〜〜〜〜〜!!」
 
どうにか姿勢を元に戻したが、地面すれすれだったらしい。
 
『ザナウさん……』
栞の声を集音マイクが拾う。
ん?」
『この子の名前はなんなんです?』
「ハルニッシュヴルム改」
『それじゃあかわいそうです……』
「ん〜……それじゃあ……」
 
セフィーロ・フリューゲル……
 

あとがき〜
改造話です、最近面白く書けないな〜……
他の人達のSSを読むと自分のが微妙な感じがするし……
今回は登場人物紹介を遊んでみました、絶対に本気にしないでください。
気に入らなかったら言ってください、これからはやめるんで。
自己感想:あまりカイゼル達を活躍させれませんでした……すいません……
難しいなぁ……
ハルの名前を考えてくださった皆様!!ありがとうございました!!

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